大会概要

日本代表が参加するのは実に5大会、10年ぶりとなるFIFA U-20ワールドカップが韓国で、5月20日〜6月11日の23日間に渡って開催される。2005年まではワールドユースと呼ばれていたこの大会、文字通り20歳以下(1997年1月1日以降生まれ)の選手のみで構成された24ヶ国の代表チームが世界一を競う。この大会の楽しみの一つは『次世代スターの発掘』であろう。20歳以下であっても既にビッグクラブで活躍するような選手もいるが、あくまでそれは一握り。その殆どが国際的には無名であり、この大会で名前を売り、欧州の檜舞台目指してステップしていこうという、野心溢れるヤングフットボーラーが集結する。

インターネットが発達する以前はビッグクラブのスカウトが目を光らせ、スターの原石を探す品評会、ショーケース的な意味合いもあった。今やネット上に将来有望な小学生の動画が溢れかえる時代、全くノーマークのプレイヤーが発掘されるようなことは稀になったが、世界一を争う過程で揉まれ、勝ち残れるメンタリティや運を持っている選手と出会える貴重な機会だ。リオネル・メッシやポール・ボグパ、シャビ・エルナンデス、ルイス・フィーゴ、そしてレジェンド中のレジェンド、ディエゴ・アルマンド・マラドーナもこの大会を制した経験を持っている。韓国大会に出場する選手の中から次のスーパースターが登場することは間違いないだろう。

だが、最も注目すべきは久々の登場となるU-20日本代表だろう。通算8回、特に1995年大会から7大会連続で出場していたが、2007年のカナダ大会を最後に4大会連続でこの舞台への参加が叶わなかった。10年ぶりに出場権を勝ち取ったチームを率いるのは内山篤監督。選手はもちろん、スタッフも含めて結束力の高い集団にまとめ上げ、アジア予選(AFC U-19選手権)は無失点で初優勝という見事な勝ちっぷりを見せた。U-20ワールドカップと言えば1999年大会で準優勝に輝いた小野伸二、遠藤保仁、本山雅志、稲本潤一らを擁した黄金世代の功績が突出しているが、彼らとてアジア予選は準優勝であり、中国に引き分け、韓国には予選と決勝で二敗を喫している。アジア予選の難易度は今のほうが厳しい。無失点での優勝は大いに誇れる結果と言えよう。

元FCバルセロナの育成部門に在籍した久保建英(FC東京U-18)に注目が集まるため、他の選手が相対的に目立たなくなりがちだが、冨安健洋(アビスパ福岡)と中山雄太(柏レイソル)を中心とする守備陣は組織的で非常に安定性が高い。中盤にも好選手が揃う。J1アルビレックス新潟史上初の高卒新人開幕戦スタメンデビューを果たした原輝綺、ユーティリティプレイヤーのキャプテン坂井大将(大分トリニータ)など、守備でも攻撃でも力を発揮できる選手達が招集された。

堂安律(ガンバ大阪)はこのチームのエースと呼ぶべき選手であり、アジア予選ではMVPに選ばれ2016年のアジア年間最優秀ユース選手賞にも輝いた。J1でも今シーズンは8試合に出場、3試合に先発し3得点と、堂々とした成績を残している。エースストライカー小川航基(ジュビロ磐田)、ユース世代ナンバー1の逸材と言われる岩崎悠人(京都サンガ)等を中心とした攻撃陣もバリエーションに富んでいる。

グループステージでは南アフリカ、ウルグアイ、イタリアと強敵ばかと対戦するが、24チームの中から16チームが勝ち上がれるため、初戦に勝利すると決勝トーナメント進出も現実的になってくる。ぜひ一つでも多くの試合を経験して欲しい。そして、恐らく大会後、このチームをベースにして2020年東京五輪に向けた代表チームが構築されることになる。開催国は予選免除となるため、チームとしても個人としてもこの大会で積める経験は貴重だ。勿論、活躍如何ではアジア最終予選を戦うA代表への抜擢すらあり得る。コアなサッカーファンならずとも注目すべき大会といえるだろう。