なぜマンCはプレミアリーグを独走しているのか? 躍進の鍵は“個”の成長にあり

なぜマンCはプレミアリーグを独走しているのか? 躍進の鍵は“個”の成長にあり

2017.12.19 ・ 海外サッカー

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 プレミアリーグは全38節のうち18節までを消化し、折り返し地点に差し掛かっている。今シーズン、ここまでの様相は「マンチェスター・シティの独走状態」と言うほかないだろう。

 

 プレミアリーグでは開幕から無敗(17勝1分け)を維持。さらに12月13日に行なわれた17節のスウォンジー戦では、アーセナルが2002年2月から8月にシーズンを跨いで達成したプレミアの連勝記録(14)を更新。16日のトッテナム戦でも勝利し、連勝は16にまで伸びている。

 

 さらに今シーズンは、得失点も、56得点・12失点と、リーグ最高と最少の成績をマーク。ライバルたちを全く寄せ付けずにタイトル獲得に邁進しているわけだ。

 

 なぜ彼らはここまで圧倒的な強さを身に付けることができたのか。分析していこう。

 

 ジョゼップ・グアルディオラが率いて2シーズン目となったマンチェスター・Cの最大の魅力は、得点のバリエーションが豊富である点だ。

 

 基盤となるのは、4-3-3のシステムを採用してのオーソドックスな攻め方。両サイドがワイドに開いて相手の最終ラインの幅を広げ、中央に位置するケビン・デ・ブルイネやダビド・シルバなど、技巧派MFを中心にパスワークで崩す手法だ。

 

 仮にこの攻撃が詰まった場合でも、彼らには第2の攻撃パターンがある。

 

 スピードに秀でたラヒーム・スターリングやレロイ・ザネが、サイドから単独突破で相手のマーカーをずらしてフリースペースを生み、前線の他の選手が走り込んで得点に繋げる手法だ。

 

 他にも、マンチェスター・Cは、左サイドバックとしてプレーするファビアン・デルフがボランチの位置をカバーすることで、試合中にシステムを3-2-2-3に変化させ、中盤の数的優位を作ることで、センターから相手を攻略することもできる。

 

 さらにガブリエウ・ジェズスやセルヒオ・アグエロなどのスピードを活かしてカウンターで素早く相手の背後を狙える。言うなれば、今のマンチェスター・Cは、速攻でも遅攻でも、サイドからでも中央からでもゴールが奪えるのだ。

  得点パターンが多彩化されたことからも分かる通り、組織の完成度が高まったことが、強さの最大の秘訣ではある。

 

 しかし、パスを繋ぐ技術やゴール前での落ち着き、そして、マーカーを剥がす動き、オフ・ザ・ボールの動きや意識などは、すべて個の能力の底上げによって実践されているものだ。

 

 そうしたなかで、最も成長している選手を挙げるとするならば、間違いなくデ・ブルイネだろう。

 

 卓越したテクニックを有していたデ・ブルイネは、元々トップスピードの状態でも正確なラストパスを送るセンスなど、速攻の場面でのプレー精度に定評はあった。だが、グアルディオラの薫陶受け、相手がブロックを作った状態でも、抜群のファーストタッチや洗練されたパスで、引いた相手を崩す契機を作り出せるようになった。

 

 さらに得点力にも磨きがかかり、今シーズンはプレミアリーグにおいて既に6ゴールを記録。実に3試合に1点のペースで得点を決めているが、これは昨年の倍のペース。そして、興味深いのは6点中4点を効き足ではない左足で決めている点だ。

 

 DF目線でいうと、両足で強烈なキックを蹴れる選手と自ゴール付近で対面する場合、縦を切っても横を切っても逆を突かれる可能性があるため、トップクラスのDFでも止めることが難しい。そういった点でデ・ブルイネは、相手にとって脅威となっている。

 

 そんなベルギー代表MFの成長も顕著なマンチェスター・Cは、難しい試合を制する勝負強さを身に付けつつある。印象的だったのは、12月11日に敵地オールド・トラフォードで行なわれたマンチェスター・ダービーだ。

 

 終始、ポゼッションして攻め続ける試合展開ではあったが、マンチェスター・Cは、ジョゼ・モウリーニョが仕込んだ粘り強い守備組織と、ワールドクラスのセービングを連発する相手守護神ダビド・デ・ヘアからゴールを決めきれずにいた。

 

 それでも最終的にはセットプレーから43分にシルバ、54分にニコラス・オタメンディが決めて2-1で勝利。2位のユナイテッドとの勝点差を8から11に広げて、首位の座を盤石なものとした。

 

 この試合後にモウリーニョが、「彼らのプレーを見たい人は、恥ずかしい2ゴールではなく素晴らしいゴールを見たいはず」と嫌味をこぼしたことからも、マンチェスター・Cの強さが窺える。

 

 昨シーズンまでは、ただ上手いチームという印象だったが、今シーズンは勝利のメンタリティーが染みついた強者へと変貌を遂げている。

  現在2位のマンチェスター・Uが、後半戦も同じペースで勝点を積み重ねた場合、最終的に勝点82でシーズンを終える計算となる。その場合、勝点83で優勝できるマンチェスター・Cは、単純計算だが、残り20試合で10勝1分け9敗で、4シーズンぶりのプレミア制覇を成し遂げる。


 今後のタイトルレースの焦点となるのは、チャンピオンズ・リーグでどこまで勝ち上がれるかという点だ。選手起用法を含めて、国内の過密日程と並行する欧州での戦いがどこまで続くのかは鍵となるだろう。

 

 さらに国内で無双状態にあるチームは、守備に課題を抱えてもいる。

 

 ヴァンサン・コンパニとジョン・ストーンズが負傷離脱中のCB陣は層が薄く、オタメンディに頼らざるを得ない状況だ。カイル・ウォーカーやフェルナンジーニョをコンバートさせる選択肢もあるかもしれないが、それでは彼らのポジションに穴があく。

 

 いずれにしても冬の補強は必須で、噂の域を出ないがWBAのベテランCB、ジョニー・エバンスを緊急的に補填するという話もある。

 

 もはや濃厚となったリーグ優勝に加えて、複数タイトルの奪還を成し遂げる最高のシーズンにするために、チームは最大限の成果を上げている。その援護が求められるフロント陣も、冬の移籍マーケットでは、結果をきちんと残したいところだ。

 

文:内藤秀明 text by Hideaki Naito

 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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