小林祐希が激白!日本代表の“世代交代=低迷論”に「ふざけんな、冗談じゃねえ」/インタビュー

小林祐希が激白!日本代表の“世代交代=低迷論”に「ふざけんな、冗談じゃねえ」/インタビュー

2017.2.17 ・ Jリーグ

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「(オランダに来て)半年がたったけど、まだチーム全体を動かすまで行けてないかなと。左サイドを動かすとかはできてるけど、試合全体を動かす、レフェリーまで巻き込むことはできてない。こっちはレフェリーを巻き込んで操作するってことも大事な仕事。早くそういう存在になりたいですね。後半戦はボールを持った時の違いをもうちょっと出していけたら。今はチームのリズムを作ることを考えてパス中心にやってて、それが俺の良さでもあるんですけど、『ここは勝負』って時にドリブルでググッと仕掛けたりしたい。勝負する勇気はあるんだけど、チーム第一で負けないことを考えてすぎてしまう。改善していけたらなと思ってます」


2016年のオランダ・エールディビジ最終戦だったヴィレムⅡ戦の後、小林祐希(ヘーレンフェーン)は後半戦への強い意欲を口にした。


2016年8月にオランダに渡り、前半戦だけで12試合に出場。得点こそ1という結果にとどまったが、3ボランチの左(インサイドハーフ)という新たな役割にトライし、守備面やオフ・ザ・ボールの動きに劇的な改善が見られたのは間違いない。中盤の一角からいかにして持ち前の攻撃センスを発揮するか。そこが次なるステップと位置付けられた。


だが、2月12日のAZ戦を見る限りだと、なかなか前に出て行けない小林祐希の姿があった。ヘーレンフェーンは冬の移籍期間にレアル・マドリーから18歳のマルティン・ウーデゴーアを獲得。ユルゲン・ストッペル監督は天才MFを攻撃の軸に据える形にシフトした。小林は主にトップ下でプレーする彼をダブルボランチの一角からサポートする役割が多くなった。加えて、中盤の要だったキャプテンのスタイン・スハールスがケガで長期離脱。代役を担う20歳のMFモルテン・トルスビーは消極的なプレーが目立った。その分、小林は気を配りながらバランスを取りつつ、周りを後押ししなければならない。


自分のプレーだけに集中できない環境になったのは間違いない。


「マルティンは球際の部分とか課題がたくさんあると思うけど、もうちょい相手に脅威を与えるプレーを高い位置でできるようになれば、もっと輝ける。そこは俺とモルテンの問題でもある。モルテンは相手を怖がってボールを触りたがらないし、俺がボールの近くに行かなきゃいけないと思って意識的に引っ張ったけど、なかなかうまく行かないよね」と小林はジレンマを打ち明けた。


結局、ヘーレンフェーンはレフェリングにも泣かされてAZ戦を1-2で落とし、リーグ戦4試合未勝利となった。カップ戦を含めると5試合白星から見放された状態だ。順位も2016年終了時点の4位から6位に後退。この状況に危機感を抱いた彼らは翌13日のダウンの後、指揮官の号令の下、みんなでそろってサウナに繰り出して気分転換を図った。小林祐希も左サイドバックで奮闘しているルーカス・バイカー、DFヨースト・ファンアケンと長時間、善後策を話し合ったと言う。


それだけ絶対的主力の自覚が芽生えているということ。18日の次節・トゥエンテ戦後にも主力15~16人を日本食レストランに連れていき、士気を高めることを計画していると言うから、若手にとっては「頼もしい兄貴」になりつつある。こうした意識改革が日本代表にもプラスに働くはずだ。



2016年6月のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で国際Aマッチデビューを飾り、11月のオマーン戦で初ゴールを挙げたが、まだ代表定着できるかどうか微妙な情勢ではある。とはいえ、本田圭佑(ミラン)、岡崎慎司(レスター・シティ)、香川真司(ボルシア・ドルトムント)という、アルベルト・ザッケローニ監督時代からの攻撃3枚看板が依然としてクラブで苦境にあえいでおり、トップ下一番手という期待が高まっていた清武弘嗣(セレッソ大阪)もJリーグ復帰を決断。


