三冠達成の日テレ・ベレーザ。強さを象徴する皇后杯決勝2発のアタッカーが見せた充実感

三冠達成の日テレ・ベレーザ。強さを象徴する皇后杯決勝2発のアタッカーが見せた充実感

2019.1.3 ・ なでしこ

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 日テレ・ベレーザが、リーグ戦、カップ戦に続き、今シーズン最後のタイトルとなる皇后杯を制し、シーズン三冠制覇を達成した。

 

 冷え込み厳しい元日決勝は、INAC神戸レオネッサとのシーソーゲーム。2-2で突入した延長で攻撃力が爆発したベレーザが、籾木結花のゴールで勝ち越すと、田中美南がダメ押し。4-2でINACを退け、皇后杯13度目の優勝を手にした。

 

 ベレーザは誰もがゴールゲッターに成り得るチーム。今シーズンを締めくくる大舞台となるこの日、2ゴールを叩き出したのが籾木だ。チームが新たなスタイルへ着手していた今シーズン、籾木は怪我で出遅れていた。チームメイトが試行錯誤しながらゼロからスタイルを積み上げていこうとしているなか、籾木はそれらを実感することすら許されず、ひたすらピッチに戻ることだけを考えてトレーニングに打ち込む日々。当然、焦りは募ったはずだ。ベンチ外、ベンチ入り、そしてスタメン――すべての立場を経験した一年だった。

 

 が、その経験が今、籾木に変化をもたらしている。長谷川唯や清水梨紗といった面々と交わればワンタッチパスで崩す鮮やかなコンビネーション攻撃を見せる。もちろんそういったプレーは今もなお健在だが、どれほどスピーディな展開であっても状況を見極めようとあえて動きをセーブしている瞬間が度々ある。そうすることで味方のシュートコースが広がることもあれば、自身にチャンスが生まれることもある。こうしたトライの結果、向上したのはポジショニング。これは籾木だけでなく、ベレーザの選手全員が今シーズンで格段にレベルアップした要素だ。必然的に好機は増える。

 

今シーズンの集大成である皇后杯決勝で籾木はスタートの遅れなどまったく感じさせないレベルで新たな道筋を示してみせた。ゴールへの逸る気持ちを抑えて、視野を広く取ることを心がけた。

「あまり入り過ぎないように意識してました。自分が触れそうだなって思ったときにだけスピードアップする――。今日はそのスピードアップした2回がゴールにつながりました」(籾木)

 

 特に2点目はポジショニングにズレがあったり、スピードアップの判断が一瞬でも遅ければ間に合っておらず、成長の証とも言えるゴールだった。

  チームが目指すスタイルのなかで、この一年どう生き残るのか、どう成長していくかを重要視していたという籾木。

「優勝を3つ獲った喜びというよりは、怪我の期間も含めて成長した一年だったという充実感の方が大きいです」

 

 確かに屈託なく笑うその表情は、優勝への歓喜ではなく、体中に漲っている充実感そのもの。ベレーザというチームが取り組むスタイルは皇后杯で見せた戦いがあくまでも土台であって、目指すべきところはさらにその先にある。籾木はそんなチーム作りも、そこに適応しようとする自らの成長も“究極の発展途上”として楽しんでいるように見える。

 

 今のベレーザはそれぞれに課題は異なれども、籾木が抱いているような感情をすべての選手たちが胸に刻んで取り組んでいる。常に進歩と改善を繰り返しながら三冠を手にした強さの根源はここにあるのかもしれない。

 

取材・文●早草紀子

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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