名門ベレーザの血統を受け継ぐ二人は「東京五輪の先」を見ている

名門ベレーザの血統を受け継ぐ二人は「東京五輪の先」を見ている

2015.6.6 ・ なでしこ

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日本の女子サッカー界へ長年にわたり人材を輩出している名門・日テレベレーザ。優れた育成組織は今も健在で、男子でいうジュニアユースにあたるメニーナからを含めると、各カテゴリーの日本代表が毎年にようにこのクラブから巣立っている。


今回の女子ワールドカップ(W杯)では、岩清水梓選手、阪口夢穂選手、有吉佐織選手の3人の選手がベレーザから選出。惜しくもチャンスは逃したが、4年後を目指してネクストカミングの選手達が次々と控えている。そのなかの二人がFW田中美南選手とMF長谷川唯選手だ。


彼女たちに現在の立ち位置、そして4年後のビジョンを語ってもらった。


(阪口)夢穂選手からはいつもアドバイスをもらっています。/田中


————今回のW杯で選ばれた3人の選手から学んだことは。


田中「夢穂さん(阪口)と有さん(有吉)は言葉というよりもプレーで感じさせられることが多いです。チームでも長い時間戦っていますし、その姿を見て自分や下の子たちもついていこうと思っています。チームの雰囲気が悪くなった時、イワシさん(岩清水)が声をかけてチームを鼓舞してくれます。なでしこジャパンに選ばれている3人がいつも引っ張ってくれるので、とても頼もしく感じています」



――アドバイスを受けることはありますか。


田中「夢穂さんはポジションが近いので、よく話してくれますね。「ボールキープの時は腕を上げたり、体を上手く使った方がいいよ」と教えてもらったことがあります。夢穂さんはそういうところ、すごく上手いんです。いつも見習ってます」


長谷川「イワシさんは試合中も厳しく声をかけてくれて、いいプレーした時は必ず褒めてくれます。有さんも夢穂さんも怒るというより、良かったプレーを褒めてくれることが多いです。特に有さんは左サイドバックで私は左サイドハーフなので、一緒にやっていることが多いのですが、調子が良くない時にミスをしても、『今の良かったよ』『今のでいいよ』と励ましてくれます。自由にやらせてもらっているのが凄くやりやすいですね」


高倉監督から『しっかり決めなきゃ』と言われました。/長谷川


――今回はW杯メンバーに選ばれませんでしたが、4年後のフランス大会はすぐやってきます。そこで選ばれるため、今足りないものは何ですか。


田中「佐々木監督のサッカーは前線からの守備が重要ですが、自分は守備への意識が低い。もう少し守備意識を高めていかないといけません」



――佐々木監督から直接言われていたことは。


田中「『お前シュート入らないな~』と言われました。それは自分でも感じていますし、決めきれていないことが多い。なでしこジャパンに選ばれている選手はリーグでも点を取って活躍している選手ばかり。そこは自分の最大の課題なんです」


――長谷川選手は昨年、高倉麻子監督率いるU-17W杯で世界の舞台を経験しました。なでしこジャパンに入っていくために足りない部分はどこだと考えていますか。


長谷川「U-17W杯ではシュートをたくさん外して、決なければいけないところを全然決められませんでした。リーグでもそうですが、ずっと試合に出ていても目に見える結果が出ていません。点を決めて記録を残していかないと…。そこが足りない部分です。高倉監督からも『決め切るところはしっかり決めなきゃ』と言われました」



収穫の多かったドイツの強豪クラブでの初練習参加/長谷川


――長谷川選手は今年のオフシーズンにドイツの強豪ポツダムでの練習に初参加しました。実際に行ってみてどうでしたか。


長谷川「1月に1週間ほど行きました。日本のほうがサッカーは上手いですが、ドイツはパワーがあります。そもそもサッカー自体が違います。日本では経験できないようなことばかりでしたが、上手さは日本の方が上だと思いました」


――逆にドイツサッカーのいいところは。


長谷川「パワーがあって、ここで打てるのかという遠くからでも強烈なシュートを打ってきます。ボールを置く位置が悪くても強引にシュートする、そういうところは日本にありません」


