【現地発】バルサはなぜ安部裕葵を獲得したのか?「クボの件とは全く関連性はない」

【現地発】バルサはなぜ安部裕葵を獲得したのか?「クボの件とは全く関連性はない」

2019.7.16 ・ 海外サッカー

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 バルセロナにとって、久保建英を宿敵レアル・マドリーに強奪された一件が大きなショックだったのは事実だ。仲介料目当てに交渉の裏舞台で暗躍した代理人マネル・フェレールをはじめとした久保サイドの要求をバルサ側が拒否し、交渉は物別れに終わった。確かなのは、そこにメインスポンサーの楽天の思惑が働くことはなかったということだ。


 鹿島アントラーズに所属していた安部裕葵と4年契約を結んだのもまた、純粋に実力を評価したものであり、久保の件とは全く関連性はない。オペレーションを主導したのは、かつてのドリームチームのキャプテンで、現在はカンテラのテクニカル部門のディレクターを務めるホセ・マリア・バケーロだ。


 上司に当たるペップ・セグーラGM(ゼネラル・マネージャー)と密にコミュニケーションを取りながら、今年の冬から安部のプレーの調査を続けており、その流れのまま今回の獲得に至った。


 バルサは同様にセレッソ大阪加入が内定している西川潤(桐光学園)にも興味を抱いているが、現在まだ17歳。実際に獲得に動くには、来年2月の18歳の誕生日を迎えるまで待たなければならない。


 これまたバケーロが主導で行なっているオペレーションであるが、現在バルサではカンテラ組織の再編が水面下で進行している。先日の副会長のジョルディ・メストレの辞任もその主導権争いが引き金となっており、この再編に伴い、最大の理解者を失ったペップ・セグーラ、さらにはバケーロが閑職に追われた場合は、西川の獲得も白紙に戻される可能性がある。

  バルセロナでは、安部の獲得話はほとんど話題になっていない。バルサからマドリーに鞍替えして復帰した久保のようなストーリー性も知名度もないからだ。


 しかも紆余曲折を経てアントワーヌ・グリエーズマンの入団が発表され、ネイマールの復帰話も現在進行中だ。日本人選手という物珍しさがあるとはいえ、Bチームの補強に関心を示す向きはごく少数派だ。


 つまり安部への期待値も現時点ではその程度ということだ。ましてや久保と違って完全な海外初挑戦であり、言語や生活環境から順応していかなければならない。

  安部が加入するバルサBは昨シーズン、昇格プレーオフ進出を逃したが、続投するガルシア・ピミエンタ監督の下、リキ・プッチ、チュミ、アレックス・コジャードといった主力の大半が残留の方向だ。


 ただでさえ特殊なバルサのサッカースタイルに適応しなければならない日本の俊英にとって、ある程度完成されたチームに加入するのはさらにハードルが高く、Bチームで活躍するのも決して簡単な状況ではない。

  バルサはまもなくジャパンツアーのために来日予定で、安部がその遠征に帯同する可能性がある。当然実現すれば注目を集めるだろうが、昨夏、バルサスタイルの申し子として各メディアに取り上げられながら、開幕するとBチームが主戦場となったリキ・プッチの例があるように、しょせんはプレシーズンの調整試合である。


 もちろんまだ20歳と若く、可能性は無限にあり、バルサもそこに期待して獲得している。ただ、トップチーム昇格云々を語るのはあまりにも時期尚早すぎる。環境に適応してBチームの一員としてコンスタントに試合に出場することがまずは先決となる。


文・構成:下村正幸

取材:フアン・ヒメネス(『AS』紙バルセロナ番記者)

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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