【なでしこサッカー新時代】第1回 菅澤優衣香 |不動のエースが東京オリンピックへ、そしてWEリーグ開幕へ懸ける想い (後編)

【なでしこサッカー新時代】第1回 菅澤優衣香 |不動のエースが東京オリンピックへ、そしてWEリーグ開幕へ懸ける想い (後編)

2021.4.23 ・ 日本代表

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 2021年、日本の女子サッカーは新たな時代に突入する。


 2020東京オリンピックは3か月後に迫り、この秋には女子プロサッカーリーグ『WEリーグ』が誕生する。なでしこたちはきたるべき時に備えて、コロナ禍という難しい状況のなか、ひたすら前を向き、準備を進めている。


 節目を迎えるこの時だからこそ、これからWEリーガーとなる選手たちの声に耳を傾けてみたい。彼女たちが語る、なでしこサッカーの未来とはいかなるものか。


 記念すべき第1回は、菅澤優衣香選手が登場。昨シーズンは出場試合数(16試合)を上回る17ゴールを挙げ、5年ぶりの得点王(3回目)に輝き、最優秀選手にも選ばれた。浦和レッドダイヤモンズレディース(現『三菱重工浦和レッズレディース』)を優勝に導いた立役者だ。先日行なわれたなでしこジャパンの親善試合ではパナマを相手にハットトリックを達成するなど、絶好調のエースに今の気持ちを聞いた。


―――昨年は、なでしこリーグのベストイレブン、得点王、さらに、最優秀選手にも輝きました。ご自身のキャリアを100%とすると、今、この時点で、どこまで達しているとお考えですか?


 うーん……。80%ぐらいかなと。サッカー選手として、リーグ戦に関してもそうですが、代表での活躍というのも目標になります。間近なところでは、東京オリンピックで活躍するというのが、とても大事になりますね。


―――もし夏に、東京オリンピックが無事に開催されたら、なでしこジャパンの目標は、やはり優勝? モチベーションは高まっている?


 実は、私はオリンピックという舞台には一度も立ったことがないんです。夢の舞台ですから、憧れの場所に立ってみたいという気持ちは人一倍あります。それと、女子サッカーに興味を持ってもらうには、大舞台で、良い結果を残さないといけないです。


 日本でオリンピックが開催されるというのも、すごく意味があることです。ここでしっかりと自分たちが結果を残して、日本のみなさんに、女子サッカーをしっかりと知ってもらいたいんです。小さな子供たちが「女子サッカー選手になりたい!」という夢を持ってもらえるようなことができたらいいと思います。―――巡り合わせもあるとは言え、菅澤選手が、オリンピックの舞台で一度も戦ったことがないというのは、意外です。


 ロンドン・オリンピックの年(2012年)に、大きな怪我をしてしまって、チャンスを逃してしまった。その時、「ぜったい、オリンピックの舞台に立つ」と強く思いました。


――FIFA女子ワールドカップとオリンピックは、どちらも国際舞台です。気持ちの部分で異なる部分がある?


 そこまでの違いはないと思いますが、個人的にオリンピックに関しては、一度も出たことのない国際大会という点が大きいです。それに、オリンピックは、世界的にも本当にたくさんの方に見ていただける大会であり、注目してもらえる大会ですよね。女子ワールドカップとオリンピックはそれぞれ別ものですが、注目度の高さでは、オリンピックにはすごく大きな力があると思います。


―――今のなでしこジャパンに、東京オリンピックで優勝する力があると考えている?


 十分にあります。


―――では、優勝するために必要なこと、すべきこととは?


 一昨年の女子ワールドカップ・フランス大会(ラウンド・オブ16で準優勝したオランダに敗退)では、「決定力というのが、日本のサッカーに欠けている部分かな」と強く感じました。ポゼッションやチームワークは、十分に地力がある。あとは、自分も含めてですけれど、最後を決めきるという部分をしっかりと試合で実行できれば勝てるし、優勝できる。そこを突き詰めてやっていけたらいいなと思います。


―――決定力不足は、女子だけでなく、男子にも通じる日本サッカー全体の課題だと思います。決定力というのは、どうやって身につけていくべき?


 海外の選手に比べて、日本の選手は足を振る回数が少ないと思うんです。海外の選手は、あまり結果を気にせず、自分で足を振ることを優先してプレーしている部分がある。まずはシュート数を増やすということが大事なのかなと。


―――「決定機ではなく、シュート数自体を増やす」ということですね。


 決定機を増やすことも大事なんですが、まずは「自分でシュートを打つ」という気持ちを持つことが、ゴールのためにはより重要だと思うんです。


―――2018年になでしこジャパンが優勝したアジア大会(第18回アジア競技大会/ジャカルタ・パレンバン)では、菅澤選手から「自分が決めてやる」という姿勢を、強く感じられました。そのころから意識されていたんでしょうか。


 そうですね。アジア大会の頃は、意識してプレーしていましたし、実際、結果にも出ていた。まず、「自分でシュートを打つ」ことを最優先に考えてプレーしていれば、周りの選手を使う時にも、その姿勢が(フェイントになって)活きてくると思います。


―――アジア大会では結果、準決勝、決勝と菅澤選手の得点があり、なでしこジャパンが優勝。その結論は、誰かから指示されたというわけではなく、菅澤選手自身で出したものですか?


 はい。「自分のプレーはどうだったのか」と振り返ったとき、まず周りの選手を使うことを意識し過ぎてしまっていた部分があった。意識を切り替えて「まずは自分で行く。その次に味方を使う」というふうに、考え方を改めたんです。


 ―――今週から久しぶりに、なでしこジャパンの合宿が始まります(取材は3月16日に実施)。意気込みを聞かせてください。


 個人としては、メンバー選考なども含めた合宿になると思いますし、チームとしても、オリンピックに向けてチーム力を高めるため、大事な合宿だなと。今年初めての代表合宿で、昨年末の合宿にはケガで行けなかった。しっかりとアピールもしつつ、チームの力を高めていきたいです。


―――レッズレディースの森栄次総監督、なでしこジャパンの高倉麻子監督から、何かプレーに対して受けた指示や言葉で、心に残っている部分はありますか。


 森総監督には「高い位置でボールをキープしてくれ」と、よく言われますね。そうすれば、チーム全体が、高い位置でプレーできる。代表でも求められている部分ですが、高倉監督は「決めきれ!」と。FWとして「決めきる」という部分と、「チームを高い位置でプレーさせる」という部分は、レッズでも、代表でも、求められている部分ですね。


―――オリンピック同様、秋に開幕するWEリーグも、多くの人から注目を集めると思います。どのような意気込みでいますか。


 まず、三菱重工浦和レッズレディースが「WEリーグ初代チャンピオン」に輝くことが目標です。それを最優先に考えてプレーしたい。私はFWなので、最終的に得点王になれたらこれ以上ないことですね。そして、ファン・サポーターが見ていて楽しめるようなプレー、小さい子供たちにWEリーガーを目指してもらえるようなプレーを見せていきたいです。


―――WEリーグは「1試合平均5,000人」という観客動員を目標にしています。このコロナ禍の状況では、なかなか難しい数字にも見えますが、達成するためには何が必要?


 選手としての立場からいえば、やはり、結果だったり、ファン・サポーターが見ていて楽しいプレーをすることが大切なのかなと思います。


―――ゴールした後の菅澤選手の派手なパフォーマンスは、スタジアム全体を盛り上げています。注目を集めそうですね。


 何か、パフォーマンスのアイデアをいただけたら、それもやりたいですね(笑)。


取材・文●西森彰

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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