ポイントは久保&堂安を活かす快足FWの起用法。 U-24日本は準決勝・スペイン戦をいかに戦うべきか?【東京五輪】

ポイントは久保&堂安を活かす快足FWの起用法。 U-24日本は準決勝・スペイン戦をいかに戦うべきか?【東京五輪】

2021.8.2 ・ 日本代表

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 7月31日の東京五輪準々決勝・U-24ニュージーランド(NZ)戦をPK戦の末、辛くも勝ち切り、8月3日の準決勝にコマを進めたU-24日本代表。Jリーグ発足後、日本サッカー界が主要国際大会で決勝トーナメント1回戦の壁を破ったのは、99年ワールドユース(ナイジェリア)、2003年ワールドユース(UAE)、2012年ロンドン五輪の3回だけだっただけに、高いハードルを越えた意味は大きい。

  しかしながら、森保一監督は金メダル獲得を公言。選手たちも頂点しか見ていない。となれば、次戦の相手・U-24スペイン代表は絶対に倒さなければいけない。


 ご存じの通り、日本は7月17日の本番前最後の親善試合で同国と戦っており、1-1で引き分けている。だが、この時点のスペインは来日直後。高温多湿の環境に適応しきれておらず、EURO2020でフル稼働したペドリ(バルセロナ)らを温存するなど、あくまでテスト的な意味合いが強かった。そこから本番に突入し、4試合を消化。2勝2分と必ずしも波に乗れているわけではないが、着実に本来の力を取り戻しつつあるのは確かだ。


 31日の準々決勝・コートジボワール戦(宮城)を見ても、2度のリードを許しながらも、後半ロスタイムに投入されたラファ・ミル(ウォルバーハンプトン)が登場直後に起死回生の同点弾をゲット。延長に入ってからは攻撃陣が爆発し、5-2と相手を突き放した。


 ラファ・ミルは30数分間のプレーでハットトリックを達成。同じFWのダニ・オルモ(ライプツィヒ)、ミケル・オヤルサバル(レアル・ソシエダ)も得点を奪っていて、取るべき人がゴール感覚を取り戻しつつある印象だ。それだけに手強い相手と言っていい。


「ロンドンの時もテストマッチでメキシコに勝って本番では負けた。その二の舞は絶対にしたくない」とキャプテン・吉田麻也(サンプドリア)は語気を強めたが、前回の教訓をどう生かすかが重要なカギになる。


 7月の対戦時は前半からボールを支配され、日本は守勢に回る展開を強いられた。とりわけ、アンカーのマルティン・スピメンディ(レアル・ソシエダ)を起点とした配球は非常にレベルが高かった。彼が日本の両ボランチ裏を狙い、インサイドハーフのミケル・メリノ(レアル・ソシエダ)らに飛び出させ、両サイドを効果的に使ったことで、日本守備陣は相当に追い込まれ、苦しんだ。


 だからこそ、今回は久保建英(レアル・マドリー)が彼のチェックにより注力しなければいけない。中盤のプレスがハマらなければ、最終ラインへの負担が大きくなるが、今回の日本は冨安健洋(ボローニャ)が累積警告で出場停止。南アフリカ、メキシコ戦同様、板倉滉(フローニンヘン)が穴を埋めると見られるが、吉田も全試合フル出場中で疲労困憊なのは確か。出場停止明けの酒井宏樹(浦和)が戻ってくるのは朗報ではあるものの、最終ラインの負担軽減は意識しなければならない。まずはできるだけ高い位置でボールを奪って攻められるような体制構築を最優先に考え、試合に入りたいものだ。

  そうすれば、久保と堂安律(PSV)の攻撃二枚看板がボールを触る回数も、ゴールへの迫力も自ずと高まっていく。やはり日本の得点源は今大会3ゴールの久保と同1得点の堂安だ。もちろん三好康児(アントワープ)や前田大然(横浜)も点を取っているが、苦しい時は2人に頼らざるを得ない。NZ戦を見ても、久保か堂安がフィニッシュに挑んだ時がゴールの匂いを色濃く感じさせた。スペインは前回対戦で2人のホットラインから1点を取られているだけに、徹底的に警戒してくるだろうが、そこをかいくぐってこそ、金メダルが見えてくる。2人にはこの大一番で一気に突き抜けてほしいものだ。


 彼らフィニッシャーを生かす最前線は、普通に考えれば、林大地(鳥栖)か上田綺世(鹿島)。だが、今回は相手の疲労度を考慮して前田大然(横浜)を先発1トップに抜擢するというアイデアもある。爆発的なスピードで献身的な守備のできる彼なら高い位置でボールを奪える確率が一気に上がる。久保や堂安がフィニッシュに行ける回数もグッと増えるのだ。


 実際、ロンドン五輪初戦でスペインに勝った時も、同タイプのスピードスター・永井謙佑(FC東京)が前からハイプレスをかけ、敵を追い回し、DFのイニゴ・マルティネス(アスレティック・ビルバオ)を退場に追い込むという大仕事をやってのけた。同等以上の圧力をかけることが前田にはできる。この貴重なカードを頭から使うのか、ジョーカーとして置いておくのかは、森保一監督も思案のしどころではないか。この決断が日本の命運を分けると言っても過言ではなさそうだ。

  2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)ベルギー戦(ロストフ)での分析データにもあったように、日本は終盤になればなるほど、アクチュアルプレーイングタイムも強度もデュエル勝率も落ちる傾向が強い。その課題はわずか3年では完全に解決できてはいないだろう。しかも今回は中2日の超過密日程で主力メンバーの体力消耗度も高い。ここまでは途中出場の面々がギアを上げてくれたが、スペインほどの強敵になれば、交代カードがどこまで効果をもたらすか未知数な部分も少なくない。

  こうした要素を踏まえると、今回のスペイン戦は「前半勝負」で行った方がいいのではないか。コートジボワール戦では相手もスローなスタートをしていたし、最初にガツンと叩いて複数得点できればファイナルに大きく近づくはずだ。


 スペイン戦勝利、そして53年ぶりの五輪メダル確定へのゲームプランをどのように描き、実践するのか……。全ては森保監督のマネージメントにかかってくる。来年の2022年カタール・ワールドカップでの8強入りを見据えても、ここで失敗するわけにはいかない。ここまで光った采配力を今回もぜひ継続してほしいものである。


文●元川悦子(フリーライター)

 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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