【特別寄稿】乾貴士がアラベスを魅了した夜――。史上初の日本人が受けたスタンディングオベーション

【特別寄稿】乾貴士がアラベスを魅了した夜――。史上初の日本人が受けたスタンディングオベーション

2019.2.12 ・ 海外サッカー

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アラベスの98年の歴史において、初めてそのユニフォームに袖を通した日本人・乾貴士。彼は指揮官アベラルド・フェルナンデスが率いるチームにしっかりとはまった。いや、乾がその確かな能力ではめさせたと言い換えることもできるだろう。


乾はアラベスで、この冬にアトレティック・クラブに出戻ったイバイ・ゴメスの代わりに右サイドハーフを務めることになる。左サイドハーフには、アベラルドにとってはアンタッチャブルな存在であるジョニーがいるからだ。


実際、今回のレバンテ戦(リーガ第23節、2-0で勝利)で乾の基本ポジションは右サイドハーフだった。だが、これまで左サイドのみでプレーしてきたジョニーと頻繁にポジションを頻繁に交換するなど、乾を生かそうとする方策が立てられていたのだった。


乾がその能力を示すのに、時間はほとんどかからなかった。左サイドはもちろんのこと、右サイドでも、だ。チームメートに正確なパスを出し、気迫あるドリブルからゴールを狙った。ポゼッションフットボールを実践するレアル・ベティスよりも、堅守速攻をベースとするアラベスの方が前方にスペースがあり、彼にとっては快適にプレーできるようだ。またベティスはシステムに選手をはめ込もうとするが、アラベスでは乾を生かそうとする試みがきっちり行われていた。


後半の乾は、右サイドで大部分の時間を過ごした。1-0でリードしている状況でレバンテに攻め込まれる展開となったが、彼はエイバル時代のような見事なプレッシングを見せ、カウンターの急先鋒にもなった。61分にはペナルティーエリア内でシュートを放ったが、これはコースが甘く相手GKがセーブ。アラベス初ゴールはお預けとなった。


乾が交代でピッチから下がったのは、87分のこと。加入したばかりの彼をフル出場させる考えはアベラルドになく、早い段階で交代させる予定だったが、あまりにも調子が良かったために試合終了の3分前までピッチに立たせ続けた。


「当初の考えでは、もっと前に彼を下げるはずだった。彼はアジアカップで、あまり試合に出場していなかったからね。しかし良い調子に見えたし、そのために交代させるのが遅れた。チームに多大な貢献をしてくれる選手になるだろう」


もちろん、彼の勢いを感じていたのは、ベンチだけではない。気温5度以下という極寒の中でアラベスの本拠地メディソロサに集った観客は、ピッチから下がる日本人をスタンディングオベーションでもって称賛した。


エイバルでの活躍によって乾はスペインのフットボールファンにも「素晴らしい選手」と認識されている。もちろん、アラベスのサポーターもそのことは知っているし、期待もしていた。しかし彼らはこのレバンテ戦の夜に、乾がアラベスにとって大きな力になるとの予感を確信に変えたのだった。


文=ホセ・ルイス・デル・カンポ(Jose Luis del Campo)/スペイン『マルカ』紙、アラベス番


翻訳=江間慎一郎




記事提供:Goal

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