【現地発】6年目でも主役になりきれないイスコ、マドリーの歴代監督を呆れさせてきたその行動とは?

【現地発】6年目でも主役になりきれないイスコ、マドリーの歴代監督を呆れさせてきたその行動とは?

2018.12.7 ・ 海外サッカー

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 レアル・マドリーTVが制作した13度目のCL優勝の公式ドキュメントの中で、決勝戦のハーフタイム中に指揮官のジネディーヌ・ジダンがイスコに指示を与えているシーンがある。


「リバプールはこちらがパスを回している間に、3人のセントラルMFが中心になって激しくプレスをかけてきている。そうした場面で彼らにボールを奪われたら、とても危険だ。セルヒオ(ラモス)、マルセロ、ラファエル(ヴァランヌ)は積極的に縦パスを入れろ。イスコ、お前もだ。もっと高いところでポジションを保って、相手のMFの背後のスペースを有効に使うんだ。中盤に下がってボールを受けるのはやめろ。チーム全員で縦への意識を強く持って相手の守備を攻略するんだ」


 ベンチメンバーに入り混じって座り、じっとうつむきながら指揮官の話を聞いていたイスコは、「わかった」と気のない返事を返すのみだった。しかし、その後もジダンはイスコのパフォーマンを気に入らなかったのか、63分に交代を命じている。

  イスコは昨シーズン、マドリーの選手として4度目のCL制覇を達成した。ただ同時に、このエピソードが示すようにジダン監督の信頼を失い、さらに入団以来保持してきた「相手を攻略する上で重要な選手」というステータスも失った。


 しかしそれでも、11月27日のCLローマ戦でのベンチ外も含め、ここ1か月間でサンティアゴ・ソラーリ監督から受けている冷遇とも言える扱いは、イスコにとって未知のものである。


 ローマ戦後の記者会見でイスコを招集外にした理由を問われたソラーリ監督は、「戦術的な決定」と答えるのみだった。こうしたケースにおいて監督がよく使う口実であるが、2009年夏に発足したフロレンティーノ・ペレス第二次政権下で、イスコと同レベルの高給取りがこのような仕打ちを受けたのは、カカ以来ふたり目だ。


 その事実を考えると、ソラーリ監督の単なる気まぐれなどではないということ、そして決断の重みが伺い知れる。カカがそのまま追われるようにクラブを去ったのは周知の通りだ。

  イスコは2013年夏に入団すると、瞬く間にサンティアゴ・ベルナベウのアイドルになった。強気なプレースタイル、華麗なテクニック、愛嬌のあるキャラクターを併せ持った彼を、マドリディスタは、宿敵バルサの中盤に長年に渡って君臨したシャビやアンドレス・イニエスタの姿と重ね合わせていた。


 しかし、そうした周囲の期待とは裏腹に、イスコは歴代の監督の絶対的な信頼を勝ち取ることはなかった。


 かつてイスコを指導した経験のあるひとりの監督は、起用のジレンマについて次のように見解を述べている。「トップ下としては得点力が、サイドの選手としては突破力が、中盤の選手としてはゲームを組み立てる能力とフィジカルが、少しずつ欠如している」


 こうしてイスコは入団2年目の2014-2015シーズンを境に年々、出場機会が減少。スペイン代表のアンダーカテゴリー時代から知己の間柄にあるジュレン・ロペテギの就任によって、いよいよ主役へと上り詰めるかと期待された今シーズンも、その指揮官の早期解任も重なり、むしろ数字は悪化している。

  チームメイトによれば、イスコは今回の招集外のように意にそぐわない状況に直面した時、挑発的な態度を取ることがあるという。戦術練習中、みずからの実力をひけらかすかのように派手なプレーを見せては、歴代の監督たちを呆れさせてきた。


 関係者に聞いたところによると、ソラーリとの信頼関係に亀裂が入ったのも、イスコのそうした行動に原因があったという。


 ローマ戦後、イスコのメンバー落ちについて見解を問われたマルセロは、「俺はアドバイスする立場にない。イスコも俺も子供を持つれっきとした大人だ。こういう状況でどんな行動を取ればいいかくらい十分に理解しているはずだ。誰もが試合に出たいと思っている。そのためには練習を重ねるのみだよ」と答えている。


 近年のマドリーは、主力の高齢化が年々進行する一方で、控え組の突き上げが低下。さらに今夏、絶対的エースだったクリスチアーノ・ロナウドが退団した。主力になり切れないイスコは、ある意味世代交代に苦しむマドリーを象徴する形になっている。


文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙/マドリー番記者)

翻訳:下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。

 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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