【特別対談】メンバーが固定されてきたなでしこ。東京五輪の18人はこの選手だ!

COLUMN河治良幸×清水英斗 世界基準の真・日本代表論⑧

【特別対談】メンバーが固定されてきたなでしこ。東京五輪の18人はこの選手だ!

By 清水 英斗 ・ 2020.6.22

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東京五輪が2021年7月に延期になったことで、選手選考にも新たな考えが必要になった。レジェンドスタジアムで連載コラムを執筆する、河治良幸、清水英斗の両名が、男子のメンバー編成に続き、なでしこジャパンメンバー18名を予想した。


河治:今回はなでしこジャパン編ですが、なでしこの場合は五輪が1年延期になっても、コアなメンバーはほとんど変わらない気がします。


清水:そうですね。


河治:GKから名前を挙げていくと、山下杏也加(日テレ・東京Vベレーザ)と池田咲紀子(浦和)、センターバックの熊谷紗希(リヨン)、南萌華(浦和)は鉄板ですよね。サイドバックは順当に行けば、清水梨紗(日テレ・東京Vベレーザ)と三宅史織(I神戸)。


清水:GKも含めた6人は、僕も同意見です。


河治:あとは、DFのリザーブを誰にするか。センターバックには土光真代(日テレ・東京Vベレーザ)というスペシャリストがいますが、18人のメンバー編成を考えると、ユーテリティ性のある宮川麻都(日テレ・東京Vベレーザ)かな。


清水:僕はDFの人選は、熊谷、南、清水、三宅、土光と鮫島彩(I神戸)にしました。土光は2020年3月のSheBelieves Cupのアメリカ戦でサイドバックでプレーしましたけど、ああいう使い方も面白い。鮫島は入ってこないですか?


河治:鮫島は、来年の東京五輪は34歳で迎えることになります。人格者ですし、先日NHKで放送していた、2011年の女子W杯決勝の放送に出演していましたが、受け答えもすばらしいですよね。個人的にも好きな選手ですし、メンバーに入れたいとは思いますが…。


清水:1年延期の影響を受けるアスリートって、いるんですよね。


河治:いるでしょうね。他競技でも、来年に延期されたことで、東京五輪を目指さない選手も出てきているようです。逆に、これまで今いち身が入ってなかった選手が、これからの1年でものになってくる部分もあるでしょう。もしかしたら、アンダーカテゴリーの代表から急成長して、メンバーに食い込んでくる選手もいるかもしれません。宮川は1998年生まれなので、この1年は大きいと思います。


清水:若手で計算できればいいし、できなかったら改めて、鮫島に出陣を願うみたいなこともあるかもしれません。ザックジャパンの「オオクボ」(大久保嘉人)みたいに。


河治:清水さんのメンバーを見ると、GKとDFの合計が8人で、この時点で僕より1人多いんですね。たしかにセンターバックはもう一人必要ですが、三宅も宮川も最終ラインならどこでもプレーできると思い、あえて入れませんでした。次、中盤に行きましょう。


清水:はい。


河治:高倉麻子監督はボランチに三浦成美(日テレ・東京Vベレーザ)と杉田妃和(I神戸)を固定して使っています。個人的に、そこまで信頼を寄せる理由はなんだろうと…。もちろん、ふたりとも良い選手だとは思いますが、ザックジャパンの『長谷部&遠藤』ほど、固定して使うほどのレベルにあるかというと疑問です。もう少し、他の選手もテストしてあげてよと思ってしまいます。


清水:3月のアメリカ遠征も、杉田と三浦は過密日程の中で3戦フル出場でした。


河治:猶本光(浦和)も断続的に呼ばれてますけどね。猶本は運動量が豊富だけど、一方で動き過ぎるところがあるので、杉田や三浦より信頼できるのかと言われたら難しい。でも、ボランチの人選を疑問に思っているファンは結構いるのかなと。


清水:固定ボランチ。聖域に斬り込みましたね(笑)


