【セルジオ越後】欧州移籍を容認し、すぐに買い戻す…Jクラブと選手の関係は、なんとも甘い

【セルジオ越後】欧州移籍を容認し、すぐに買い戻す…Jクラブと選手の関係は、なんとも甘い

2019.7.10 ・ 日本代表

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 ドイツでプレーしていた宇佐美がガンバに、ベルギーのクラブに在籍していた関根がレッズに戻ってきたね。さらにガンバには井手口まで復帰する噂も出ている。

 

 ガンバとレッズの両サポーターにとっては大きなニュースだと思うけど、決して喜ばしいことではないよ。海外でプレーしていた選手が日本に戻ってくるのは、最近ではよくある傾向だし、出番を失って帰ってきているケースがほとんどだ。

 

 プロサッカー界は契約社会だから、「必要なし」と判断されれば、選手はクラブを変えざるを得ない。つまり日本に帰ってきたら「世界では必要とされなかった」というレッテルを貼られても仕方がない。

 

 近年はセレッソでも、柿谷、山口が、一度海外に出てから長くは続かず戻ってきた(編集部・注/山口は今季から神戸に移籍)。

 

 もうキャリアの晩年を迎えていて、愛するクラブで引退したいというのなら話は分かる。母国アルゼンチンのボカに戻ったテベスのように、世界の第一線で活躍した選手でも、かつて育ったクラブに帰る人は実際に多いからね。

  ただ宇佐美も関根も、それに柿谷、山口にしても、老け込むにはまだ全然早い。サッカー選手としてこれから、という時期に挑戦を諦めてしまうのは、実にもったいないよ。

 

 それに、どうしてほとんどの選手が古巣に戻るのだろう。向上心をもって海外移籍に踏み切ったのなら、国内に戻ってくる時も、すでに地位が確約されているクラブに入るよりも、他チームの競争で揉まれたほうが、よっぽど成長できると思うよ。なんだか移籍というよりも、“留学”というイメージに近いよね。

 

 逃げ道を作っているように見えるし、そうした選手とクラブの関係を見ると“アマチュアっぽい”と感じる。厳しく言えば、それは“甘え”なんだ。例えば元セレッソの選手が、宿敵のガンバに移るとか、そういった電撃的な移籍があったほうが面白いし、クラブ間の競争につながるよね。それこそがプロの世界なんだ。

 

 正直、今の宇佐美や関根が、多くの観客を呼べるとは思えない。なにか海外で実績を残したわけではないからね。もちろんガンバやレッズのサポーターは集まるだろうけど、例えばイニエスタのように、サッカーに興味がなかった人が「有名人だから観にいってみようかな」という気にはおそらくならないだろう。

  むしろブレイクしたタレントがみんな出て行ってしまいそうで、リーグ後半戦の盛り上がりが心配だよ。久保が抜け、日本代表GKのシュミットもベルギーに旅立つ。それにアントラーズの安部をはじめ、多くの若手に移籍の噂が浮上している。

 

 もちろん海外移籍を否定しているわけではない。ただ国内リーグのことを考えれば、慎重になるべきではないかな。選手の意思を尊重するのは大事だけど、時には「今は留まるべきだ」と制すタイミングもある。それを教えてあげなければいけない。

 

 今のJクラブは選手を簡単に海外へ手放し、出番を失ったら、すぐに買い戻す。その繰り返しだ。喜ぶのはエージェントとメディアだけだよ。

 

 メディアは、海外移籍となれば誰彼構わず大きく取り上げるんだから。レアルのBチームに移籍した久保だけでなく、最近ではベルギーリーグで最下位だったクラブへ移籍した天野まで持て囃されている。

  そもそもJリーグの名門クラブからベルギー2部への移籍は、果たしてステップアップなのだろうか……(編集部・注/ベルギーでは複数クラブに八百長疑惑が浮上しており、その裁定次第でロケレンは1部に残留する可能性がある)。少なくともNBAでドラフト1巡目指名を受けた八村塁の快挙と同等に扱ってはいけないし、持ち上げるなら結果を出してからでないと。

 

 もっともピッチ内のニュースが少ないJリーグだからこそ、宇佐美や関根には、頑張ってほしい。ふたりにノルマを設けるのはどうだろう。宇佐美だったら、もう一度代表のレギュラーになるとか、関根だったら代表に入るとか……海外から戻ってきて代表から遠ざかっている選手は少なくないからね。

 

 チームに貢献するだけではなく、同時に日の丸をつければ、帰国の選択が正しかったという証明になる。そういう目に見える成功を収めてこそ、帰ってきた意味があったと言えるのではないかな。

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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