「冬に獲得できず悔しかった」武藤嘉紀移籍の舞台裏をエイバルSDが明かす!主力MFや指揮官が語る「人間性」と「役割」【現地発】

「冬に獲得できず悔しかった」武藤嘉紀移籍の舞台裏をエイバルSDが明かす!主力MFや指揮官が語る「人間性」と「役割」【現地発】

2020.9.23 ・ 日本代表

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「僕のほうが入団がずっと遅かったからあくまで聞いた話だけど、加入したばかりの頃のタカ(乾)はもっとシャイだったそうだ。武藤は面白いやつだよ」


 入団2年目にしてエイバルの中心選手に成長したエドゥ・エスポーシトは、1年間の期限付き移籍で新たに加わった日本人選手、武藤嘉紀の第一印象についてこう語る。恒例のノバターダ(楽しいノリでの新人いびり)では、ステージのようなところに立たされてスペインでも人気のアニメ、ドラえもんの歌を熱唱した。その場は爆笑の渦となり、コーチングスタッフやチームメイトはそんな武藤の謙虚で陽気な人柄に早くも魅了されているのだそうだ。



「武藤に対する期待は大きい」と述べるフラン・ガラガルサSD(スポーツディレクター)によると、エイバルは今年1月にも武藤の獲得を目指した。しかし、2018年夏に移籍金1000万ユーロ(約12億5000万円)を投じてマインツから獲得したニューカッスルがオファーを拒絶し、実現には至らなかった。

  そして今回再アプローチが実ったわけだが、その際にサポートを買って出たのが乾だったという。


「獲得できないと知った時は悔しかったよ。でもいまこうやって来てくれたからもう過去の話だ。乾の存在も大きかった。マインツも再獲得に動く中で、武藤を説得してくれた」


 エイバルと言えば、英国風のダイレクトなサッカーを志向する。前線の選手は、ルーズボールを競り合ったり、クロスに飛び込んだり、ポストプレーでボールを収めたり、高い位置から積極的にプレスをかけたりと攻守にわたって率先してハードワークをこなすことが求められる。プレミアリーグでは結果を残せなかった武藤だが、ホセ・ルイス・メンディリバル監督はさらにプラスアルファの働きを期待する。


「武藤には縦にプレーエリアを広げる働きをしてもらいたい。相手DFの背後のスペースを活用するプレーだ。そしてもちろんゴールをたくさん決めてもらいたい」


 そのためには1日も早く新しい環境に適応することが先決となるが、メンディリバル監督も・エスポーシトと同様に、武藤の明るい性格がその一助になると乾を引き合いに出しながら冗談を交えて話す。「武藤はエウスケラ(バスク語=難しいことで有名)すら習得してしまうんじゃないかな。彼ならすぐにチームに溶け込めるはずだ。タカに比べて、オープンに見えるからね。何しろタカは(スペイン語を)全く習得できていないからね。日本語すらも忘れたんじゃないかと思うほどだ」


 メンディリバルはそんな乾に一目を置いている様子で、さらにこう続けた。


「練習ではタカは本当に素晴らしいプレーを見せるんだ。チームで一番と言ってもいい。試合でももう少し積極性を出してくれればいいんだけどね。いいプレーを見せる時もあるんだが、失望させられることもある」


 武藤は加入後、ラ・リーガが定める新型コロナウイルスのプロトコルに従い、別メニューで調整を続け、ビジャレアル戦の前日まで全体練習に参加することができなかった。しかしそんな状況でも、招集リストに名前を連ねた。試合には出場しなかったが、指揮官はニューフェイスに対し、期待感を込めてこうエールを送る。


「我々が求めることを習得していく必要があるが、武藤はとてもクレバーだ。すぐにチームに力になってくれるはずだ。彼の加入はエイバルにとって大きなプラスだよ。うちの他のフォワードに比べてサイズはないけど、その分、機動力があって裏のスペースを活用したり、走り込むプレーを得意にしている」


文●ファン・C・クデイロ(エル・パイス記者)

翻訳●下村正幸

 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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