「ピピは周囲を驚かせている」マドリー番記者に訊く中井卓大の“リアル評”。クラブ関係者が「大きな進歩」と明かしたのは…【現地発】

「ピピは周囲を驚かせている」マドリー番記者に訊く中井卓大の“リアル評”。クラブ関係者が「大きな進歩」と明かしたのは…【現地発】

2020.11.19 ・ 海外サッカー

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 ピピ(中井卓大)が先月12日にレアル・マドリーのトップチームの練習に参加した。これは重要な出来事だが、同時にそのコンテクストを理解する必要がある。まず当時インターナショナルウィークで12人の選手がチームを離れていたこと。こうした状況下で、ジネディーヌ・ジダン監督がカンテラから選手を呼ぶのは通例のことだ。カスティージャ、次にフベニールAがそのメインとなるが、ピピが所属するフベニールBから呼ばれることも珍しくはない。


 人選はカンテラ部門の最高責任者であるマヌ・フェルナンデスの意向が大きく反映される。ジダンが必要なポジションを伝え、それに沿ってマヌ・フェルナンデスが候補となる選手を推薦。ジダンが許可するいう流れだ。言うまでもなく選手たちにとってはトップチームの監督にその実力をアピ―ルするまたとないチャンスだ。ただそれが即恒例化することはない。ピピの場合も、トップチームという頂きにたどり着くまでまだいくつものステップを駆け上がる必要がある。


 いずれにせよ、この出来事は現在のクラブ内でのピピへの評価の高さを示すエピソードと捉えてもいいだろう。カンテラの関係者もこう語る。


「中断期間がプラスに作用したようだ。長年の課題だったフィジカル面で大きな進歩が見られる。2014年にマドリーに入団してから、テクニックは素晴らしいものを持っていた。ただフィジカルが弱く、球際で劣勢を強いられる場面が少なくなかった。でも徐々に改善されてきている。今も全体練習とは別に、個人でもトレーニングに取り組んでいる。プレシーズンでも周囲を驚かせるほどのプレーを見せていた。また一つステップを上がった」


 今後もこのフィジカル面をどれだけ向上できるかがピピのマドリーでのキャリア、ひいてはサッカー人生を左右することになるだろう。彼の本職はメディアプンタ(トップ下)だ。ただ現代サッカーでは特殊なポジションと化しており、ピピもマドリー入団以来、起用されたことがあるとはいえ、これからカテゴリーを上げていくには選択肢を増やすことは欠かせない。


 別のチーム関係者は「ピピはインテリオール(インサイドハーフ)への適性がある。これからもフィジカルは改善していく必要があるが、向上心の強い青年だ。必ず適応できるはずだ」と評する。


 20-21シーズンはピピにとって重要な分岐点となるシーズンになりそうだ。フベニールBに所属するが、ステップアップへの足がかりを築いていかなければならない。マドリーのカンテラは、実力がある選手であってもよほどのことがない限り飛び級で昇格させない方針をとっており、デ・ラ・ビボラのような2003年世代を代表するホープも今なおフベニールBに登録されている。ただ今シーズンはフベニールAの試合にも多く出場することが予想されており、ピピも目指すべきはそこだろう。


 すなわちBチームで不動の存在となり、Aチームに抜擢されるに足る能力を示すことだ。フベニールAに定着できれば、マドリーがディフェンディングチャンピオンであるUEFAユースリーグ(若手版チャンピオンズ・リーグ)に出場するチャンスも生まれる。さらにフベニールAでも結果を出せば、もう一つ上のカテゴリーであるカスティージャへのデビューも見えてくる。


 プレシーズンマッチではすでにカスティージャで3試合に出場しており、ラウール・ゴンサレス監督は、4-3-3のインテリオールに加え、ウイングでも起用した。首脳陣は、ピピが守備面で成長している点を評価しており、その土台となっているのが前出の関係者が語っていたフィジカルの向上だ。

  もともとテクニックは折り紙付きで、その最大の武器を活かしここまでマドリーのカンテラでも活躍を見せてきたが、カテゴリーを上げるにつれそれだけでは難しくなってくる。今後もどこまで守備面でのアグレッシブさを磨いていけるかがカギであり、ピピはそうした自らの課題を理解し、向上に努めている。


 今シーズン、ピピにとって重要な分岐点となりそうなもう一つの理由が契約問題だ。プロへの扉が開けてきたピピは数か月前、ガレス・ベイル(現トッテナム)らを顧客に持つ『Stellar Group』とマネジメント契約を結んだ。ピピがフベニールの年齢制限を超えるのは2022年夏。タイミング的には年明けに交渉を始めてもいい頃だ。


 実際、今後のマドリーでのキャリアをデザインしていくために世界を代表する大手エージェント会社をパートナーとして選んだのであり、今の成長度を維持できれば、それだけ有利な契約を結ぶことにも繋がってくる。


文●セルヒオ・サントス(アス紙レアル・マドリー番)

翻訳●下村正幸



 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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