【釜本邦茂】韓国選手の感情の昂ぶりを理解していなかった日本は、受け身に回って淡々と…

【釜本邦茂】韓国選手の感情の昂ぶりを理解していなかった日本は、受け身に回って淡々と…

2017.12.16 ・ 日本代表

シェアする

[E-1選手権]日本 1-4 韓国/12月16日/味スタ

 

 まさに“味スタの悲劇”とでも言うような惨敗だった。


 

 小林悠のPKで先制したのも束の間、高さとFKで逆転を許し、その後も自分たちのミスからカウンターでピンチを招いて、展開は常に後手に回っていた。兎にも角にも今回は、完敗だったとしか言いようがない。

 

 韓国の選手たちは、日本と対戦する時には、ものすごい気持ちの昂ぶりようで向かってくる。それは歴史的な経緯や民族感情に基づくものでもあるだろうけど、それに対して、日本の選手たちは、そうした相手の感情の昂ぶりというものを理解していないようだった。受け身に回ってどこか淡々とプレーしていた印象だよ。

 

 韓国の日本戦に対する意識の高さは、もう多くの人が知っているように今に始まったことじゃない。私らが現役でやっていた頃もそれは本当にすごい気合いの入りようだった。中国や北朝鮮と戦う時の比じゃない。これは以前のコラムでも言ったけど、時代を経ても変わらない、今も韓国人選手のなかに脈々と受け継がれているものだ。

 

 それに加えて、韓国は伝統的にフィジカル面でも日本を上回るものがあるし、空中戦や球際での勝負での身体の強さも際立っている。だから、気持ちの面で上回られたら、今回のような差がついてしまうのは明白だ。

 

 テレビ解説でラモス瑠偉さんも言っていたけど、「闘う」という姿勢で日本は試合が始まっていた時から負けていたよ。もちろん、選手たちも気持ちを入れて戦っているのは分かる。だけどそれは、相手を上回るだけのものじゃなければ意味がないんだ。


 気持ちで負けていた日本のパフォーマンスを象徴していたのが、中盤でのこぼれ球への反応の遅れと、敵陣に入ってからのパスミスの多さだ。特に日本の選手たちはフリーで受ける時以外は、身体を寄せられるとすぐにバランスを崩して誰かに預けようとするから、そのほとんどがパスミスになっていた。

 

 相手の勢いが増すにつれて、日本の選手は密集の厳しいところで受けようとはしなくなる。だから前線へのサポートが少ないし、ボールを持っている選手も囲まれると、早くボールを離したがるから、無理な体勢からパスを出してはミスになる。試合を通して、こういう悪循環がずっと続いていた印象だ。

 

 戦い方としても相手の裏のスペースに攻撃の選手を飛び出させて、前からプレスをかけていくというやり方自体は否定しないけど、だったら後ろもそれに合わせてついていかないといけない。ただミスからカウンターを受ける流れになってからは、後方が積極的に行けなくなって、前と後ろが離れすぎて全体のバランスも悪くなっていった。

 

 まさしく、メンタル面での優劣が試合内容や結果に如実に反映されたと言えるよ。


 それにしてもハリルホジッチ監督は、1、2戦目で途中出場から良い働きを見せていた川又堅碁を今回もベンチスタートにして、残り20分からの起用にとどめたね。体格のある中国相手にも全然負けずに前線で起点を作れていただけに、韓国戦は先発で起用するのかと思っていたんだが……。

 

 その川又は途中出場でやはり良い働きを見せていた。前線で十分に起点となれていたし、決定的なチャンスも二度ほど作っていた。ゴールという結果は残せなかったけど、トップに張らせればボールが収まるという印象は監督にも植え付けられたんじゃないかな。

 

 その他の選手たちに関しては、悪いがなんのアピールも感じなかった。「俺がワールドカップに出るんだ」という決意をプレーで示す選手は現われなかったね。

 

 とりわけ韓国戦に限って言えば、守備陣の選手たちには厳しい結果になった。空中戦やFKといった相手の武器を活かされたうえでの4失点だから、ちょっと集中力が足りなかった。こうした国際試合では、いつも自分が優位に立って試合を進められるわけじゃない。そういうなかでどうすればテクニックやフィジカルの面での不利を補っていけるのか。経験の浅い選手たちにはいい勉強になったのではないかな。

 

「即席チーム」と言われたなかで、連係はおぼつかないし、チームの約束事や規律にも縛られる。そんななかでアピールを要求された今回の国内組の選手たちは大変だったと思うが、ワールドカップ本大会までは時間がない。この敗戦をいい教訓としなければ、成長はないよ。国内組のラストチャンスなどと言われた今大会だけど、選手たちには最後まで諦めず、来年の本大会ギリギリまで、リーグ戦やテストマッチでアピールを続けてほしいね。



記事提供:サッカーダイジェストWEB

シェアする

最新記事