プレミアEAST2度目の優勝を飾った青森山田。一時の不振を乗り越え、断トツの優勝を実現できた理由は?

プレミアEAST2度目の優勝を飾った青森山田。一時の不振を乗り越え、断トツの優勝を実現できた理由は?

2019.12.2 ・ 海外サッカー

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 高円宮杯プレミアリーグEASTは青森山田が3年ぶり2度目となる優勝を飾った。第17節を終えて10勝3敗4分。残り1節で2位・柏レイソルU-18に勝点差9をつけて断トツのEAST制覇を成し遂げた。


 過去4年連続で最終節まで優勝争いを演じ、2016年には優勝をそれ以外は2位、3位、2位と僅かのところで優勝を逃してきたが、今回は最終節を待たずして栄冠に輝いた。今年のチームは浦和レッズ内定のMF武田英寿と横浜FC内定のMF古宿理久のプロ内定選手2人を擁しているが、前回の選手権で優勝したメンバーは武田と2年生CBの藤原優大のみと経験値の面では不安があった。


 だが、蓋を開けてみれば、古宿を筆頭にビッグセーバーのGK佐藤史騎、カバーリングに長けたCB箱崎拓、ロングスローを持つ右サイドバック・内田陽介、ハードワーカーの左サイドバックの神田悠成。技術レベルの高いMF浦川流輝亜、後藤健太、そして1トップには守備力と得点力を兼ね揃えた田中翔太、強さのあるキム・ヒョンウと昨年トップチームで出番が少なかったり、出場機会がなかったりした3年生が主軸に成長。さらに青森山田中から上がってきたルーキーの松木玖生が躍動し、開幕戦で流経大柏との選手権決勝の再戦を制してから、インターハイまでは8勝2分の無敗で首位を独走し、もはや敵なしの快進撃。


 このまま突っ走るかと思えたが、インターハイでは3回戦で北越にPK戦の末にまさかの敗戦。ここからチームの歯車は狂い出した。再開後のジュビロ磐田U-18戦に敗れ、リーグ初黒星を喫すると、そこから4戦で2敗2分と勝ち星から見放された。

「(再開後)5戦の中でアディショナルタイムに失点をしたのが3試合。最後の最後で切れる集中力と、得点をした後にやるべきことをやらなくなってしまうという悪い流れでズルズル行ってしまった」(黒田剛監督)


 特にショッキングだったのが10月14日に行なわれた15節の尚志戦だ。2-1から追いつかれ、後半アディショナルタイムに失点し、2-3で敗れた。この敗戦から「もう一度、青森山田がこれまで培ってきた勝負のメンタリティを考え直し、選手たちに向き合わせた」と黒田監督が語ったように、インターハイから続く悪い流れを断ち切るべく、原点回帰を図った。


 さらに「自分ですべてやろうと思いすぎていて、勝てない現状にイライラしてしまっていた」と、10番とキャプテンのプレッシャーに苦しんでいた武田に対し、正木昌宣コーチと共に「背負いすぎるな」と声をかけて話し合った。


 この2つがチームの流れを変えた。チームのベースである勝負へのこだわりを再確認し、プレッシャーから解放された武田も躍動感を取り戻した。16節の清水エスパルスユース戦を武田の2ゴールを含む4-2の快勝で6試合ぶりの勝利を手にすると、17節の鹿島アントラーズユース戦も3-1の快勝。武田も2試合連続のゴールを挙げ、得点ランキングトップに立った。 実は鹿島ユース戦の前日に2位の柏U-18が浦和レッズユースに敗れたことで、すでに優勝は決まっていたが、「決まっているからと言って、この試合が雑にならないように、プレーの質や精度にこだわらなくなったら、また元に戻ってしまうぞということはきちんと伝えて送り出した」という黒田監督の檄に応え、選手たちは気を緩めることなく、いつもの緊張感で臨んだからこそ、勝利を手にすることができた。


 プレミアリーグWEST王者の名古屋グランパスU-18とのファイナルは2週間後に行なわれる。決戦に向けて、「万全の準備で臨みたい」と目を光らせた黒田監督の表情には、トンネルを抜け出した2連勝を通じて、確かな手応えを感じているように見えた。


 名古屋U-18は今年の日本クラブユース選手権、Jユースカップを制し、三冠を懸けて臨んでくる、まさに強敵。その強敵を相手に真っ向からぶつかり、高体連初となる2度目の優勝を手にして、2連覇を懸けた選手権に弾みをつけたいところだ。青森山田は雪が舞う青森に戻って、決戦に向けて入念な準備を始める。


取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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