東京五輪サッカー男子、まもなく初戦! 注目の1トップ誰に?

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第133回

東京五輪サッカー男子、まもなく初戦! 注目の1トップ誰に?

By 清水 英斗 ・ 2021.7.21

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東京五輪初戦の南アフリカ戦は、予定通り行われる可能性が高くなったようだ。試合当日のPCR検査で相手側にコロナ陽性が大量発生し、試合が不成立にならない限りは。濃厚接触者というのは、日本の保健所による判断に過ぎない。国際的に通用するかと言えば疑問符が付く。


選手やチーム関係者には『バブル』の建て前で様々な制約を課しているので、一般と同様の行動制限も当てはめられない。逆に、濃厚接触者の判断を拠り所に、不戦敗を決めてしまえば、欠場させられた選手やチーム側から、訴訟を起こされるリスクが高い。


だからこそ、科学的に陽性を証明しない限りは、極力、試合成立に向かって修正されて行く。大会初戦だけに、この判断は後々の基準。非常に重要なケースだったと思う。


リオ五輪に似た雰囲気

個人的には、ずっとリオ五輪を思い出していた。当時は試合当日になっても、本当に試合は行われるのか、対戦相手が来るのかどうか、不透明な状況だった。しかし、急転直下でナイジェリアはブラジルに現れ、試合はドタバタのまま開催。序盤から浮足立った日本は、4-5で敗れた。


当時の手倉森誠監督は、「決して我々はナイジェリアを侮っていなかった。(中略)。ともすればコンディションで日本にアドバンテージがあるという周囲の風潮が、こうした結果をもたらしたのかもしれない。終わってみれば、罠を仕掛けられたのかなという気もします」と振り返った。


不戦勝になるかもしれない。相手は主力を数人欠くらしい。練習ができず、コンディションも悪そうだ。そんな淡い期待を抱くような雰囲気が、4年前に似て、恐ろしい。


今回は国際経験豊富なオーバーエイジで良かった。また、リオの惨敗を経験した遠藤航がいて良かった。彼らのコメント内容は、その辺りの危うさを心得ている感じがして、頼もしい。


W杯にせよ五輪にせよ、短期大会は「初戦ですべてが決まる」。そのように、耳にタコができるほど聞いたし、経験もしてきた。これだけドタバタだらけで、それでも五輪をやるんだから、とにかく後悔のない試合にしてほしい。


1トップの人選は?


さて。試合の見どころだが、注目は1トップの人選だろう。五輪代表は、ほとんどのポジションでレギュラー格が決まっているが、唯一、左サイドハーフと1トップだけは、定かではない。


特に1トップの人選は、想定したゲームプランに大きく関わってくる。日本は上田綺世、前田大然、林大地と3人のFWを擁するが、3人ともタイプは異なる。


現状、一番スタメンの可能性が高いのは林だろう。ポストワークに優れ、顔を出すのがうまく、3人の中では最も2列目のアタッカーを生かしてプレーできる選手だ。


日本は堂安律、久保建英と、2人の看板が絶好調なので、それだけでも、林を起用するメリットは大きい。普通に考えれば、スタメンは堅い。


前田の裏狙い?


ただし、サッカーで考えなければならないのは、相手のことだ。


南アフリカはCAF(アフリカサッカー連盟)の中では、最もと言っていいほど、組織的な守備をする。4-4-2、4-4-1-1のゾーン守備をコンパクトに敷くか、それがハマらなければ、4-3-3に変えたりもする。


選手個々の立ち位置の取り方も勤勉で、そう簡単には中央を破れないかもしれない。相手の守備のストロングに、こちらの攻撃のストロングを、そのままぶつけるかどうか。失敗すれば、カウンターも怖い。


逆に南アフリカは攻撃面で、パスをつなぐ意識はそれなりに高いが、それほどビルドアップがうまくないので、高い位置からプレッシャーを掛けても面白い。


前田を置いてハイプレス重視のプランで行き、さらに攻撃面では[4-4]ブロックの外から、サイドを攻めつつ、コンパクトに縮めてくるブロックの裏を、前田に狙わせる。どちらかと言うと、そのタイミングやコース取りは上田のほうが面白いが、負傷明けなので、やはり前田になるか。


本来なら前田はスペイン戦のように、日本がリードした展開で、敵陣のスペースを突き、相手を下がらせる役割を担わせたいところ。しかし、今はその役割にあまり手応えが得られていないので、ゲームプランを逆にし、先に前田でハイプレス、後半に林を入れて中盤支配のアプローチに変える手はある。


左サイドと1トップの連携も重要



また、この1試合だけでなく、金メダルまでの道を考えるなら、チームの流れを作りたいところ。それを踏まえると、前田のスタメンは起用的にはサプライズ感が大きく、自分たちの流れ作りとしてはリスクかもしれない。


もう一つ、本来ならば林はバックアップメンバーで、上田が18人の本登録メンバーだったので、少なくともグループリーグは、上田と前田を想定してプランを用意していたはず。そうなると、コンディションさえ問題が無ければ、上田を送り出すのが本道かもしれない。


わからない。1トップは本当に予想しづらいが、逆に言えば、この人選で日本のゲームプランが決まってくる。未確定の左サイドハーフも、仕掛けと飛び出しの相馬勇紀か、中盤タイプの三好康児か、1トップとゲームプランに伴い、決まるだろう。


林か、前田か、それとも上田か。メンバー表を見るのが楽しみだ。個人的には、上田だと思う。アデュー!(文・清水英斗)


東京オリンピック 男子サッカーグループA 第1節

U−24日本代表 vs U−24南アフリカ代表

7月22日20時00分キックオフ

NHK総合、NHK-BS4Kにて19:30より生中継予定



写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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