“ピッチ上の監督”長谷部誠はほぼ満点! 2部組では完全復活の宮市亮を高評価【ブンデスリーガ日本人選手の通信簿】

“ピッチ上の監督”長谷部誠はほぼ満点! 2部組では完全復活の宮市亮を高評価【ブンデスリーガ日本人選手の通信簿】

2019.5.24 ・ 海外サッカー

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 今シーズンのブンデスリーガは、バイエルン・ミュンヘンがドルトムントとのデッドヒートを制し、前人未到の7連覇を達成して幕を閉じた。


 そんなドイツの地で、激動のシーズンを送った日本人選手のパフォーマンスを100点満点でチェック。1部と2部を合わせ、11人のサムライ戦士のパフォーマンスを振り返る。


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長谷部誠(フランクフルト)…90点(ほぼ申し分なし)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ=28試合・0得点・0アシスト

ヨーロッパリーグ=14試合・0得点・0アシスト

DFBカップ=1試合・0得点・0アシスト

DFLスーパーカップ=1試合・0得点・0アシスト


 昨夏に日本代表を引退し、肉体的にも精神的にも負担が軽減した影響はあるだろうが、35歳という年齢を忘れさせるフル稼働を見せ、公式戦44試合に出場した。プレー機会がより多かった同僚はGK以外では2人(ウイングバックのダニー・ダ・コスタとフィリップ・コスティッチ)しかおらず、すっかり板についたリベロとして大車輪の活躍ぶりだった。


 冴え渡ったのは先を読むプレー。相手の機先を制する動き出しや反応で、インターセプトからカバーリング、対人戦までハイレベルにこなした。ビルドアップの起点としても機能し、とりわけCFのセバスティアン・アレを目がけた正確なフィードは、チームの組み立てに欠かせない武器だった。味方に的確な指示(特に見られたのが19歳のCBエバン・エヌディカに助言を与える姿)を送るなど、“ピッチ上の監督”としても抜群の存在感を放った。

 大迫勇也(ブレーメン)…60点(及第点の出来)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ=21試合・3得点・3アシスト

DFBカップ=2試合・2得点・0アシスト


 1月のアジアカップ参戦と背中の負傷に伴う欠場期間(18~27節)が長く、リーグ戦3得点と不本意な結果に終わった。ただ、ブレーメンのフロリアン・コーフェルト監督から与えられたタスクは点取り屋のそれではなく、複数のポジション(ウイング、トップ下、2トップの一角)で攻撃を活性化とクオリティーを高めること。持ち前のボールキープや巧みな動き出し、正確なラストパスなどを駆使し、その役割をしっかりと消化した。


 悔やまれるのはシュートミスが少なくなかったこと。フランクフルトとレバークーゼンから各1ゴール、そしてバイエルン(リーグ戦とカップ戦で各1ゴール)のネットも揺らしたが、他のゲームでは決定機をモノにできないシーンが目立った。攻撃の全権を担ったエースのマックス・クルゼが退団する来シーズンは、今シーズン以上にフィニッシュ以外のタスクを課されるかもしれない。宇佐美貴史(デュッセルドルフ)…30点(不満が残る)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ=19試合・1得点・3アシスト

DFBカップ=2試合・0得点・1アシスト


 ロシア・ワールドカップ参加に伴う合流遅れで、開幕当初はなかなか出場機会に恵まれなかった。それでも11節のヘルタ・ベルリン戦でブンデスリーガでは6年ぶりとなるゴールを記録。左足で目の覚めるような一撃を突き刺し、ここから一気に波に乗るかと思われた。


 しかし、その後はレギュラー起用が続く中でアピールに失敗。ともに二桁得点を挙げたドディ・ルケバキオやベニト・ラマンらライバルの飛躍もあり、第19節のRBライプツィヒ戦を最後にスタメンの機会は一度も訪れなかった。


 バイエルン、ホッフェンハイム、アウグスブルク時代に続き、またしてもドイツ1部の壁に阻まれた格好だ。すでにデュッセルドルフからの退団(保有権を持つのはアウグスブルク)を明言済みで、古巣ガンバ大坂が有力な新天地候補に浮上している。

 原口元気(ハノーファー)…50点(可もなく不可もなく)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ=28試合・0得点・4アシスト

DFBカップ=1試合・0得点・0アシスト


 豊富な運動量と自己犠牲のスピリットを活かし、身を粉にして攻守に奔走するプレーは健在だった。特にトーマス・ドル新体制となった後半戦は欠かせぬ戦力として、アジアカップ後の全14試合に先発(うち13試合はフル出場)。サイドアタッカー、ウイングバック、2列目のセンター、さらには2ボランチの一角としても奮闘した。いかなる時もハードワークを怠らない姿勢はチームメイトに好影響を及ぼしたはずだ。


 ただ、1点が遠かった。もっとも近づいたのは25節のレバークーゼン戦。GKをかわして無人のゴールにシュートを放つも、降り積もった雪によってボールがゴールラインを割らなかった。チーム最多タイの3アシストを記録したものの、降格が決まったハノーファーで及第点以上の評価がつくのは守護神ミヒャエル・エッサーくらいだろう。浅野拓磨(ハノーファー)…30点(不満が残る)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ=13試合・0得点・0アシスト

DFBカップ=2試合・1得点・1アシスト


 ハノーファーと保有権を持つアーセナル間の契約問題に巻き込まれた。あと1試合の出場で買い取りオプションの施行義務が発生する事情から、残留争いが佳境を迎えた時期に全休(28~34節)を余儀なくされたのだ。現地メディアによれば、ハノーファー側は買い取りの意思を有していたものの、アーセナルの要求額を飲めなかったという。