河治:長期離脱していた阪口夢穂(日テレ・東京Vベレーザ)のコンディションはどうなんだろう。今年の夏だったら、間違いなく厳しいと思いますが。


清水:確実な計算はできないですね。年齢的にも鮫島と近いですし。


河治:怪我の影響がなければ、どうやったって呼びたい選手だと思いますけどね。あの展開力は魅力なので、僕はメンバーに入れました。三浦はボランチ以外にサイドバックやサイドハーフ、杉田はトップ下的なポジションでも使えるので、そのまま残します。サイドハーフや攻撃的MFでは、籾木結花(OLレイン)は絶対的な存在でしょう。中島依美(I神戸)も、精神的な面と二列目やワイドからのパンチ力があるので外せない。それに、長谷川唯(日テレ・東京Vベレーザ)のチャンスメイクは、このチームの生命線です。あと1人を誰にするか悩みましたが、池尻茉由(仙台)にします。2トップとサイドアタッカーの両方でプレーできる選手です。ここまでで14人ですね。


清水:僕は三浦と杉田を鉄板で置き、長谷川と中島。それに籾木。彼女がこのチームの一番のキーポイントでしょう。


河治:今のなでしこジャパンでは抜群ですね。


清水:籾木をどのポジションで起用するかで、ゲームプランをガラッと変えることができます。サイド、セカンドトップはもちろん、ボランチに置くこともできる。


河治:三浦と杉田が現状のパフォーマンスであれば、籾木をボランチで起用するのもなくはないと思います。ただ、籾木をボランチで使ってしまうと、攻撃的なポジションの選択肢が限られてくる。4-4-2のサイドハーフなら、長谷川と中島を固定するのもありだと思いますが。


清水:籾木はサイドに置いても、懐の深いプレーをするじゃないですか。小さくても懐の深いプレーをして、ボールをうまくおさめる。身長は言い訳にならないと思い知らされるキープ力ですよね。しかも、中盤の隙間に下がって受けるのがうまいので、相手のかみ合わせをずらして優位を作ることができる。すごく重要なプレーです。


河治:抜群ですよね。


清水:MFはここまで挙げた5人(三浦、杉田、中島、長谷川、籾木)と、阪口が呼べる状態なら面白いけど、宇津木瑠美(OLレイン)を中盤の控えに入れます。鉄板ボランチコンビのアクシデントもあり得るし、安定感とユーティリティ性のあるプレーヤーは欲しい。


河治:あとは遠藤純(日テレ・東京Vベレーザ)をどうするか。サイドアタッカーなので、池尻とのチョイスで迷いますが、自分はFWの確定が岩渕真奈(I神戸)と菅澤優衣香(浦和)で、あと1人を植木理子(日テレ・東京Vベレーザ)と上野真実(愛媛FCレディース)で悩んでいます。どちらかを外して、遠藤純にするか…。


清水:たしかに、悩みどころですね。


河治:気持ちとしては、田中美南(I神戸)も入れたいですよ。大好きな選手なので(笑)。でも五輪が1年延期したので、若手の成長との兼ね合いでどうなるか。


清水:僕も田中美南は候補に入れつつ、池尻と迷ってます。


河治:田中美南はなでしこリーグで4年連続得点王になっているので、代表でもゴールばかり期待されて、変なプレッシャーになっている部分もありますけど、もともと万能型で、南野拓実のような器用さがあります。


清水:FWの控えはマルチなプレーヤーか、特定の状況を想定したスペシャルな選手になると思い、FWとサイドのマルチで池尻、スペシャルな選手として遠藤を選びました。遠藤は左サイドを突破して、そのまま利き足の左で折り返す、あれが欲しいなと。左ウイングに置けば面白い選手だと思う。


