ジダン監督は久保建英を「アセンシオに匹敵」と評価。トップチームから真っ先に声が掛かる存在だ【番記者の現地レポート】

ジダン監督は久保建英を「アセンシオに匹敵」と評価。トップチームから真っ先に声が掛かる存在だ【番記者の現地レポート】

2019.7.21 ・ 日本代表

シェアする

 久保建英がレアル・マドリーのプレシーズンキャンプでポジティブなサプライズを起こした。「とてつもない才能を持っている」、「スペイン語も俺たちより上手い」。チーム内にはこういった賞賛の声が相次いでいる。

 

 彼らにとっても、久保の実力はある程度織り込み済のはずだった。しかし久保がトレーニング中に見せるプレーがその予想を遥かに上回り、こうしたリアクションになったのだ。流暢なスペイン語のおかげでチームにもスムーズに馴染み、とりわけ同年代の若手たちとはすぐに打ち解けたという。


 ジネディーヌ・ジダン監督も久保のハイレベルなプレーに驚いている。現地に視察に訪れたフロレンティーノ・ペレス会長とホセ・アンヘル・サンチェスGD(ゼネラル・ディレクター)のトップふたりには、武者修行先のエスパニョールから復帰直後にブレイクを果たしたマルコ・アセンシオの、2016年夏のプレシーズンキャンプでのプレーに匹敵すると伝えたという。

 

 そんな高まる一方の評価に呼応するかのように、ラ・リーガ1部のクラブへのレンタル話が一部のメディアで報じられている。だが、マドリーの首脳陣は、そうした外野の声を意に介する様子はまるでない。久保については、Bチームに当たるカスティージャ(2部B=実質3部)で1年間経験を積ませながら、ヨーロッパのサッカーへ適応させるという当初の育成プランを見直す考えはないのだ。

 

 たしかに久保のパフォーマンスは素晴らしい。しかし所詮は練習に過ぎず、まだ実戦で結果を残したわけではない。若手の育てるに焦りは禁物。マドリーの首脳陣はこの言葉を肝に銘じて久保の育成にも取り組む考えだ。したがってこのプレシーズンツアーが終われば、予定通りカスティージャに合流する運びだ。

  もうひとつ忘れてはならないのは、ラウール・ゴンサレスの存在だ。今シーズンからカスティージャを率いるレジェンドは、久保を中心としたチーム戦術を構築しており、いきなりエース候補が流出するような事態を新監督が承服するとは考えられない。

 

 久保のプレシーズンでのアピールで大きく変わった点があるとすれば、トップチームとの距離感が一気に縮まったことだ。

 

 当初は、コパ・デル・レイで格下と対戦する場合など、数試合出場機会が与えられれば御の字と考えられていた。だが、いまや怪我や累積警告による出場停止でアタッカーの人材が不足した時には、真っ先にカスティージャから声が掛かる存在と言えそうだ。

 

 当初はその役割を、サントスから加入したロドリゴが担うと考えられていたが、もはや立場は同格である。プレシーズンマッチ、そしてシーズンが始まってからのカスティージャでのプレーを見て、ジダンはこの18歳コンブのうち好調と判断したほうにチャンスを与えていくことになりそうだ。 首脳陣が懸念しているのは、レンタル移籍させることでマドリーのコントロールから外れてしまうことだ。近年、ローンを奨励している若手と異なり、久保は入団1年目だ。これからマドリーの指導システムに当てはめて育成を開始しようとする選手が、もし他のクラブでプレーすれば、プランは全くの白紙に戻されてしまう。


 もちろんサッカーの世界は、物事が目まぐるしく変化する。プレシーズンマッチでさらに予想を上回るインパクトを残す可能性もあるし、カスティージャでいきなり大活躍をするかもしれない。そのうえで、冬の移籍市場でレンタルの話が持ち上がれば、2部Bは相応し場所ではないと、首脳陣が考えを改めるかもしれない。

  ただそれも推測の域を出ない。私が取材をした複数のクラブ幹部はいずれも、「物事は一つひとつ進めていかなければならない」と口を揃えていた。繰り返すが、アピールしたといっても、大半の選手がまだ身体が出来上がっていない段階での1週間半ほどの練習の中でのことに過ぎないのだ。


 その一方で、マドリーの首脳陣は久保の確かな将来性を見抜き、宿敵バルセロナを出し抜いて獲得したことの成果の大きさを確信している。だからこそ、彼らは久保を大切に育てたいと考えている。現時点で久保をレンタル移籍に出す構想はクラブにはない。それが取材を通して得た最新の情報だ。


取材・文●セルヒオ・サントス(『AS』紙マドリー番記者)

翻訳●下村正幸

 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

シェアする

最新記事