ヴェルディ再建の鍵を握る永井チルドレン。“ヨミウリの10番”に相応しいスター性を備えた森田晃樹への期待度

ヴェルディ再建の鍵を握る永井チルドレン。“ヨミウリの10番”に相応しいスター性を備えた森田晃樹への期待度

2019.8.14 ・ Jリーグ

シェアする

 クラブを象徴するひとりとも言える永井秀樹氏が東京ヴェルディの監督となり5試合を消化したが、新指揮官はしっかりと自分の色をチームへ落とし込んでいる。アンカーを据えた4-3-3のフォーメーションで高いポゼッション率を誇り、自分たちが主体となって攻撃を展開。「サッカーの楽しさはやっぱりボールを持って攻撃をすること」とはユースを率いていた時期、永井監督が口にした言葉だが、カテゴリが変われども、やろうとしていることはブレていない。


 

 そして今回、トップチームの指揮を執るということで予想されたのが“教え子”たちの重用である。ユース年代の中でも際立っていた独特のポゼッションスタイルを体現するには、その筋を知っている選手が必要だ。いきなり主軸として起用するまでにはいかないとは言え、教え子たちにそれまで以上にチャンスが回ってくるだろうという予感はあった。そして、それは現実のものとなっている。

 

 中でも山本理仁と森田晃樹のふたりは永井監督就任後からピッチに立つ時間が明らかに増えたのだが、とりわけ後者は、昨年のユースで永井監督の下、10番を背負った選手であり、豊富な運動量と高い技術力、そしてゴールに絡む決定的な仕事ができるスター性も備えていた人物。“ヨミウリの10番”にふさわしい選手で、現役時代の指揮官とも似通った部分がある。

 

 そんな森田をユース時代、中心に据えていた永井監督は「サッカーが本当に好きで頑張れる選手。ただ、“上手い”だけではいけないからもっと伸びてもらわないと」と、その素質を認めつつ、さらなる飛躍を望んでいた。そして期待をかけつつ、彼を積極的に起用し始めている。

  恩師がトップの監督に就任し、森田自身も“チャンス”と捉えていると認めていた。しかし現状では、その期待にはいまだ応えきれていないと感じている。

 

「(出場機会が増えると)思いましたけど、まだ自分は一番手で考えられていないのかなと。ベンチにいて流れを変える選手になるのも良いことですけど、自分は最初から出てやりたいし、一番手でスタメンを勝ち取りたい」

 

 永井監督就任後の5試合で4試合に出場したものの、先発は1試合に留まる。27節のホーム・鹿児島戦ではユースの先輩である藤本寛也が想定外の負傷交代を強いられたため、78分間に渡りプレー。2点を先制されるも86分からの5分間で逆転、その後同点弾を許し試合を終えるという大乱戦のピッチに立った。

  ただ、その大乱戦の中で”らしさ”はほとんど出せなかった。

 

「どこのポジションでも隙があったら前に行ってゴールやアシストに絡む。そういうことをしなければいけない」とユース時代に自身の役割と価値をこう語っていたが、そうした自身の持ち味は見られなかった。

 

「ユースの時に比べるとやりづらさというか、うまくいっていないというか。完成度とかそういうところで違いを感じるし、それがカテゴリの違いなのか理解のところの問題なのかは分からないですけど。プレーの速さもそうだし、個人個人のレベルが高いので、簡単に剥がれない。ユース年代だと簡単に回せてしまうところがあったけど、ガっとプレスにハメに来る速さにハマってしまったり、というのはあります」

 

 本人はうまくいかないもどかしさを口にするが、これではいけないという危機感と、やらねばならないという責任感も同時に強く持っている。その背景には下部組織の先輩である渡辺皓太の移籍があった。

 

「(渡辺の)ポジションが空いた分そこは自分がもっとやらなければと思うし、皓太くん以上のパフォーマンスと結果を出していかないといけない」

  さらに、森田と交代し、ピッチを離れた藤本寛也の負傷は大きく、今季が危ぶまれるものである可能性が高い。魅力あるサッカーでヴェルディが名門再建のために舵を切ったなか、中心選手が移籍と負傷という形でチームを離れたことになる。

 

 おそらくブレることのないであろう“永井イズム”の元でチームを浮上させるには、森田の奮起が必要だ。

 

取材・文●竹中玲央奈(フリーライター)



記事提供:サッカーダイジェストWEB

シェアする

最新記事