河治:アタッカーでは長谷川と中島が健在な上に、ボランチの三浦と杉田が順調に伸びて、籾木を攻撃的MFとして使えるとなった時に、遠藤を使うタイミングがあるのか…。ベンチにいて、いつでも出せるジョーカーのワクワク感はありつつ、結局出さずじまいで終わってしまうかもしれません。もしくは、他の選手のケガなどのアクシデントにより、左サイドバックで出場する可能性も。起用法のイメージが難しいです。


清水:負けている状況で点を取りに行かなくてはいけないときには、遠藤が左、籾木をトップ下という攻撃的な布陣もできると思うんですよね。


河治:FWなら、1999年生まれの植木に期待したいところもあります。あとは宝田沙織(セレッソ大阪堺レディース)や97年生まれの小林里歌子(日テレ・東京Vベレーザ)もいます。バランスで言うと岩渕、菅澤が軸で、そこにプラスアルファなので、上野と植木の2人も必要なのかというと…。悩みましたが、FWは岩渕、菅澤、植木、田中美南の4人にします。池尻はとりあえずMF枠のままで。ここは、若手の台頭次第で入れ替わりにも期待したいです。経験値で言えば、川澄奈穂美(スカイブルーFC)を入れるのもありだと思うんですけどね。


清水:僕もいざとなれば池尻や遠藤ではなく、川澄もありだと思う。


河治:あとは籾木をサイドではなく中央メインで使うとなった時に、サイドから切り崩せて、経験のある川澄のような選手は欲しくなる。池尻に関して言うと、自分が上野を外したのも、池尻が165cmというサイズ以上に、前線でロングボールをおさめられるというのがあるんですよ。


清水:そうそう。それで自分はFWを岩渕、菅澤と池尻にしました。あと一人は遠藤純にします。彼女を入れると、4-3-3の布陣もイメージしやすい。高倉監督はほぼ4-4-2で固定してきましたが、世界との対戦を見ると、ラインのすき間でパスを受けられて、崩されるシーンがあまりにも多い。対戦相手の質が上がっているので、日本の守備がキャパオーバーになる場面が目につきます。そこで4-3-3に変えて三浦をアンカーに残し、杉田をインサイドハーフで起用し、長谷川か中島と組ませる。そして、ウイングに籾木と遠藤を置くというパターンを持っておかないと、相手の出方に対応できなくなる怖さがある。(後編に続く)


【2020年6月時点での東京五輪メンバー予想】


システム:1-4-4-2


・河治

GK:山下杏也加(日テレ・東京Vベレーザ)、池田咲紀子(浦和)

DF:熊谷紗希(リヨン)、南萌華(浦和)、清水梨紗(日テレ・東京Vベレーザ)、三宅史織(I神戸)、宮川麻都(日テレ・東京Vベレーザ)

ボランチ:三浦成美(日テレ・東京Vベレーザ)、杉田妃和(I神戸)、阪口夢穂(日テレ・東京Vベレーザ)

サイドハーフ:籾木結花(OLレイン)、中島依美(I神戸)、長谷川唯(日テレ・東京Vベレーザ)、池尻茉由(仙台)

FW:岩渕真奈(I神戸)、菅澤優衣香(浦和)、植木理子(日テレ・東京Vベレーザ)、田中美南(I神戸)


システム:1-4-4-2


・清水

GK:山下杏也加(日テレ・東京Vベレーザ)、池田咲紀子(浦和)

DF:熊谷紗希(リヨン)、南萌華(浦和)、清水梨紗(日テレ・東京V)、三宅史織(I神戸)、鮫島彩(I神戸)、土光真代(日テレ・東京Vベレーザ)

ボランチ:三浦成美(日テレ・東京Vベレーザ)、杉田妃和(I神戸)、宇津木瑠美(OLレイン)

サイドハーフ:籾木結花(OLレイン)、中島依美(I神戸)、長谷川唯(日テレ・東京Vベレーザ)

FW 岩渕真奈(I神戸)、菅澤優衣香(浦和)、池尻茉由(仙台)、遠藤純(日テレ・東京Vベレーザ)



写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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