“デュエル王”遠藤航が語る、ボール奪取のコツは「迷ったら行ってみる」

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第163回

“デュエル王”遠藤航が語る、ボール奪取のコツは「迷ったら行ってみる」

By 清水 英斗 ・ 2022.6.4

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笑いに「w」を使うタイプだとは思わなかった。一人称が「俺」だとは思わなかった。


「みなさん、俺のイメージってどんな感じですか??笑」


先日、そんな遠藤航とファンのふわふわするやり取りをツイッターで拝見した。遠藤ならきっと一人称は「僕」、笑いを表現するときは(笑)。要はスラングに近い言葉は使わないだろうと。遠藤には「品の良い優等生イメージ」がついているようで、その気持ちはわかる。


実際、優等生なのは間違いない。落ち着きがあってクレバーで、相手の言うことを全否定せず、ニュートラルに両面を見ながら、意見を言う視野の広さと公平さがある。2016年のリオ五輪や、現所属のシュツットガルトでキャプテンを務めてきたように、周囲の信頼を集めやすい選手だ。


ただ、優等生にも色々あるというか。今回レジェンドスタジアムで行ったインビューでは、遠藤自身のキャラについても聞いてみた。


「昔から僕のことを知っている人であれば、賢さは……無いわけではないですけど、冗談も普通に言うし、笑いマークも普通に使って良くない? と思って使ったりしますw ただ最近、代表を見ている人からは、堅い人というイメージがあるのかなと個人的には思ってます」


 (キャプテンもやっているし、長谷部誠のような印象で見られる部分は大きいかも?)


「長谷部さんとは全然違うっす、俺は。性格とかも全然違います。共通項目があるとしたらポジションが一緒、くらいです」


では、どんなキャラなのか? 筆者の印象ではわりと豪快で、ちっちゃいことは気にしない、ワイルドな人。もしかしたら不謹慎だと気にする人もいるかしら、といった冗談も、普通に言ったりする。


その辺りの彼の性格は、動画で「声」込みのインタビューを聞くと伝わる部分があるかもしれないので、楽しんでほしい。


迷ったら行ってみる


また、そのインタビューでは、遠藤の名刺になった『デュエル』のコツも聞いている。


「一番重要なのは、迷ったら行ってみる。それに尽きるんですけどね。最初は。それで、意外とこのタイミングで行っても奪えるな、みたいなタイミングがつかめると、より行けるようになる」


「身体も、もちろんトレーニングはしているので、今は体つきも他のドイツ人選手と比べても……というより自分のほうが優れていると思うし、意外とドイツ人も他の外国人選手も、強くガッて行くと、痛がりだったりもするw そこは日本人が持っていたイメージとは違ったりもするので」


迷ったら行ってみる。行けばわかるさ。


「みんなが一般的に思っていることを”それって本当なの?”と疑うことが好き」と語る遠藤。勇気と好奇心で、最初の一歩を雄々しく踏み出す。


遠藤はキャプテンシーがあって優等生だとも思うが、長谷部とは印象が違う。たとえば長谷部が、ドラゴンクエストで言うところの僧侶型キャプテンとすれば、遠藤は戦士型だ。パーティーの先頭に立って、最初の困難に突っ込む感じ。背中でみんなを引っ張って行く。


スタジアムの空気を変える


森保ジャパンの勝ち試合を思い浮かべると、大体、序盤に遠藤がデュエルを仕掛け、相手のカウンターの芽を潰すとか、ショートカウンターに転じるとか、日本が勢いづくようなボールの奪い方をする場面が目立つ。


これは三笘薫も言っていたが、特に海外の選手はアグレッシブで、調子に乗らせるとノリと勢いでどこまでも調子付いてしまうので、序盤に「こいつやるな」と思わせ、相手の足を止めるかが重要だ。


遠藤はそれをデュエルで実践する。実際、彼のボールの奪い方は圧倒的で、「こいつやるな」と相手を逡巡させ、味方を勇気付ける。時にはスタジアムの空気を変えることもある。そういうデュエルが出来る選手は、決して多くはない。


ロシアワールドカップで長谷部誠が代表を引退した後、A代表キャプテンは吉田麻也が務めている。その吉田も今年で34歳だ。次期キャプテンを考えたとき、遠藤は有力候補の1人に違いない。


将来的に遠藤がキャプテンを務めるとすれば、そうやって先頭に立って戦いを仕掛け、豪快に背中で引っ張って行く、戦士型のキャプテンになるのだろう。実現すれば、そのチームも楽しみだ。


将来のキャプテン候補として


今回のインタビューでは「A代表のキャプテンに興味はあるか?」と直球の質問も投げているが、「うーん、興味があるかないかで言えば、ありますね」と言葉を選びつつも、答えてくれた。ただし…。


「なんて言うんですかね。自分でなりたいと言って、なるものではないので。監督から指名があったり、周りの選手が自分に対してどう思っているか、そういうところが大事だから。キャプテンに値するかどうかは周りが判断することですし、そうなれば頑張りたいなと思いますけど、他の選手がやっても個人的には何も変わらないです」


この考え方は好きだ。キャプテンになる云々は自分が決めることではない。でも普段から、そこに名が挙がるような自分で居たい。そこが大事。


「なぜシュツットガルトで自分がキャプテンに指名されたのかを考えたとき、練習の姿勢とか、ピッチ上でのパフォーマンスだったり、常にチームのために働いたり、そこら辺を評価してくれたと思う」


やっぱり、キャプテンに名が挙がるような人は整っている。「長谷部とは全然違う」と本人は言うし、確かに違うとも思うけれど。ただ、やっぱりどこか整っている。


キャプテンを務めるのは「好きか?」と聞くと、遠藤は肯定した。


「周りの選手がプレーしやすい環境を作るというか、そのために自分が何をすれば良いのかを考えるのは結構好きというか。そんな感じはありますね」


カタールワールドカップでも、その働きは重要になるはず。今回は次期云々の話が多めになってしまったが、まずはカタールで脂の乗り切ったプレーを。そしてまた半年後に、この話をしよう。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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