E-1選手権から、カタールW杯に滑り込む選手を予想する。可能性があるのはマリノス勢?

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第167回

E-1選手権から、カタールW杯に滑り込む選手を予想する。可能性があるのはマリノス勢?

By 清水 英斗 ・ 2022.7.31

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東アジアの王者を決める『EAFF E-1選手権』。日本代表サムライブルーは韓国を3-0で破り、4大会ぶり2度目の優勝を手にした。


果たして今回のメンバーから、カタールワールドカップに名を連ねる選手は出てくるのか。もとからA代表の一員だった谷口彰悟、山根視来を除けば「ゼロ」と言う人もいるが、個人的には2~3人、選出されるのではないかと思う。


根拠は3つ。


1つは、準備期間が乏しいE-1選手権で、一体感のあるチームを作り上げたこと。ベンチの選手は立ち上がり、局面に一喜一憂し、声をかけ続けた。実力以上のモノを出せるチームの雰囲気があり、それが優勝につながった。


11月に開幕するカタールワールドカップは、約10日の準備期間しか与えられない。


クラブ毎にある程度選手をまとめたとはいえ、より日程条件が厳しかったE-1で、これほど一体感のあるチームをスピード構築した経験は、カタールでも生かしたいところだ。


特に先陣を切ってチームを盛り上げていた水沼宏太は、今大会の中心人物だったと伝え聞く。誰よりもギラギラしていた、とも。その個性は、森保ジャパンのラストピースになり得るのではないか。


自立型の森保ジャパン


6月のA代表シリーズを思い返すと、4試合が終わったとき、率直に言えばがっかりした。三笘薫は細かいところまで詰め切れていない連係の乏しさに苦言を呈し、話題を呼んだ。森保監督は「頼もしい」とコメントしている。


だが、本来なら6月が終わった後にそんな話が出てくるのではなく、そこを出発点に6月の4試合を戦い、結果はどうあれ詰め切って欲しかった。


自立型の森保ジャパンにとって、選手同士のコミュニケーション濃度は生命線だ。なのに、その薄さが垣間見える。未だワールドカップに向けた本格的なスタートを切れておらず、焦燥に駆られる。


チーム内のコミュニケーションを活性化させる強い個性。田中マルクス闘莉王の「俺たちは下手くそなんだよ!」をきっかけに加速した南アフリカ大会のように、チームをブーストさせる存在が必要ではないか。


今はその要素が欠けているからこそ、消化不良の6月、詰め切れない6月で終わってしまったのではないか。その意味では今大会、水沼の高いテンションがとても魅力的に映った。


目立ったマリノス勢


E-1からカタールへ行く選手は、2~3人いると読む。そう考えた2つめの根拠は、サイド攻撃の改善期待だ。


今回のE-1でマリノス組中心のA代表は、サイド攻撃で多彩なバリエーションを発揮した。韓国戦の1点目&3点目は、共に右サイドが基点。水沼と小池龍太に、ボランチの藤田譲瑠チマ、岩田智輝が絡み、スムーズな連係で相手の守備を崩した。


これまで森保ジャパン本隊は、ウイングの1対1に頼るばかりで、サイド攻撃の連係が乏しいことが課題だった。そして、今のままでは強豪国のDFには通じないことも、6月の代表戦で身にしみた。


その点で今回のE-1のA代表は、インナーラップ、3人目の飛び出し、ボランチのサポート、それらの連続と、豊富なコンビネーションを見せた。まるで「サイド攻撃はこうすればいいんだよ」と提言したかのよう。


東京五輪後に語った田中碧の言葉を借りるなら、2対2、3対3になったとき、彼らはしっかりとパワーアップしていた。このサイド連係は、森保ジャパン本隊にも持ち込みたい。


とはいえ、マリノス勢を全員招集するわけにはいかないので、他の選手に伝えたり、意見できる影響力がありそうな……やはり水沼か。水沼以外では20歳のボランチ、藤田譲瑠チマのプレーも印象的だった。経験のある選手、イキの良い若手、どちらもチーム作りのスパイスになる。


登録メンバーが23人から26人へ


森保ジャパン本隊に欠けた要素を、E-1のA代表が持っていた。それが2~3人、カタールW杯へ滑り込むと考えた大きな理由だ。


何より3つ目の根拠として、登録メンバーが23人から26人に増えている。この「+3」は大きい。メインとサブを各ポジションに用意した上で、さらに3人選べる。このチョイスは監督の色が出そうだが、E-1でアピールした選手が食い込むすき間は、広がったと言える。


水沼や藤田以外では、相馬勇紀の名もある。同じポジションには三笘や南野拓実がいるが、相馬はハードワークできる個性があるので、ゲームプランによっては置きたいと考えるかもしれない。


町野修斗は数少ないポストプレーヤーとして印象を残したが、海外組の林大地や上田綺世もいるので、序列は難しいところ。西村拓真もシュート力やメンタルの強さが魅力だが、古橋亨梧や浅野拓磨、前田大然など、層の厚さに阻まれるか。


何にせよE-1選手権とワールドカップのつながりは、当初はほぼ無いと思っていたが、意外とありそうだ。そう思わせる優勝だった。「+3」の行方はいかに。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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