明神智和がジャマイカ戦の酒井宏樹を絶賛! 久保、三笘、食野のファーストタッチにも注目

明神智和がジャマイカ戦の酒井宏樹を絶賛! 久保、三笘、食野のファーストタッチにも注目

2021.6.15 ・ 日本代表

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 前回の試合(U-24ガーナ戦)と同様に、相手のレベルと言いますか、モチベーションの差はあったと思いますが、それを差し引いてもジャマイカ戦での日本の戦いは非常に良かったと思います。


 4-0で勝利したこともそうですが、公式記録上は相手に1本もシュートを許さなかった守備の良さが感じられました。オーバーエイジの3選手はそれぞれ良かったのですが、特に酒井宏樹選手のプレーが一番目に付きました。


 僕が数えた限りでは、前半にインターセプトが4回、1対1でボールを奪ったのが2度ほど、さらにセカンドボールを拾う場面も多々ありました。


 前半だけで4回もインターセプトができるのは、まず正しいポジションを取れているから。マークの基本となる原則、相手とゴールを結んだ線上に立ち、マークとボールを同一視し、常にインターセプトできる距離で対応できているからです。


 そのうえで、予測の正確さや判断、決断の早さがあり、さらにボールへアプローチするスピードも素晴らしかったです。もちろん身体の当て方、タイミング、コースそれら全てが良く、ひとりでボールを奪いきってしまえるという部分に頼もしさを覚えました。


 ダブルボランチのふたりもさすがでした。遠藤航選手の得点シーンでは、自らがボールを奪って、ゴールまで結び付ける力も見せてくれました。田中碧選手は、攻撃面でも良かったのですが、それ以上に、後半立ち上がりに右サイドからのクロスを自分でシュートを放った直後に、左サイドまで流れたボールにそのままアプローチしに行って、再びボールを奪うという場面もあって、守備でも非常に好印象でした。


 特に、相手の背中越しに死角から近づき、ファーストタッチを誘導してボールを奪いきってしまう技術には驚かされました。

  一方で4点を奪った攻撃で一番注目したのはファーストタッチの部分で、特に3つのシーンは必見です。


 ひとつは、上田綺世選手のゴールに繋がる三笘薫選手のボールを受けてからのターンです。瀬古歩夢選手からのパスを、相手を見ながら受けた三笘選手が、右足の奥で触るというか、ボールを流しながら右足で前を向いて、スピードを止めずに、そのままスピードアップできるというファーストタッチで、ものすごくレベルが高いと感じました。もちろんその後の上田選手へのスルーパスも美しかったです。


 また、上田選手の動き出しの巧みさも感じました。上田選手はこのスルーパスを受ける最初の位置がオフサイドポジションからスタートします。そして、並走しながらオンサイドに戻り、三笘選手が斜めにドリブルで入ってきた瞬間に、パスを引き出すような動き出しを見せます。常にゴールを意識しているプレーで、身体の向き、動き出しの準備と素晴らしいシーンで、最後のシュートを含めてゴールの楽しさが凝縮された場面でした。


 次は、堂安律選手のゴールの起点になっていた久保建英選手のボールコントロールです。右サイドからの浮き球のパスを、久保選手はワンタッチで左へコントロールします。それを見て駆け上がっている相馬勇紀選手にスルーパスを通し、最後は堂安選手のゴールに繋がりました。久保選手のボールの置き方、ファーストタッチの巧みさが得点に繋がったという場面でした。


 もう一つは、得点には繋がらなかったのですが、70分頃の食野亮太郎選手のシュートまでのシーンです。自分の左後方からのパスを、動きながら、スピードに乗ってファーストタッチでくるっと回りながら前を向くターンで、そのままゴールへ向かっていきました。シュートは最後相手にブロックされてしまいますが、そこまでのボールタッチの技術はぜひ見てほしいシーンです。


 紹介した全てのファーストタッチの場面は、それが2タッチかかっていたらゴールまで繋がらない可能性もあった。走るスピードだけではなく、動きながらのファーストタッチで次のプレーまでのスピードを殺さず、繋げていくことが今のサッカーでは必要な技術だと思います。

  ジャマイカ戦ではそうした選手たちの技術が上手く活かされた、引き締まった試合でした。もちろんメンバー争いがあるなかで、最後まで手を抜かなかったこともあると思いますが、きっかけとしてはA代表との急遽決まった試合での刺激もあったのではないでしょうか。


 オリンピックが終わればA代表というのは全選手が当然考えています。そんななか、海外でずっと活躍しているようなA代表の選手たちと、対戦相手として試合を行なって、それを肌で感じられた。


 U-24の選手たちもある程度できるだろうと考えていたと思います。でも結果は0-3で差を見せつけられました。しかし、その後の2試合を観る限り、A代表戦で感じた差を埋める、課題解決にトライする、選手一人ひとりの逞しさというか、成長する力というものも見えました。


 A代表に向けての今後の目標が明確になったことで良い刺激になったのだと思います。


 この6月の代表活動では選手の成長とともに、チームの成熟も見れました。森保一監督がA代表とも兼任しているため、U-24代表も方向性や戦術の大まかなところは変わらず、コンパクトに陣形を保って、前から守備をし、切り替えを早くして、日本人特有のコンビネーションやスピードを活かしていくというコンセプトは浸透しているように感じます。


 あとは、そのチームの良さをいかに五輪本番のグループステージ初戦でぶつけられるか。また、選手個人のコンディションを含めてどう仕上げていくかということになります。

  今後のメンバー選考はどうなるか分かりませんが、対戦相手の3か国は決まっています。まずグループステージを突破するために、対戦相手の分析、準備はできます。フランス、メキシコはかなり力のあるチームなので、そこに日本の武器のスピードを活かした用兵をしていくのか、相手にボールを持たれる時間も増えることを考慮して、守備力のある選手をあてるのか。


 その3か国をどう分析して、いかに戦うかということで、大方決めているであろう選手以外の、1、2人については決まってくるのではないでしょうか。


 あとはいかに選手が良いコンディションで大会を迎えられるか。日本でやるので、生活のストレスはそれほどないなかで、暑さと疲労をどう考慮しながらベストのコンディションを初戦に持っていけるかでしょう。


 経験あるスタッフもたくさんいますので、メンバー発表後にどれだけの負荷をかけて、どれだけの疲れをとって大会に臨めるか。Jリーグはシーズン途中なので、それほど考慮しなくても良いと思いますが、海外でやっている選手は、シーズンを終えた後なので、見えないところの疲労が溜まっていることもあり得ます。


 また、自国開催なので、いかに落ち着いたなかで練習できるのかということも大事になるのかなと思います。


 いずれにせよ、若い、良い選手がいっぱい出てくるというのが観ているほうとしては楽しいですし、五輪本番ではさらに成長した姿を見せてくれると期待しています。


【著者プロフィール】

明神智和(みょうじん・ともかず)/1978年1月24日、兵庫県出身。シドニー五輪や日韓W杯でも活躍したMF。黄金の中盤を形成したG大阪では2014年の国内3冠をはじめ数々のタイトル獲得に貢献。現在はガンバ大阪ユースコーチとして活躍中。また、「初の著者『徹する力』を2月26日に上梓した。



 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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