若い世代の台頭がより一層求められる状況になったのは確かだ。ヘーレンフェーンでボランチとして経験を積み重ねている小林は、中盤の前でも後ろでも使えるユーティリティープレーヤーとして存在価値を高めつつある。2017年は代表レギュラー取りの可能性もゼロではないだろう。


「自分は子供の頃から10番にこだわり続けてきたし、10番だっていうプライドもある。その一方で『ホントに自分が輝くのはどこなんだろう』ともどっかで考え始めてる。『もしかしたら、1個後ろの方が生きるかもしれない』という思いも、ここ1~2年くらいで芽生え始めた。自分が生きる道を広げているのはいいことだと思うし、代表では使ってもらえるなら、どっちでもいいと思ってます」。


「ただ、日本とヨーロッパはトップ下の考え方が大きく違う。例えば、中村俊輔選手(ジュビロ磐田)が70分間で86タッチしたというデータがあったとして、どこでボールを触っているのかと言ったら、ボランチの位置まで下がって受けている。俺がジュビロでやっていたボランチも同じで、下がってたくさんボールを受けるのがトップ下の役割だと思っていたんです。だけど、こっちではそういう価値観じゃない。監督はマルティンにも『下がるな。お前はそこでボールを触んなくていい。センターバックが前にパス出しするからお前は前にいていいんだ。誰が点を取るんだ』と口を酸っぱくして言っている。ビルドアップをするのが、日本の場合はボランチだけど、こっちではセンターバック。役割が1つずつズレている」。


「俺は日本でやってたボールにたくさん関わるトップ下はオランダにはあんまりないし、前でディフェンスとボランチの間の浮いたところで反転して仕掛けるのがこっちの10番の役割なんですよね。そこの差はありますよね。そういう違いを踏まえながら、こっちでボランチをやっているのは、すごくいい経験。(ヴァイッド・)ハリル(ホジッチ監督)からの信頼を得られて、代表に呼んでもらえるのなら、どこでもやれるのが一番いい。今の俺はそう思っています」と小林はヘーレンフェーンでの経験値を代表に持ち込もうと躍起になっている。


確かに今の彼ならボランチで長谷部誠(フランクフルト)、あるいは山口蛍(C大阪)とコンビを組んでも十分生きるだろうし、トップ下でもブレイクできる可能性を秘めている。本田、香川が停滞感を拭えず、清武がJリーグ基準のプレーに慣れてしまったら、本当にハリルホジッチ監督が小林を据える決断を下すこともないとは言えない。そんな日が訪れることを脳裏に描きつつ、彼はあらためて語気を強めた。


「たぶん今の日本では、今の代表の中心選手たちが抜けたらアジアですら勝てない時期が続くかもしれないって思われてる。『そんなの冗談じゃねえ』って感じですね。『ふざけんな。そんなこと絶対言わせない』って俺は思ってますけどね。それだけ自分たちの若手が頑張らなきゃいけないってこと。大事なのは計算できて、戦える選手になること。岡崎選手や武藤(嘉紀)が、なぜ、あそこまでやれるかと言ったら、技術以上に戦えるから。僕らプラチナ世代(1992年生まれ)は自分の形があって、自分がいい状況の時にボールを持てたらいいプレーができるけど、そうじゃないと難しい選手が多い。その傾向を認識しながら、自分は違った味やプレーの幅を持った選手になれるように頑張っていきます」


小林祐希はよく「ビッグマウス」と言われるが、発言の1つひとつには冷静かつ緻密な分析と日々の経験、努力が結集されている。自分の意志と意見をしっかりと持った彼のようなタイプの選手が台頭してこそ、日本サッカーも変わるだろう。


3月の2018年ロシアワールドカップアジア最終予選、UAEとタイの2連戦での活躍を現実にするためにも、彼にはまずヘーレンフェーンの低迷脱出のキーマンとして、チームを力強くリードしていってほしい。


文=元川悦子


記事提供:Goal

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