――そういった体験をした上で、やはり海外でプレーしてみたいと思いますか。


長谷川「そうですね。体格もスピードも違うので、その中でも自分のプレーができるようになるには海外でもやっておいた方がいいかと思います」


――ポツダムにはベレーザの先輩である永里紗乃選手がいます。


長谷川「亜紗乃さんが行ったときはお姉さんの大儀見さんと一緒だったんですけど、環境に慣れさせるためにわざとあまり話さなかったそうです。そういう面でも成長できたし、パワーも全く違うし、こっちで経験してみるのもいいのではと話してくれました」



今はシュート練習でも1対1の場面を作ってやっています。/田中


――お2人のストロングポイントはどこだと考えていますか。


田中「裏への動き出しだったり、スピードの部分だったり、ターンから前を向いて思い切りのよいシュートを打てる、そういうところだと思います」


長谷川「運動量が持ち味で、サッカー面というよりはどちらかといえば走って貢献する方が大きいと思っています。そこは自分でも自信があるところ。今はサイドをやっているので、積極的に仕掛ける、味方を上手く使う、またはそこをうまく使い分けられているところかなと思います」


――逆に課題にしている部分はどこですか。


田中「課題は決め切らなければいけないところを決められないことです。簡単なシュートを外すことが多くて、逆に難しいのばかり決めるんですよ(笑)」



――長谷川選手からもそう見えます?


長谷川「はい…そうですね(笑)」


田中「『そこ決めるだろ』みたいなのを外してしまうんですよ。先日のFC伊賀くノ一戦でもあったんです…そこが欠点ですね」


――課題解決に向けて取り組んでいることは。


田中「ひたすらシュート練習です。それも今までだったら普通にシュートを打っていただけですが、最近は1対1の場面を自分の希望で作ってもらってます。コーチも改善のためにアドバイスをくれています」


――長谷川選手は自分の課題、そのためにトライしていることは。


長谷川「実は今季まったく点を決めていないことです。田中さんは難しいのを決めて、簡単なのを外しますけど、自分はどちらも入っていない。昨年の皇后杯でのゴール以来決めていません。ですので、いつも練習の後、田中選手含めて5人くらいで一緒にシュート練習をしています」


もしかしたら2023年、日本に女子W杯がやってくるかも…


――4年後のW杯や、その翌年の東京五輪に向けた意気込みをお願いします。


田中「今回選ばれなかったのはすごく悔しいです。4年後や5年後にはなでしこジャパンの主力になっていたいという思いが強いです。その頃、ちょうどいい年齢なのでチームの中心としてプレーしたいですし、東京五輪での金メダルは自分の夢なんです、ぜひ叶えたいです!」


長谷川「4年後もそうですが、なるべく早く代表に入れるよう、リーグ戦でしっかりと結果を残していきたいと思います」


————実は2023年女子W杯を日本へ招致しようという動きが活発になっています。これがもし成功すれば、東京五輪の3年後には日本で女子W杯開催の可能性がありますが。


長谷川「自分は27歳くらいですね。その1年後にはオリンピックがあるじゃないですか。だから、そのあたりくらいまでは頑張れるかなと思っています」


田中「私は29歳か(笑) サッカーやってるのかな…。オリンピックを東京でやって、3年後に日本でW杯をやるのであれば、続けてみようかなと思うかもしれません。ヤングなでしこの時に日本開催の大会を経験させてもらって、日本でプレーできることの素晴らしさを身に染みて感じました。日本でW杯が開催されることを願います」



田中選手は昨年のアルガルベ杯ではなでしこジャパンの選手として、あの大国ドイツからゴールを奪った。今回のW杯では最も当落のボーダーライン上にいた選手だったかもしれない。それだけに本人の悔しさは人一倍だったはずだ。


一方、長谷川選手は2014年、FIFA U-17女子ワールドカップ初優勝を果たし、MVPの次に値するシルバーボール賞を受賞した。また5月30日からはU-19日本女子代表としてアメリカ遠征に参加するなど成長著しい若手のホープだ。


おたがいの課題が共通していて「大事なところで決め切れない」。田中選手は裏への飛び出しをもっと磨き、長谷川選手はアジリティと運動量がさらに増せば、落ち着いて打てる状態を作り、ゴールを量産できるかもしれない。


二人の未来は、二人が思っている以上に、大きな未来が待っている予感がする。今後も注目していきたいなでしこ達である。(文・上野直彦)

 

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写真提供:getty images,meteor strike

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