2019年版“ファストブレイク”の立役者。FC東京の韋駄天・永井が風間グランパスを切り裂く

2019年版“ファストブレイク”の立役者。FC東京の韋駄天・永井が風間グランパスを切り裂く

2019.3.15 ・ Jリーグ

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3月17日に行われる明治安田生命J1第4節で、2位・FC東京は、3連勝で首位に立つ名古屋グランパスを味の素スタジアムに迎える。ともに無敗、勝ち点差「2」の首位攻防戦となる。この試合で青赤軍団のカギを握るのは、やはり強力な2トップ。その一人、J屈指のスピードを誇る永井謙佑は2011年から16年まで名古屋で過ごしており、開幕前の練習試合でもそのスピードで名古屋を苦しめている。【文=後藤勝】


■豪快な走りがもたらすインパクト


開幕戦こそ昨季のリーグ王者・川崎フロンターレに引き分けたが、その後の2試合は複数得点で連勝。今季のFC東京は好調なスタートを切っている。


直近のリーグ戦2試合で5得点という数字は、今節対戦する首位・名古屋グランパスと同じ。この爆発的な得点力の源として久保建英に耳目が集まるが、やはりチームをけん引しているのは2トップ。永井謙佑とディエゴ・オリヴェイラの裏への走り込みが相手の守備組織を崩し、攻撃を誘発し、後方からの長いボールを引き出している。2019バージョンに進化した“ファストブレイク”の立役者となっているのだ。


特に進境著しいのは永井。昨季よりも明らかに一段階上のプレーを見せている。第3節・サガン鳥栖戦はアクシデントにより早々にピッチを退いたが、交代までの約10分間にこの試合のファーストシュートを含め、2回ドリブルでチャンスに関わった。


第2節は湘南ベルマーレのGK秋元陽太からボールを奪い、輪を描くように回ってラストパス。橋本拳人が決めたゴールの呼び水となったディエゴ・オリヴェイラのシュートを演出した。無得点でありながら、その豪快な走りがもたらすインパクトはエースそのものだ。


いったい何が変わったのだろうか? 永井は始動からの日々を次のように振り返った。


「キャンプですごくコンディションが良かった。チームでやるべきことも去年一年、経験したぶん、よりハッキリしてきている。攻めに専念するときは後ろがそうさせてくれますし、うまく休むことも覚えられた。それらのおかげで、攻撃のときに、より良いパフォーマンスを発揮できているのだと思います」


チーム全体として、昨季は守備を頑張り過ぎて最後に疲れてしまっていた──と永井。だが、今季はメリハリがハッキリしている。闇雲にプレスに行くのではなく、狙いを定めた守備ができている。だからこそ選手たちは体力を不要に消耗することなく、フィニッシュに費やすべき場面では、体力を攻撃に振り分けることができているのだ。


「最後の余力が残っているぶん、得点できたり、先制されても逆転できるというところにつながっているんじゃないかと思います」


■鈴木武蔵が選ばれたのも点を取っているから



▲名古屋戦の予想フォーメーション


それはもちろん、永井個人にも言える。「今年は『後ろ向き』の走りより、『前向き』の走りが多くなった」と言い、顔を上げた。プレスバックに戻る回数が減り、攻撃のために前へと走る回数が増えた。チームとして守から攻への切り替えを意識して臨んでいる今季は、そのいわゆる“ポジティブ・トランジション”が素早くなり、ボールを奪ったあと多くの選手が動き出し、ゴール前に殺到している。


その切り替えの結果、永井が前に出やすくなり、多く攻め上がっている周囲の選手との連動で相手ゴールを襲うことができている。だから得点数以上に、かさにかかって攻めている印象を与えられるのだろう。


ただ、やはり結果が伴わなければ、やがて活躍した印象は薄れてしまう。長谷川健太監督はだからこそ「ゴールを決めてほしい」と期待を寄せる。


「彼なりに100パーセントでやってくれていると思っていますし、攻守ともにスイッチが入る彼の存在はチームにとって非常に大きい。ただ、いいプレーをしていても点を取らないと。鈴木武蔵が代表に呼ばれるのも点を取っているからだと思います。永井は30歳。まだ十分、代表でやれると思います。そこを目指すためにはプラスアルファの結果がほしい。本人も意識をしていると思いますが、期待していきたい」


今シーズンの名古屋は、蓋を開けてみればプレスが厳しいチームになっていた。互いのプレッシングが火花を散らす中盤でセカンドボールを奪ったあと、そのボールを運び、決めるのは永井の役目。勝敗を分かつ主役に躍り出て、一気に代表への道を拓くかどうかに注目したい。


■元FC東京のチームメートとの戦い



▲米本とシミッチのダブルボランチはかなり手ごわい(C)J.LEAGUE


その永井には「古巣対決を念頭に浮かべているか?」と訊ねることが名古屋戦の前の恒例となっているが、昨年からは「特に気にしていないです」という答えが返ってくるようになった。


「知り合いがいません! ナラさん(楢崎正剛さん)も引退してしまったので──(和泉)竜司くらいですね。彼もポジションが遠いですからね。サイドバックでないかぎり当たらない(笑)」


しかし和泉とマッチアップするサイドバック、室屋成には因縁がある。


「明治大学で一つ年上の先輩であり、キャプテンでした。危険な選手です。お互いに特長を分かっていますし、先発同士では初対決。楽しみです」。次から次へとサイドアタッカーが湧いてくる名古屋で第2節から先発を確保した和泉は勢いに乗っている。この男を代表へ行く直前の室屋がいかに止めるかは、一つの見どころとなるだろう。


もちろん、いまや名古屋の中軸となった丸山祐市、米本拓司との“再会”も、熱いエピソードの一つだ。永井はむしろかつての同僚よりも、元FC東京のチームメートとの戦いに胸を高鳴らせた。


「マル(丸山祐市)、ヨネ(米本拓司)とやるのは楽しみですね。でも、手強い。2人ともハードワークができますし、特長を分かられてしまっている。ただこちらも相手の特長をわかっているということでもあるので、心理戦じゃないけど、楽しみです」


首位の名古屋を下し、上位争いに躍り出るきっかけとできるか。FC東京にとって今季最初の大一番が迫っている。


文=後藤勝




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記事提供:Goal

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