苦渋の決断も、名古屋に来てよかった。米本拓司、古巣・FC東京戦で成長した姿を見せる

苦渋の決断も、名古屋に来てよかった。米本拓司、古巣・FC東京戦で成長した姿を見せる

2019.3.15 ・ Jリーグ

シェアする

名古屋グランパスは、3月17日に行われる明治安田生命J1リーグ第4節でFC東京と対戦する。3連勝で首位に立つ名古屋と、2勝1分で2位につけるFC東京の首位攻防戦。カギを握るのは、10年過ごした古巣・FC東京と初めて対戦する米本拓司だ。新天地で輝きを放つ米本が古巣戦に懸ける思いとは。【文=齋藤孝一】


■生涯・FC東京という思いもあった


J1唯一の3連勝で首位に立った名古屋。今節、チームタイ記録となる開幕4連勝を懸けて戦うのは、2勝1分で2位につけるFC東京だ。いきなりの首位攻防戦だが、名古屋にとってFC東京はあまり相性のいい相手ではない。


沖縄キャンプで行われた練習試合で、両チームとも春季キャンプの総仕上げとして相見えたが、主力組同士の対戦は6-2の大差でFC東京が勝利。名古屋からすれば、ディエゴ・オリヴェイラ、永井謙佑とスピードのあるFW陣に、してやられた格好だった。


しかし、風間監督は「崩されて失点しているわけではなく、いるべきポジションにいなかった。課題が出て選手たちもそれをしっかり認識できて、逆に良かった」とポジティブに捉え、カウンター対策をチームに落とし込んだ。そして開幕からその成果も出て3連勝と、まさに「災い転じて福となす」という言葉どおりの結果になった。


だが、やはりFC東京の速攻には、最大限の警戒が必要なのは間違いない。そこで名古屋のカギを握るのはMFの米本拓司だ。今や名古屋の守備の要として欠かせない存在となった米本にとって、この試合は昨シーズンまで10年間在籍していた古巣との初めての対戦となる。


「正直、どんな気持ちになるか想像つかないですね。でも34試合の中の1試合を勝ちにいく。そういう気持ちの方が強いです」


この決戦に臨む意気込みを、そのプレー同様淡々と答えてくれた米本。都内に家を購入したことからも分かるように、生涯・FC東京という思いもあったというが、愛着のあるクラブを離れる決意をしたのは、サッカー選手として、こらえ切れない欲があったからだ。


「名古屋に来たのは、自分自身が上手くなりたい、成長したいという気持ちがすごくあったからです。もう一回サッカー選手として輝きたいなと思って、FC東京を出る決意をしました」


米本は名古屋からのオファーをもらって1カ月以上、それこそ新体制発表の前日まで迷いに迷ったという。


「東京にいる時は『守備は良いけど攻撃では…』と言われ続けていたので、それを見返したいなという気持ちもありました。僕に足りないものが、このチームにはあるのかなと」


■新天地で成長を実感する米本



▲FC東京戦の予想フォーメーション


超攻撃的なスタイルの風間サッカー。その指導を受け始めて、まだほんの2カ月余りだが、ある種のカルチャーショックを受けたと米本は言う。


「これまでで一番自分の実になったのは、ありきたりですけど『止める・蹴る』ですね。今までは成功だと思っていたトラップでも、このチームでは失敗だと言われます。まず教わったのは、真正面から来たボールを、回転をかけないで足元にピタッと止めること。最初は10本に1本くらいしかできませんでしたが、今は3本、4本とできるようになってきたかな。本当に少しずつですけど成長していると思います」


前節のガンバ大阪戦(3-2)では、先制点となるゴールに米本も絡んだ。アシストした吉田豊にスルーパスを供給したのだが、その場面でも気になることがあったそうだ。


「先制点の場面は、パスはちゃんと出せましたけど、最初のトラップは止まっていなかったので、あれは反省点ですね。ちょっとボールが流れたので、監督的に止まってないと、ミーティングで言われるかなって試合中に思っていました」


キレイに相手を崩した中でも一つ一つのプレーにこだわり、反省を忘れない。ミリ単位での技術の追求が、風間監督が作るチームの強さの源になっているのかもしれない。


■もう一度輝きたいという思い


米本のこの試合での使命は、セカンドボールを拾うことやカウンターを起こさせない守備。そしてリーグでも屈指と言われるボール奪取能力を存分に発揮することにある。その中で、去年まで一緒に勝利を目指して戦っていた仲間の前に、立ちふさがらなければならない。


「森重選手から『一緒に残って、東京を優勝させよう』という長文のLINEをもらった時は本当に泣きそうになりました。それでもこっちに来てしまいましたが、そう思われていたことが本当に誇らしく、うれしい気持ちでいっぱいでした。


でもそれと自分が上手くなりたいという気持ちを天秤にかけた時に、やっぱりサッカーが上手くなりたい、もう一度輝きたいという方が強かったんです。まだ3節ですが本当に名古屋に来てよかったと思っています。毎日が充実していると実感しています」


古巣・FC東京への感謝を込めて戦いたいという米本。名古屋で成長した姿をFC東京サポーターにも見てほしい。


文=齋藤孝一




【関連記事】









記事提供:Goal

シェアする

最新記事