“失神”明けの復帰戦で痛恨のPK献上。それでもフランクフルト・長谷部誠の高評価が揺るがない理由【現地発】

“失神”明けの復帰戦で痛恨のPK献上。それでもフランクフルト・長谷部誠の高評価が揺るがない理由【現地発】

2019.10.13 ・ 海外サッカー

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 2-1で勝利したものの、第6節ウニオン・ベルリン戦におけるフランクフルトの代償は大きかった。この試合の終盤、GKケビン・トラップはハイボールに飛びあがった際、同僚の長谷部誠と激しく交錯。体勢を崩して肩から落ちたトラップは、試合後の検査結果、オペをしなければならないほどの症状であることが判明し、今年中の復帰は絶望的だという。


 長谷部もこの交錯シーンで脳震盪を起こし、アウェーで行なわれたヨーロッパリーグ(EL)のギマラエス戦は大事を取って欠場していた。


 ただ、6日のブレーメン戦の前日に行なわれた記者会見では、フランクフルト監督のアディ・ヒュッターが「長谷部誠は、金曜日に(負傷後)初めてトレーニングをした」と口にしていたこともあり、ドイツメディアの間では、今節ブレーメン戦でもまだ復帰は時期尚早という見方が濃厚だった。現地サッカー誌『kicer』も「守備の要が復帰する希望は少しはあるだろうか」と書くにとどめていた。


 それだけに、第7節ブレーメン戦のスタメン復帰は、メディアルームに少なからずの驚きをもたらした。だが、本人としては無理をおしての出場ではなかったようだ。負傷について試合後、チーム練習には金曜日に復帰したものの、トレーニングは火曜日から行なっていたことを明かしていた。


「火曜日からグラウンドでトレーニングしていました。ただ、ボディコンタクトがないような練習の仕方でした。コンディション的には問題なかったので、1週間かけて復帰のためにトレーニングし、今日はやれるなという感覚は自分の中にあった。ケガに関しては問題ないです」

 その言葉通り、キャプテンマークを巻いてフル出場した長谷部は、負傷の影響を全く感じさせず、いつも通りのプレーでチームを攻守にコントロールした。だが、終了間際のこぼれダメに対するタックルでブレーメンMFクラッセンを倒し、PKを献上。1点を失ったフランクフルトは、ブレーメンとの接戦を2-2のドローで終えることになった。


 勝ち試合を引き分けに終える要因を作ってしまった長谷部だが、ドイツ紙『Bild』での採点は2と高評価だった。「素晴らしいリベロ。最後のタックルでPKの要因を作った以外は、ゲームメイクに優れ、競り合いにも力強いプレーを見せていた」と、長谷部のプレーは称賛されていた。


 メディアだけではない。ブレーメン監督フロリアン・コーフェルトも「長谷部は素晴らしかった。私にとって非常に優れたブンデスリーガの選手だよ」と賛辞を惜しまなかったのだ。


 ただし、ヒュッター監督だけは、長谷部のミスに注文を付けた。


「同点シーンの前ではもっとうまく守ることができたはずだ。あそこでスライディングをしてはダメだということをマコトはわかっている」


 しかしそれは単純な批判ではなく、長谷部の賢さを信頼しているからこその指摘だったといえるだろう。


 今季ここまでの総括採点でも「リベロとして廃れることなく、今季も代えの利かない選手として活躍している。影のゲームメーカーとしてアイントラハトの攻撃を彩っている」と評される大黒柱。ピッチ上では誰よりも模範となる姿が求められ、それもまた、長谷部が成し得ていることの素晴らしさの証でもある。


取材・文/中野吉之伴

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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