バルサの呆れた「背信行為」――“クラブ愛”を示していた逸材を売却した罪はあまりに重い【現地発】

バルサの呆れた「背信行為」――“クラブ愛”を示していた逸材を売却した罪はあまりに重い【現地発】

2020.2.8 ・ 海外サッカー

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 1月の移籍市場でバルセロナがカルレス・ペレスをローマに売却した。インセンティブを含めると1500万ユーロ(約19億円)近くの金額が懐に入る契約内容でだ。当初は、もしもの時のために買い戻しオプションを盛り込もうとしたが、ローマ、選手サイド双方から拒絶にあい、買い取りオプション付きのレンタル移籍で決着した。


 この電撃移籍は全てバルサ側が仕掛けたものだ。カルレス・ペレスにとって愛するクラブを去らなければならないのはまさに青天の霹靂であり、キケ・セティエン監督からその非情な通告を言い渡された日もいつも通りに練習場を訪れていた。


 このカンテラーノは今シーズン開幕以来、エルネスト・バルベルデ前監督の信頼を獲得。アンス・ファティのブレイクも重なり出場機会が限られる中でも、カンテラ上がりの強みである戦術理解度の高さを武器に、与えられた役割を責任感を持ってこなしていた。


 当然、後任のキケ・セティエンの戦力構想にも入っているだろうと思われていた。しかし新指揮官は現在の実力ではバルサに居場所はないと判断し、長期欠場中のルイス・スアレスの代役探しに奔走していたクラブもおあつらえ向きの補強資金になると考え、嬉々として同意した。

  カルレス・ペレスを昨年9月に2022年まで契約を延長したのは他でもないエリック・アビダルがトップを担う強化部門だ。ましてやバルサは育成重視をうたっているクラブのはずだ。それをやっつけ仕事のように数か月後に売り払ってしまっては、後に続くマシアの若手選手に対して真逆のメッセージを発することになる。


 資金調達が急務で、売却がその手っ取り早い手段だったとしても、それでバルサ愛をプレーでも態度でも体現していたカンテラーノに、背信行為をしていいはずがない。


 カルレス・ペレスだけではない。バルサは同じくこの冬、ジャン=クレア・トディボを買い取りオプション付きのレンタルでシャルケに放出。さらにユベントスにアレハンドロ・マルケスを差し出す代わりにマテウス・ペレイラを手に入れた。


 昨夏バレンシアから加入したネトも実質ヤスパー・シレッセンとの交換トレードだった。1年間の間に中国リーグの広州恒大との間を行き来したパウリーニョも含めて近年、選手の入れ替わりは激しさを増している。数字は正直だ。ルイス・エンリケ監督の下でトリプレーテを達成した2015年夏以降、バルサは10憶ユーロを上回る補強費を投下。その間、加入した新戦力の中で今シーズン、レギュラーと呼べるだけの出場機会を得ているのはフレンキー・デヨング、アントワーヌ・グリエーズマン、クレマン・ラングレの3選手だけだ。

  こうした失態続きの補強がクラブの財政を逼迫させ、その補填のためにカンテラーノが犠牲になってはまさに本末転倒だ。近年、Bチームでも転売目的のような不可解なオペレーションが繰り返されており、ガルシア・ピミエンタ監督のやり繰りを難しくしている。


 バルサはこの冬、バレンシアのロドリゴの獲得に動いた。3年半前に同じくバレンシアから加入したパコ・アルカセルは典型的な9番タイプのストライカーで、ロドリゴよりもよっぽどルイス・スアレスの代役に相応しいが、すでにバルサを退団。ボルシア・ドルトムントを経由して今冬ビジャレアルに加入した。


 一連の迷走の代償を、他のクラブから届いた数々の高額オファーに見向きもせずバルサで活躍することを夢見て努力を続けてきたグラノリェース出身(バルセロナの近郊の街)のニューフェイスに払わせた首脳陣の責任はあまりにも重い。


文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)

翻訳●下村正幸


※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。

 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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