【U-20W杯・エクアドル戦|戦評】指揮官の檄と潮目を変えたワンプレーが今後の教訓になった

【U-20W杯・エクアドル戦|戦評】指揮官の檄と潮目を変えたワンプレーが今後の教訓になった

2019.5.25 ・ 日本代表

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[U-20ワールドカップ グループB]U-20日本 1-1 U-20エクアドル/5月23日/ブィドゴシュチスタジアム 

 

 前半はまるで良くなかった。

 

 ボールを保持するエクアドルに対し、日本は前線からプレスに行けず、守備ブロックを敷いて対応。そうした展開にもかかわらず、自陣でのディフェンスも緩く、防戦一方の時間が続いた。

 

 テンポの良いパスワークを捕まえきれず、エクアドルに押し込まれ、40分には立て続けにミドルを放たれる。すると、44分にはセットプレーから失点。守勢に回って我慢しきれずにリードを許す。当然、影山雅永監督にとっても、不本意な前半だった。

 

「決して相手にボールを持たれることを想定して組んだわけではないです。逆に相手の攻撃のスタイルにしっかり対応しながら、相手には強みがありますので、それを利用してしっかりボールを握ってゴール前に攻撃できる、そのようなことを意図して選手たちをチョイスしたつもりだったんですけども、選手の選択というよりもチーム全体として、ちょっとナーバスになってしまった。いつもやっていたことを放棄してしまったような前半だったのかなと思います」

  会見では冷静に淡々とそう話したが、ハーフタイムには檄を飛ばしたようだ。キャプテンの齊藤未月が明かす。


「カゲさんからもハーフタイムに檄がありました。『相手は何も来ていないぞ、なんでビビってボールを動かさないんだ。田川(享介)とか(斉藤)光毅の裏があるけど、地上でサッカーをするのが俺らじゃないのか』という話をされて、(そうすることで)田川の裏が生きるんじゃないかなと言われて、僕自身もそう思いましたし、チーム全体でもそう思っていたと思うのですけど、前半が終わってしまったのはしょうがないのかなと」

 

 斉藤光毅と宮代大聖を交代して臨んだ後半も、まだギアが入り切らない。49分には伊藤洋輝が自陣でボールロストした流れでエクアドルにCKを与えてしまい、このセットプレーで郷家友太がハンドしてPKを献上。ハーフタイムで切り替えて反転攻勢に出ようとしたなか、最悪の流れだった。 しかし、PKを若原智哉がスーパーセーブ。このワンプレーでようやく日本が息を吹き返す。

 

 57分には最終ラインの裏に抜け出した田川亨介のパスから郷家が決定機を迎え、68分には浮き球のパスに飛び込んだ宮代がGKと競り合うと、こぼれ球を山田康太が押し込んで同点。その後も勢いを増して攻めたが、1-1で引き分けた。

 

 ドローに持ち込めた要因を挙げるならば、ハーフタイムで影山監督が発破をかけたことと、個人のファインプレーで勢いをもたらした若原のPKストップだ。そうして、日本はようやくアグレッシブさを取り戻した。

  ただ、出来の悪かった前半も忘れてはならない。

 

「(ハーフタイムに)カゲさんから言われて、ハッとした選手も多いですし、僕個人もそうです。チームとしても全員がそう思ったと思うので、立ち上がりからミスしても俺がカバーするという気持ちでやりますし、僕個人ももっと前に前にアグレッシブにやって、それで負けるのであればしょうがない。それで勝てれば、スーパー。それだけだと思います」

 

 そう今後の戦いを展望する齊藤未はエクアドル戦の後半に「ミスってもいい、そこから取り返せばいいじゃん。失点しても取り返せば大丈夫だよ」と仲間に声をかけたという。初戦を教訓として、この言葉は今後の指標になるだろう。

 

 今大会のグループステージは各グループ3位の成績上位4チームも決勝トーナメントに進出できる。もちろん、強敵揃いの“死の組”突破に向けてエクアドル戦は大きな勝点1だったが、上手くいかなかった前半を引きずれば敗れるリスクもあった。

 

 そんななか、ドローという結果に加え、消極的になったら失点してしまう“教訓”も得られた。ここにも価値があると捉えていいだろう。

 

 次戦の相手はイタリアに1-2で敗れて最下位に沈むメキシコ。一方、日本は勝利すればグループステージ突破の可能性がグッと膨らむ重要な一戦だ。エクアドル戦の経験を活かして、勝点3をもぎ取りたい。

 

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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