英国人特派がトッテナムの新スタに潜入! 総工費約1450億円の新ホームは女性ファンにも配慮のある場所だった

英国人特派がトッテナムの新スタに潜入! 総工費約1450億円の新ホームは女性ファンにも配慮のある場所だった

2019.4.16 ・ 海外サッカー

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 トッテナムの指揮官マウリシオ・ポチェティーノは、先月末に約4年の月日と総工費10億ポンド(約1450億円)を費やした待望の新スタジアムを見て、「正直言って、泣きそうだ。みんなの夢が現実になったんだからね」と、目を潤ませながら喜びを表現した。


 私も実際に足を運び、ポチェティーノのように涙した。それは彼らの新スタジアムに対する羨ましさからくる嫉妬の涙だった――。


 4月13日(現地時間)に行なわれたプレミアリーグ第34節、トッテナムが本拠地にハダースフィールドを迎えたこの一戦に私は足を向けた。


 今月3日に開催されたクリスタル・パレスとの新スタジアムにおけるプレミアリーグの“初陣”を2-0で勝利していたトッテナム。今節は、すでに降格の決まっているハダースフィールドを相手に爆発し、ルーカス・モウラのハットトリックとビクター・ワニャマの一撃で4-0と圧勝した。


 そんな一戦は試合前から活気づいていた。キックオフの数時間前からサポーターたちがスタジアム内に入って、まるで観光名所でも回るかのように新スタジアムを観察していたからだ。同じロンドンに拠点を置き、約3年前に本拠地を移転したウェストハムのそれとは、サポーターの反応が大違いである。

  いまだネーミングライツを買い取る冠スポンサーがついていないため、「トッテナム・ホットスパー・スタジアム」と名付けられている新スタジアムは、外観が大きく、美しい。さらに内部には新車を下ろした時の匂いが立ち込めていて、私は清々しい気分に浸っていた。


 そんなトッテナムの新スタジアムは一体何が凄いのか? まず挙げられるのが、圧倒的なキャパシティーだろう。


 イングランド国内のクラブが所有するスタジアムでは、マンチェスター・ユナイテッドのオールド・トラフォードに次ぐ6万2062人を収容。無論、ロンドンでは最大級だ。ホワイト・ハート・レーン時代の最大収容人数が、3万6284人だったことを考えれば、大幅な増加である。


 実際、ハダースフィールド戦でも、ファンの数がこれまでの約2倍に膨れ上がったことで、トッテナムは、かなり強力な後押しを得ていた。この日のトッテナム・サポーターが陣取るゴール裏のスタンドは、「黄色い壁」と言われるドルトムントのゴール裏を彷彿とさせるほど、凄みがあった。さながら「白き壁」と言ったところだ。 その大きさゆえ、内部に備わっているファンに向けた設備の充実ぶりも凄い。なかでも注目すべきは、コンコースに作られたヨーロッパで最大となる長さ65メートルのバーだ。


 スタジアムにはクラフトビールの醸造所が設けられ、コップの下から湧き出してくるビールサーバーはまさに魔法。これがビール好きのトッテナム・サポーターに大ウケなのだ。


 また、女性ファンに向けた細かな配慮も目についた。それは圧倒的なトイレの数だ。


 従来のイングランドのスタジアムは、トイレの数が少なく、女性ファンを悩ませてきた問題でもあった。しかし、トッテナムはその目につきにくい問題を解決すべく、普通のスタジアムの倍、さらに内装もクリーンで質の高いトイレを設けている。スタジアム内で話を聞いたとある女性ファンは、「混むことがないし、清潔で嬉しいわね」と語ってくれた。

  また、VIPに向けた用意も周到だ。とりわけ必見は、プレーヤーズトンネルにほど近い位置に設けられた特別シートだ。このVIPシートは、ガラス張りのビューイングエリアも兼ね備えられ、選手たちがピッチに入場する際に通過する選手たちを間近で見ることができる。


 まだ本格的な売り出しは始まっていないようだが、シートの値段は、年間9000ポンド(約127万円)、1試合あたり339ポンド(約4万8000円)とされている。試合中にミシュランの三ツ星レストランの食事が付くことも考えれば、かなりお得だ。


 そのほかにも、あらゆる最先端の設備が備わったこのスタジアムの建設費を回収するため、トッテナムは今後、厳しい戦いを強いられるはずだ。少なくとも今シーズンのプレミアリーグをトップ4以内でフィニッシュし、来シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)出場権を獲得はマストであり、近いうちにプレミアリーグとCLのどちらかを手にしなければいけないだろう。


 ともすれば、資金繰りでクラブを苦しめかねない“新居”だが、トッテナムはその大博打に打って出るに値するだけのものを手に入れたと言っていいだろう。


取材・文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)


スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)

profile/1968年6月7日にロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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