【三浦泰年の情熱地泰】ハッキリ言って高校選手権決勝は面白くなかった…僕が正直にそう言おうと思うワケ

【三浦泰年の情熱地泰】ハッキリ言って高校選手権決勝は面白くなかった…僕が正直にそう言おうと思うワケ

2021.1.17 ・ 海外サッカー

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 まだまだコロナ禍が続く2021年の今年、最初のコラムになる。


 明けましておめでとうございます。


 サッカー界は元旦、天皇杯決勝からスタートし、川崎フロンターレが1-0の最小スコアでこそあるが、力の差を見せつけて優勝した。


 日本のJリーグのスタンダードはこれだ! と言わんばかりのクラブ力、絶妙なチームバランスを披露し、ガンバに対して今年も2020年シーズンからの良い継続を見せそうな一方的な試合であった。


 同時に全国高校サッカー選手権、延期になっていたルヴァンカップの決勝戦も行なわれた。全国高校サッカー選手権は山梨学院が、ルヴァンカップはFC東京がそれぞれ優勝した。


 そして、1月11日11時11分に弟のカズが横浜FCと契約が発表され、今年の2月26日に54歳になり、カズの身体「サッカー選手としての身体」が見れるのは嬉しい限りだ。


 昨シーズンを考えると「試合に出たい」という気持ちは、より大きくなっているのでは……。何歳になっても衰えないモチベーションとサッカーへ対しての誠実な姿勢。今年は1分でも長くカズのプレーが見たい。


 話は変わり、「高校サッカー」も久しぶりにテレビで観戦した。フルで見た試合は少ないが、決勝戦はPK戦まで見させてもらった。


 1年前は我が母校である静岡学園が青森山田を倒し日本一に……。1年後のその舞台に母校の姿はなく、青森山田はその悔しさを晴らすためにピッチに立っていた。


 これは黒田監督と選手たちの1年間を通しての努力の結晶であり、選手権決勝の舞台を3年連続で踏むとは、とてつもない偉業であることは間違いない。本当に考えられない凄いことだ。


 そうした一つの目標へ邁進する姿勢こそが高校サッカーの精神であり、日本の育成を支えて来た肝なのだと思う。それを否定する人間がいたとしたら、それはきっと違う話をしているのであろう。


 だからと言って、目に映ったサッカーが素晴らしいサッカーだったのかどうか、という話はまた別物だ。


 物議を醸したロングスローや、リスクを冒さない前線へのロングフィード、それらのセカンドボールを拾って、または守備のミスを突いて攻める。サイドを崩してクロスを入れても、中は運で合うか合わないか……。


 もちろん戦術には様々な考え方があるが、奪ったボールを相手に簡単に取られない、それだけではなく触らせない。相手をかわす、抜くといった1対1の局面での個人の力、最後まで崩し切ってフィニッシュまで持っていくグループでの工夫……、そういった面で見るべきものはあまりなかった。


 この辺は要求するレベルの違いかもしれないが、世界を目指す日本のサッカー界における課題なんだろう。


 高校サッカーという勝利優先主義になりがちな環境は勝った者が賞賛される傾向にあり、勝ち続けていたチームが負けた瞬間、可笑しなことを言い出す人たちが現われる。そんな環境がじっくりと選手を育成できないことに繋がっているのかもしれない。だが、そんなことは世界でも往々にしてあることだ。


 母校はあのピッチどころか、全国に出場もできなかった。ただそれでも、じっくり静岡学園のサッカーを温めているのであれば、決して常勝軍団でなくても良いと、僕は思っている。


 負けて得るものあるし、負けて成長することも多いのが人生だ。青森山田は昨年、選手権決勝で敗れて以来、一度も公式戦で負けたことがなかったという。


 公式戦で何十連勝と続けてきたなかで、最後の大一番で山梨学院に負けてしまったのである。負けに慣れていない青森山田の選手たちはあの瞬間、どのような態度を取れば良いか分からなくなっていたように見えた。


 当然のことだ……。負けに慣れさせてはいけない。勝利を目指さないスポーツがあったとしたら、魅力は半減してしまう。


 負け方、負けた時の振る舞いを、ワザと負けて覚えることなど考えてもいないだろう。


 ならば、負けを通して人間形成をする監督と、シーズン無敗で走り続ける監督では、「どちらの監督が良いのか?」と言えば、サッカーチームの監督である以上、勝ち続けるほうが良いに決まっている。


 何故か? それはその方が難しいからだ。


 負けるのは簡単。選手を放っておいてマネジメントもせず、遊ばせておけばいつでも負ける。しっかりマネジメントしてでも負ける時は負ける。だから青森山田は凄いことを目指して負けたのだ。


 では、どんなサッカーをして勝ったかを語るなら、自分が監督になった時にやれば良いのだろうか。いや、それでは評論家や解説者、サッカーの記事を書く人が仕事にならない。だから監督は選手は書かれていること、言われたことを気にする必要はない。


 そしてだからこそ、僕は正直に言う。今回の高校サッカーは面白くなかった……。つまらなかった。良い選手もいたのであろうか? もちろん全試合を見ているわけではない。テレビ解説者も甘かった。


 ただ、決勝で激突した両監督ともに、自分たちは良いサッカーをやり遂げたという想いで、満足したことであろう。勝ったサッカーが良いサッカーである喜びを感じているであろう。


 それで良いと言えば良い。コロナ禍で影響が大きく出た大会だったのかもしれない。


 だからこういう状況の中でよくやったぞ! 高校サッカー!! という賞賛だけでサッカー界の育成は大丈夫か? という心配がある。


 昨シーズンはJリーグも降格がなく、終盤戦は消化試合となって、高校サッカーよりつまらない試合が多かった……。


 今年はコロナに世界中が勝利し、新しい様式の中で一所懸命、生きていきたい。今年も宜しくお願いします。


2021年1月16日

三浦泰年

 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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