「監督力の差」が日本代表とベネズエラ代表の成否を分ける。森保ジャパンには戦術的な統制が…

「監督力の差」が日本代表とベネズエラ代表の成否を分ける。森保ジャパンには戦術的な統制が…

2019.11.20 ・ 日本代表

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 11月19日の日本代表対ベネズエラ代表のキリンチャレンジカップは、戦術面の差、ひいては監督力の差が試合の成否を大きく分けた印象だ。1-4というスコアは、個々のクオリティー以上にゲームプランを含めた戦術面が要因だろう。

 

 ベネズエラ代表のラファエル・は、試合後の会見でこう誇らしげだった。

 

「ここ1週間の合宿の成果が出た。とくに(4点を奪った)前半は狙い通りの戦いができた。私たちはいつも、相手の長所がどこにあるのか、それを発揮させないにはどうすればいいかを考えて準備している。選手たちは日本がどんなチームかを分かっていたんだ。日本の攻撃を積極的なハイプレスで分断できたし、すごく組織的に戦えた」

 

 実際にベネズエラ代表は、組織的なハイプレス、そして高強度のネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)が機能。日本代表の「最終ラインからの丁寧で素早いビルドアップ」という森保一監督が掲げるベース戦術のひとつを完全に潰し、試合の主導権を握っていく。指揮官の言葉を考えれば完全に狙い通りの展開だったはずで、それが前半だけで4ゴールというこれ以上ない結果に繋がったのだ。

  ワールドカップ本大会に出場した実績がなく、欧州トップレベルで活躍する選手も限られるなど、南米の中ではアウトサイダーに位置するベネズエラ代表は、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビア、チリなど同じ地域の強豪国と戦う際に個のクオリティーを組織力で補うしか対抗する術がない。だからこそスカウティングも念入りで、常に相手に合わせた戦術を練っているのだろう。

 

 その入念な戦術が機能して完勝した日本代表との一戦を終えて指揮官は、「来年の公式戦(3月スタートのカタール・ワールドカップ南米予選と6~7月のコパ・アメリカ)に向けて良い準備ができたし、選手たちの自信にもなったと思う」と胸を張った。

 

 対して日本代表は、どうだったか。森保監督の言葉からベネズエラ対策をしていたか否かは読み取れなかったが、少なくともとくに4失点した前半は“無策”に見えた。攻撃は最終ラインからの丁寧で素早いビルドアップという自分たちの形を潰されると、ほぼ手詰まりになる。守備も2トップが敵DFにハイプレスにいくが、中盤と最終ラインが連動せず簡単にボールを前に運ばれた。

 

 親善試合だから相手の対策をしていなかったとしたら、もちろんそれはそれで大問題だ。テストマッチでできないことが、公式戦でできるわけがないだろう。

  守備はどこからプレスを掛けてどこでボールを奪うのか、攻撃はどうやってボールを前に運んでどうやってシュートまで持っていくのか。そうした基本的な統制が、日本代表からはベネズエラ代表と違ってまったく感じられなかった。日本代表が多くの主力を欠いていたのは事実で、個のクオリティーという部分ではベスト時より落ちていただろう。だったらなおのこと、戦術的な狙いや組織力が必要だった気がしてならない。

 

 チームの戦術とメンバーを決めるのはもちろん監督であり、ここで責任を追うべきはもちろん森保監督だ。本人も「監督として指示の部分で何か問題があった」と認めている。

  最終ラインからの丁寧で素早いビルドアップ、連動したアタッカー陣の攻撃などチームの基本コンセプトはもちろん重要だ。しかし、言うまでもなく試合は相手がいるものであり、「自分たちのスタイル」だけで勝てるチームなど世界トップレベルにも存在しない。対戦相手やスタメン構成、そして試合展開によってプレスの開始位置やボールの運び方、さらに陣形の形を変えるのは、ワールドスタンダードの常識だ。少なくともこの日のゲームを観る限り、ベネズエラ代表にはそれができていたし、日本代表にはそれができていなかった。

 

 ワールドカップのアジア2次予選ではそれでも勝てるかもしれないが、アジア最終予選やワールドカップ本大会ではそうはいかないだろう。日本代表が「ワールドカップのベスト8以上」という目標を達成するのは、破らければいけないのは全て個のクオリティーで上回る格上の強豪国。周到なスカウティングに基づいた戦術的な対抗策が必要なのは明らかだ。

 

 その意味で、日本代表がこの日のベネズエラ代表から学べる点は少なくない。

 

取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)

 


 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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