 アンドレ・ブライテンライター前監督の構想に入っていた序盤戦は開幕3試合でスタメン起用されるも、結果を残せず。その後は筋肉系のトラブルにも見舞われ、結局、公式戦でのゴールはDFBカップ1回戦でカールスルーエから挙げた1ゴールに留まり、シュツットガルトで不遇をかこった昨シーズン後半の雪辱は果たせなかった。

 久保裕也(ニュルンベルク)…40点(やや不満が残る)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ=22試合・1得点・0アシスト

DFBカップ=1試合・0得点・0アシスト


 昨夏の加入当初から技術力の高さが際立っていた。ボールを満足に運べない昇格チームにあって、縦パスを収めて味方につなげられる。その存在価値は小さくなかった。しかし、当時のミヒャエル・ケルナー監督の信頼には結びつかず、11月に入ったあたりから出番が激減。90分間を通してベンチを温めた14~16節にチームが無得点でも風向きは変わらず、厳しい立場でウインターブレイクを迎えた。


 状況が好転したのはケルナーに代わり、ボリス・ショマースが指揮を執るようになってから。新体制の初陣(22節)で9試合ぶりの先発復帰を果たすと、29節のシャルケ戦で待望の初得点。途中出場後にヘディングで先制点をもたらした。


 しかし、水面下で保有権を持つヘント復帰の話が進んでいた(5月中旬にヘントの幹部が代理人との合意を公表)からか、ラスト5試合でわずか14分の出番しか与えられなかった。酒井高徳(ハンブルク)…60点(及第点の出来)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ2部=31試合・0得点・1アシスト

DFBカップ=4試合・0得点・0アシスト


 右サイドバックのレギュラーとして年間を通してフル稼働。セントラルMFやウイングバックでの起用にも応え、ポジションを問わず、いかなる時もチームのために汗をかく“らしさ”を発揮した。


 ザンクトパウリとのダービー(25節)では得点にも絡み、チームの2002年4月以来となる宿敵撃破に貢献。昇格を逃したことに激怒する一部のサポーターからスケープゴートにされ、最終節にブーイングを浴びたものの、多くのファンや地元メディアは「非難は相応しくない」と擁護。及第点は付けられるはずだ。

 伊藤達哉(ハンブルク)…30点(不満が残る)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ2部=14試合・0得点・0アシスト

DFBカップ=3試合・0得点・0アシスト

ドイツ4部リーグ(リザーブチーム)=3試合・0得点・0アシスト


 キレのあるドリブルを武器にトップリーグの並み居る守備者を翻弄するなど、プロ1年目のパフォーマンスは鮮烈だった。しかし、2部で迎えた今シーズンは“2年目のジンクス”にぶち当たり、シンプルなパスミスなどが多く、ゴールに直結する結果を一つも残せなかった。


 ユースでも師事した恩師のクリスティアン・ティッツが10節終了後に解任されると、以降は控え要員に転落。ハネス・ヴォルフ新監督の信頼を掴めず、昇格争いが佳境を迎えた終盤にはセカンドチームでのプレーを強いられた。宮市亮(ザンクトパウリ)…70点(よくやった)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ2部=25試合・5得点・0アシスト

ドイツ4部リーグ(リザーブチーム)=4試合・0得点・1アシスト


 度重なる重傷を乗り越えたスピードスターが復活の狼煙を上げた。5節までセカンドチームでの調整を命じられるも、6節のインゴルシュタット戦で途中出場後に貴重な決勝点。3連敗中だったチームの救世主となった。


 その後は大怪我とは無縁のシーズンを送り、出場数(25)とゴール数(5)ともにキャリアハイを記録。逆サイドからのクロスに合わせる感覚に磨きがかかり、5得点中4つを頭でマークした。もちろん、自慢のスプリント力は健在だ。まだ、26歳。来シーズンのさらなる活躍に期待がかかる。


奥川雅也(ホルシュタイン・キール)…60点(及第点の出来)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ2部=19試合・5得点・1アシスト

DFBカップ=2試合・0得点・0アシスト


 終盤戦にもっとも好印象を残した海外組の一人だ。2トップの一角としてラスト12試合中11試合に先発し、計5ゴールを叩き出した。本人は地元紙で「最初は難しかった。新しいチーム、新しい戦術。でも監督は僕が何をできるか、何をすべきかを話してくれた」と語り、飛躍に導いてくれたティム・ヴァルター監督への感謝を口にしている。


 高く評価されるのはスピードとテクニック。1対1の突破力も買われる。本人も認めるフィジカル強化が今後の課題だろう。来シーズンは保有権を持つレッドブル・ザルツブルク(オーストリア)に復帰すると見られている。

 井手口陽介(グロイター・フュルト)…30点(不満が残る)

【2018-19シーズン成績】

ブンデスリーガ2部=19試合・5得点・1アシスト

DFBカップ=2試合・0得点・0アシスト


 昨夏にリーズ(英2部)からの1年ローンでグロイター・フュルトに加入。3節のキール戦でエリア内への侵入から右足アウトサイドでネットを揺らし、デビュー戦初ゴールを決める最高のスタートを切った。しかし、8節のディナモ・ドレスデン戦で前半途中に負傷交代。右膝の後十字靭帯断裂という重傷で、約4か月の離脱を余儀なくされた。


 復帰したのは32節のケルン戦で、ラスト2試合は先発し、中盤で溌剌としたプレーを見せ、守備に難のあるチームの助けとなった。ただ、離脱期間が長く、厳しい評価にせざるをえない。


文●遠藤孝輔

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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