大会概要

2018年6月、第21回目のFIFAワールドカップがロシアで開催される。東欧の国としては初となる超ビッグイベント、どのような大会としてファンの記憶に刻まれるのだろうか。世界最大の面積を持つ大国の、11都市12会場で64の熱戦が繰り広げられることになるのだが、会場はすべてロシアの西寄りに位置する。我が国を例に考えれば、日本大会であるにも関わらず、会場が全て九州にあるようなイメージだろうか。広大な国土が故の事情と言えるだろう。地図的に見れば偏っているようにも思えるが、西側と言っても会場が点在しているエリアはかなりの広域で。普通に考えれば数カ国を足し上げたような広さとなる。例えば西ヨーロッパ全域でワールドカップを開催しているような感じだろうか(ちなみに2022年大会の開催国であるカタールは秋田県と同じくらいの面積である)。12会場すべてがサッカー専用スタジアムで、そのうち10会場が新設のスタジアムとなる。

出場国的に見るとこれまで4度の優勝を誇り、世界的にもファンの多いイタリア代表が欧州予選で敗退、60年ぶりに出場しないこととなった。2014年大会では3位となったオランダも出場が叶わず、南米選手権を連覇した強豪チリや北米のスポーツ大国・アメリカなどもロシアにはたどり着けなかった。馴染みの強豪国が予選を通過出来なかった分、フレッシュな顔ぶれも目立つ。2016年の欧州選手権で躍進した小国アイスランド、北中米カリブ予選を3位で通過したパナマが本大会初出場を決めている。

前回大会を圧倒的な強さで勝ち取ったドイツが優勝候補筆頭と目されているが、ブラジル大会で屈辱的なグループリーグ敗退を喫したスペインは、戦力的にも内容的にも再び王座を狙うにふさわしく仕上がっている。そのスペインとグループリーグで同居することになったポルトガルも、絶対的なエースであるC・ロナウドを中心に充実しており、栄光を手にする資格をがあると言っていい。怪我から復帰したネイマールが牽引するブラジル、衰えることを知らない天才・メッシを擁するアルゼンチンあたりまでが優勝候補、その後にフランス、ベルギー、クロアチアといったチームが先頭集団をうかがう第2グループを形成しそうだ。

6大会連続出場となった日本代表は4月にハリルホジッチ前監督を解任、本番直前で西野新監督をたてるという荒療治に出た。久保裕也、中島翔哉、堂安律といった気鋭の若手アタッカーを外し、岡崎慎司、香川真司、本田圭佑といったベテラン勢を選出した選手選考に多くの疑問の声が上がったが、大会前の準備期間を考えると、経験を優先してチーム作りを進めるという選択は現実路線をとったとも言える。戦術的には対戦相手のコロンビア、ポーランド、セネガルという世界的なアタッカーを擁する3チームに対抗するために、3バックで守備を安定させた上でカウンターを狙うサッカーとなりそうだ。ドイツでリベロとして実績を残している長谷部誠、サンフレッチェ広島では3バックを採用してJリーグを制した森保一コーチの存在はプラスに働くだろう。誰が予想しても戦力、チームの成熟度を考えれば苦戦は必至、という結論になってしまうが、ブラジル大会でのスペイン、南ア大会でのフランスのように、世界有数のサッカー大国が全く力を発揮できないまま大会を去るシーンは決して珍しいものではない。狡猾に、そして粘り強く戦えば相手の綻びにつけ込むことも出来る。追い込まれた日本代表がどこまで開き直って戦えるかにも注目したい。