ついに五輪初戦を迎えるなでしこジャパン。タレント揃いのカナダの攻略法は?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第85回

ついに五輪初戦を迎えるなでしこジャパン。タレント揃いのカナダの攻略法は?

By 河治良幸 ・ 2021.7.20

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21日、サッカー女子日本代表”なでしこジャパン”は、札幌ドームで強豪カナダとの東京五輪初戦に臨む。女子のソフトボールとともに、他競技に先駆けてスタートするだけに、日本に勢いをもたらす意味でも重要な役割を担っている。


初戦は2試合目のイングランド戦とともに無観客となったが、14日に行われた有観客のオーストラリア戦でファンサポーターからエールをもらい、その思いを感じながら戦ってくれるはずだ。


FIFAランキング8位のカナダは2019年の女子W杯でスウェーデンに敗れ、日本と同じくベスト16で敗退となったが、2012年のロンドン五輪、さらに日本が本戦出場を逃したリオ五輪で3位に輝き、銅メダルを獲得した。


躍進著しい欧州勢をのぞくと、世界王者アメリカに次ぐ実力国であり、2018年に行われたアルガルベ杯の5位決定戦では、0-2で敗れた相手でもある。


2019年に静岡の日本平で行われた親善試合では4-0の勝利を飾っているが、相手のコンディションなどを考えると、あまり参考にはできない。


柔軟な攻撃スタイル


カナダは今年4月、五輪で同じグループとなったイングランドに2-0で勝利。6月11日のチェコ戦ではスコアレスドローに終わったが、圧倒的にボールを保持してシュートも20本を記録。


続く14日には、メダル候補のブラジルと対戦。スコアレスドローながら、やや優勢のパフォーマンスを見せていることからもわかるとおり、力のあるチームと言えるだろう。


カナダは4-2-3-1がメインシステムだが、試合によって中盤と前線の形を使い分けることができる。しかも、メンバーを変えずに変更可能なので厄介だ。


なでしこも4-3-3をオプションに加えるなど、立ち位置のズラし方も含めて、2年前より幅が出てきたが、カナダも強化試合で欧州の強豪相手に柔軟な対応、自分たちから先手を取る変化も見せており、シンプルに身体能力や縦の推進力を発揮するだけのチームではない。


タレント揃いのカナダ


チームの大黒柱は12番をつけた、38歳のシンクレア。175cmのサイズと抜群のセンスに豊富な経験を加えて、日本の脅威になり続けるはず。


さらに23歳にして、A代表で80キャップ以上を誇るチェルシー所属のフレミングは、2列目からの飛び出しや技巧的なミドルシュートでゴールを狙うタレントだ。


そして180cmのFWハイテマはビジュアルやカナダ代表の快速FWアルフォンソ・デイヴィスの恋人であることでも注目されるが、スピードとテクニックを兼ね備えるハイスケールなアタッカーで、シンクレアやフレミング以上に怖い存在になりうる。


もう一人の危険なアタッカーは、サイドからの切れ味鋭いドリブルを武器とするローズ。ほかにも、中盤から幅広い守備と正確なパスで、攻撃を支えるクイン。「駆逐艦」のニックネームでも知られるボール奪取の鬼、スコットも攻守両面で強度が高い。


センターバックは経験豊富なサドルスキーと身体能力が抜群のブキャナンのコンビが予想され、ゴールを守る175cmのGKラベーは抜群の安定度を誇る。


ハイプレスがポイント


日本としては札幌ドームの恩恵も味方に、得意とするハイプレスでカナダに高い位置で起点を作らせないこと。良い形のボール奪取から長谷川唯や塩越柚歩が絡み、エースの岩渕真奈がフィニッシュに持ち込む形が理想だ。


そのためには2トップを組むことが予想される菅澤優衣香が屈強な相手のセンターバックに、どれだけプレッシャーをかけられるかがポイントになる。


ボランチの中島依美や三浦成美が得意とする二列目からのミドルシュートは、カナダの守護神ラベーをそう簡単に破れないだろうが、積極的に狙っていくことがセカンドボールを生み出し、日本らしい細かいコンビネーションからの崩しにつながるので、ダイナミックさは折り混ぜていく必要があるだろう。


セットプレーの駆け引き


もう1つ、鍵を握るのがセットプレーだ。日本はコーナーキックで、親善試合のオーストラリア戦では見せなかったトリッキーな形を使い、点を取りにいくはず。一方のカナダも高さでは日本を圧倒的に上回っており、ターゲットマンだけで170cm以上の選手を揃えることもできる。


コーナーキックや深い位置のフリーキックは与えたくないが、センターバックの熊谷紗希を中心に、タイトに体を付けてクリアするなど、ゴールを与えないようにできるかは大きなポイントだ。


サイドバックの攻撃参加


攻撃面では、サイドバックの清水梨紗による攻撃参加も重要になる。左でスタメンが予想される宮川麻都にしても、インとアウトのポジションを使い分けることで、前線の選手たちよりもフリーでボールを持ちやすくなることは、オーストラリア戦でも証明されている。


ただし、カナダは前への圧力が非常に強いので、それに押されるとサイドバックが出ていけず、前線が数的不利になる。結果として、個の力で強引に仕掛けなければいけない場面も増えるだろう。


最終的にはFWの岩渕や左サイドハーフの長谷川など、攻撃的なポジションの選手がゴールに絡むとしても、サイドバックの攻撃参加はかなり重要になる。ただし、0―0で終盤を迎えた場合は、日本もカナダも勝点3にこだわり、相手に隙を与えるような戦い方はしないはず。


5人の交代枠があり、どう活用するかも見所だが、大事な初戦だけに、負けないためのゲームコントロールも必要になるだろう。(文・河治良幸)


東京オリンピック 女子サッカーグループE 第1節

なでしこジャパン(日本女子代表) vs カナダ女子代表

7月21日19時30分キックオフ

TBS系列19時、NHK-BS119:20より生中継予定


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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