【河治良幸コラム】アジアカップ準々決勝でベトナムと激突。勝利に向けた、戦い方のポイントは?

【河治良幸コラム】アジアカップ準々決勝でベトナムと激突。勝利に向けた、戦い方のポイントは?

2019.1.23 ・ 日本代表

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森保一監督が率いる日本代表はアジアカップの初戦から、すべて1点差で4連勝。ミスからの余計な失点もあり”勝負強い”と言い切るのは早計だが、試合展開に応じたゲームコントロールを共有し、やり切れるチームになってきていることは確かだ。


ラウンド16のサウジアラビア戦は、ボールポゼッションが23.7%だったことが取りざたされているが、見方を変えれば、負けたら終わりというノックアウトステージの初戦でもあるだけに、相手のポゼッション志向、クオリティも考えながら”同じ土俵”に乗らないことで、より効率的で安全性の高い戦い方にシフトした結果でもある。


ボランチでフル出場した柴崎岳に聞くと「ボールを握られる時間帯が多い展開も予想できたので、意識が統一できた中で戦えたかなと思います」と回答した。


意図した戦いではあったが、理想的な戦い方だったかと言えばそれも違う。柴崎は結果には満足であることを前置きしながら「今後、彼ら(サウジアラビア)とやるときには、こういう試合を繰り返さないというか、こういう展開はなるべく減らしたい」と語った。


試合終盤に投入され、逃げ切りに貢献した塩谷司も「けっこう危ないシーンがあったと思う。ピッチの横から見ていた感覚では、相手がもうちょいミドル(シュート)を打ってきたりしたら、もっと危なかったんじゃないかと。相手がゴール前まで(ボールを)持ちたがるところで助かった」と、対戦相手に助けられた部分もあったことを認める。



サウジアラビア戦で得た気づき


柴崎や塩谷の言葉からもわかるように、できることなら高い位置からの守備で相手をハメて、攻撃ではボールを動かしながら、自分たちで仕掛けていく戦い方で主導権を握って行きたい。それが難しいなら、別の方法で勝利の可能性を高めて行けばいいが、スタンダードを底上げすることで、”プランA”を押し通せる試合や時間帯を増やすことができる。


サウジアラビアには”セットプレーの守備”という明らかな弱点があり、そこを突いて得点を奪ったが、弱点がない相手に同じ戦い方をしても、カウンターの質と精度を上げていかなければ、苦しい戦いになることは間違いない。


サウジアラビア戦はそうした”気づき”を森保監督や選手たち、メディアやサポーターに与えてくれた試合だった。一方で、それらはすぐに改善できない領域の課題であることも確かだ。



格下相手にどう戦う?


準々決勝で対戦するベトナムは、サウジアラビアとは特徴の異なるチームだ。アジアカップベスト8という快挙を達成し、勢いに乗ると同時に、失うものがないチームでもある。イメージとしては、天皇杯でベスト16あたりに勝ち上がった、大学や社会人チームと対戦する状況に似ているかもしれない。


ベトナムとの次戦について、塩谷は「個人個人の心構えが大事」と語る。


「いろんな大会で、日本代表だけじゃなく、クラブのカップ戦とかで”格下”のチームとやるときの難しさも経験している」


東南アジア王者でもあるベトナムが好チームであることは、まぎれもない事実だが、サウジアラビアという準決勝あたりで当たってもおかしくない相手を破った直後であり、大会全体を見ればイラン、中国、韓国、カタール、UAE、オーストラリアと、優勝候補がひしめく中にベトナムが入っている状況を考えれば、カードに恵まれたという心理も起こりかねない。


ベトナム代表を率いるパク・ハンソ監督は、2002年の日韓W杯で韓国をベスト4に導いたフース・ヒディンク監督を、コーチとして補佐した経験がある。東京五輪を目指す、U-22ベトナム代表を兼任する指揮官は、昨年1月のU-23アジア選手権で準優勝、昨夏のアジア大会でベスト4、そして東南アジア王者を決めるスズキカップで優勝を果たし、韓国人でありながら”ベトナムサッカーの父”と称えられる英雄だ。


試合をコントロールして戦いたい


ベトナムの攻守に渡るハードワークと連動性の高いプレーは感動的で、ポゼッションからもカウンターからも、積極的にゴールを目指していく。守備では高い位置、深い位置でも数的優位を作り、ボールを奪いに行く姿勢が強い。日本としては、守備を固めてロングボールを蹴る相手より戦いやすく、おそらく攻守の切り替わりが激しい試合になるはずだ。


ただし、ベトナムが仕掛けるハイテンポの試合展開に、真っ向から付き合う必要はない。日本代表はUAE入りして20日、疲労も確実に蓄積してきている。ベトナムより休息が1日短い、中2日というハンデもあり、ボールを安全に回すところは回し、ギアを入れて攻めるところは攻める。ディフェンスも前からハメに行く時間帯と、自陣寄りにブロックを敷き、ある意味で相手にボールを持たせる時間帯も作るなど、クレバーに試合をコントロールしながら、勝機をつかむ戦い方が重要になる。


準々決勝というステージを乗り越えることで、チームはさらに成長する。ベトナムに勝てば、次は優勝候補筆頭と目されるイランか、マルチェロ・リッピ監督が率いる中国の勝者となる。まずはベトナムに勝利することに集中し、その先に、成長した姿を見せて欲しい。(文・河治良幸)

写真提供:getty images

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