スケールが違う! 引退・平山相太の“怪物”ぶりを証明した5つの伝説

スケールが違う! 引退・平山相太の“怪物”ぶりを証明した5つの伝説

2018.1.27 ・ Jリーグ

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 平山相太をひと目見ようと、スタジアムに足を運んだ人は少なくなかったはずだ。高校選手権の決勝が「成人の日」開催に変わった2002年度、翌03年度、国立競技場は超満員の観衆で埋め尽くされた。主役(特に3年時)は紛れもなく平山だった。そこでの活躍によって、190センチの大型ストライカーは誰にも認められる「怪物」の異名を手に入れた。

 

 

 国見高、二度のユース日本代表、アテネ五輪代表、そしてA代表。クラブでは、FC東京、ヘラクレス・アルメロ。昨年移籍したベガルタ仙台でこそ得点を挙げられなかったが、それぞれのシーンで平山はインパクトを残すスーパーゴールを決めてきた。だからこそ、1月26日に引退が発表されるまで、常に我々に期待を抱かせてくれる存在だったのだ。

 

 おそらくそれぞれにとっての「平山伝説」があると思うが、平山が10代だった頃から取材してきた記者が独自に、5つの伝説を選定してみた。参考にしていただきたい。▼第82回全国高校選手権/2003年12月30日~2004年1月12日/国立競技場など

 

 前年の選手権決勝で市立船橋に敗れていた国見高は、「打倒・イチフナ、全国制覇」を目標に掲げて大会に臨む。前回大会で7ゴールを奪っていた平山は、全5試合でゴールを記録。岡崎慎司のいた準決勝の滝川二高戦でハットトリックを達成した時点で、通算最多ゴール記録を樹立。勢いに乗る筑陽学園との決勝では、常に3人に囲まれた徹底マークをモノともせず圧巻の2ゴールを決める。国見は6-0の大勝を収めて「平山の大会」として記憶に刻まれることになった。星稜高の本田圭佑も、市立船橋のカレン・ロバートも増嶋竜也も、滝川二の岡崎慎司も、いずれの活躍もかすむほどだった。

 

 本人は1ゴールしか奪えなかったものの、準々決勝の四日市中央工戦での執念の決勝弾(国見が1-0勝利)を大会ベストゴールに挙げていた。

 

 史上初の2年連続得点王、大会最多通算17ゴール、1大会の最多タイ9ゴール。記録と記憶に残る圧巻の活躍ぶりだった。▼ヘラクレスvs デンハーグ/2005年8月20日エールディビジ・1節(2-1)/ザウダーパーク

 

 前年のアテネ五輪代表に選ばれ、05年のオランダ・ワールドユース(現・U-20ワールドカップ)に臨んだ平山が筑波大を休学して、オランダのヘラクレス・アルメロに3年契約で“移籍”。ワールドユースの初戦で対戦したオランダ代表に力の差を見せ付けられ(平山がゴールを決めたものの1-2で敗れる)、同じような体格のFWが切磋琢磨し合うオランダでの挑戦を決意した。

 

 アウェーでの一戦は、1点リードを許す後半から途中出場してオランダデビューを飾る。すると、いきなり後方からのFKにヘッドで合わせて同点に。さらにCKからの折り返しにも、相手選手の頭と接触して前歯を折りながら逆転ゴールをねじ込む。いきなりサポーターとチームメイトの信頼を掴んだ。11月20日のRBC戦では、ミッシェル・プラティニばりの左足のスーパーボレーもねじ込むなど、チーム最多8ゴールを奪った。

 

 日本の真のエースに――。そう期待されたが、翌シーズンは1試合・0得点でシーズン途中に帰国した。▼FC東京vs横浜FC戦/2007年9月15日 J1・25節(2-0)/国立競技場

 

 FC東京の1-0のリードで迎えた85分に投入されると、アディショナルタイムに、ハーフウェーライン付近からボールを浮かせて、ヘッドで運びDFをブロック。相手選手4人を弾き飛ばして持ち込み、最後はGKもかわしてゴール! FC東京での2年目のシーズンは公式戦25試合・7得点(リーグ20試合・5得点)を記録し、覚醒を予感させた――。

 

▼FC東京vs川崎フロンターレ/2009年11月3日ナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)決勝(2-0)/国立競技場

 

 平山のゴールには、その長身やフィジカルなどポテンシャルを生かした「平山、すごい」とため息を誘うようなシーンが多かった。そのなかで、ストライカーとしての真価を発揮し、最高の歓喜をもたらしたのがこのゴールだったと言える。

 

 FC東京での4年目、なかなか主力に定着できずにいたなか、09年のナビスコカップ決勝では赤嶺真吾との2トップで先発を果たす。FC東京は、米本拓司のスーパーミドルで先制したものの、その後は防戦を強いられる展開に。

 

 しかし迎えた60分、自陣ゴール前で平山がヘディングでボールをクリアすると、そこから約80メートルを疾走。そしてカウンターで左サイドを駆け上がった鈴木達也のクロスに、スライディングしながら右足で合わせて、2-0とするゴール! チームが最も欲していた追加点を決め、5年ぶり2度目の優勝を手繰り寄せた。▼日本代表 イエメン代表/2010年1月6日AFCアジアカップ予選(3-2)/アリ・モーセンスタジアム(サアヌ)

 

 アウェーでの一戦はシーズンオフとあって若手が多く招集されたが、日本は立ち上がりに2点を許す苦しい展開を強いられている。しかも、背後からの危険なタックルを食らい山田直輝が左足腓骨骨折の大怪我を負う。そして代わって21分に投入されたのがA代表初招集の平山だった。

 

 この苦しく厳しい状況下、日本の大砲は42分のCKからのヘッドを皮切りに、55分にボレー、79分にはゴール前での反転シュートで一気に逆転に成功! 平山を中心に日本の歓喜の輪ができた。テレビの生中継がなく、「初招集の平山がハットトリック 日本が逆転勝利」という速報の文字情報で心を揺さぶった。それも怪物だからこそ与えられた衝撃だった。

 

 スパイクを脱いでも、ぜひ衝撃を残す活躍を期待したい。

 そして彼を超える「怪物」の登場はあるのか――。

 とにかく今は怪我の不安から少し開放されて、ゆっくり休んでください。

 平山相太。お疲れ様、そしてありがとう!

 

文:塚越 始(スポーツライター)

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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