「同じ石」につまずいた若さの代償…19位に沈む山口には今こそベテランの経験値が必要だ

「同じ石」につまずいた若さの代償…19位に沈む山口には今こそベテランの経験値が必要だ

2019.5.16 ・ Jリーグ

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「同じ石につまずくな」。これは霜田正浩監督が繰り返す言葉だが、残念ながら現状のレノファ山口は同じミスを何度も繰り返し、勝点を相手に差し出している。

 

 ひとくくりにミスといっても、例えばアタッキングサードに入ってのラストパスが合わなかったことをミスとは言わない。もしそれが何度か起きたとしても「次こそは合わせよう」となるだけだ。今年の山口に起きているのは、そのようなポジティブなミスではない。自陣での横パスが合わなかったり、マークが外れて簡単に裏を取られたりと、失点に直結するイージーかつクリティカルなミスばかりが目立つ。

 

 経験の浅い選手に責任の重いポジションやプレーを担わせたという点が、一因に挙げられるだろう。

 

 センターバックでは今年40歳になる大ベテランの坪井慶介ではなく、大卒ルーキーの菊池流帆やウズベキスタン国内リーグでプレーしてきたドストンを起用。ドストンは同国A代表ではあるものの、若さゆえの荒削りな部分が覗く。アンカーでもベテランの佐藤健太郎ではなく、やはりルーキーの小野原和哉を充てる試合があった。若い選手の勢いは確かにベテランを上回るが、ひとつのミスが起きるとそれを引きずってしまい、「同じ石」に足を引っ掛けてしまった。周囲の選手も経験値があっても若手が多く、彼らをカバーするような「気にするな」の声が出てこなかった。

 

 ユースから上がってくる選手に比べ、大卒選手は22歳でプロに入るため即戦力に近い活躍が求められる。山口のピッチを眺めれば、佐々木匠や川井歩がベテランに伍して戦っているだけに、プレッシャーも相当にあるだろう。ただ、霜田監督が「彼の代わりに出られなかった選手が出てくるし、ベンチに入れなかった選手が出てくる。先発で出るというのはそれだけ責任を背負っているということ。責任を持ったプレーをしなさいという話をしている」と説くのは当然のことで、ここからどうルーキーたちが這い上がるかは、彼ら自身にとっても、チームにとってもポイントになる。

 一方、「気にするな」の声が掛からない点も含め、若すぎる先発布陣の年齢軸を少し後退させるのも今は必要な手だろう。4月21日のモンテディオ山形戦(○1-0)や5月11日の大宮アルディージャ戦(△2-2)では34歳の佐藤が先発。献身的にボールを受けて前のめりになるチームを落ち着かせた。

 

「坪井も、健太郎も、鳥養も、30歳以上のベテランの選手たちは本当に大事な選手。彼らの戦うコンディションが上がり、こうやってピッチに送り出せば計算できるプレーをやってくれる。僕らはボールを握って意図的に崩したい。彼(佐藤)のところでボールが落ち着くとか、彼からスルーパスが出てくるとか、そういうところが増えてくればもっと二列目、三列目からも崩せるチームになる」

 

 もはや同じ石になどつまずくはずもないベテランの経験値は心強く、霜田監督はそう佐藤の働きを評価する。勝点獲得の確実性を高めるには、やはりベテランの力に頼らなければならない。チームの2年先、3年先を見据えれば若手の成長は促さなければならないが、下位に甘んじる今は、遠くの未来よりも足元を見た戦いが重要だ。

 

取材・文●上田真之介(フリーライター)

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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