強化日程が足りていないU-18日本代表。2大会連続でU-20W杯出場を果たすために、すべきこととは?

COLUMN川端暁彦のプレスバック第47回

強化日程が足りていないU-18日本代表。2大会連続でU-20W杯出場を果たすために、すべきこととは?

By 川端 暁彦 ・ 2017.9.15

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9月4日から6日にかけて、大阪府内にてU-18日本代表候補合宿が行われた。2年後のU-20W杯を目指すチームであり、元・ファジアーノ岡山監督の影山雅永氏を指揮官に迎え、今年2月から活動をスタートさせている。今年、10年ぶりの出場となった同大会に、連続出場を目指すチームと言えばいいだろうか。


チーム発足から半年あまり経ち、チーム強化が順風満帆かと言うと少々疑わしいところがある。この段階での完成度で言えば、内山篤監督の2年前のチームのほうがずっと上だろう。そしてこれは、影山監督の責任ではない。極めて単純な問題として、集まった回数と時間が少なすぎるのだ。


今回の候補合宿は今年で4度目の招集だが、過去3回はいずれも国際ユース大会の直前に集まり、大会終了と同時に解散する形式。「合宿」は初めてのことだった。視察に訪れたJクラブのスカウト陣から「この合宿、半年前にやるべきだったんじゃないの?」という声も聞こえてきたが、確かに1次予選を目前に控え、メンバーの過半数が初招集というラージグループの合宿を張るのは異例の流れだ。


活動日程の大幅な縮小


参考までに2年前のU-18代表の強化日程を紹介しておこう。


1月:ロシア遠征(国際大会参加)

3月:ラージグループの候補合宿(4泊5日)

4月:強化合宿(2泊3日)

5月:韓国遠征

6月:中国遠征(国際大会参加)

7月:強化合宿(3泊4日)

8月:SBSカップ(静岡県)

9月:中国遠征(国際大会参加)

9月末~10月:アジア1次予選(ラオス)

11月:イングランド遠征

12月:強化合宿(3泊4日)


一方、今年のU-18代表の強化スケジュールはこうだ。


2月:スペイン遠征(国際大会参加)

6月:ポルトガル遠征(国際大会参加)

8月:SBSカップ(静岡県)

9月:ラージグループの候補合宿(2泊3日)

9月:カタール遠征(国際大会参加)

11月:アジア1次予選(モンゴル)


補足は要らないと思うが、強化日程がまるで違う。2年前のU-18代表チームは、4大会連続でU-20W杯出場を逃していたタイミングで、来る東京五輪の最上級世代でもあった。危機感の裏返しとしての強化スケジュールとも言えるが、今年はU-17、U-20が10年ぶりにそろって世界大会に出場を果たす中、予算が圧迫されてしまった面もあるそうで、かなり厳しい強化日程しか組めていない。


本来ならばもっと多くの選手を試した上で、チームの骨格ができるところまでいってほしい時期だが、現実はそうなっていないのだ。


世界大会に出続けることで見えるものがある


もちろん、「1次予選はその強化日程で、十分に突破できる」という見方もあるだろう。同グループ最大のライバル、タイはイージーな相手では決してないが、モンゴルという東南アジアから遠く離れた場所での開催ということもあり、過度の心配は要らないのかもしれない。


だが、次の年のことを思えば、どうだろうか。カテゴリーが「U-19」となり、プロ1年目の選手がチームの過半を占めるようになると、強化遠征や合宿などを組んだところで、選手を集めること自体が難しくなる。内山監督が率いたチームは1年目にしておいた貯金が次の年に効いていた。はたして、今回のチームはその貯金ができているのだろうか。


ない袖は振れなかったのだろうし、覆水は盆に返らない。だが、この強化日程では足りていない。来年、そこをどう補うのかという視点はもちろんのこと、来年また世界大会に出場したときに「次のU-17とU-20」へ、しっかり投資しておく重要性はあらためて指摘しておきたい。


10年ぶりの出場はあくまで通過点であるべきで、続けて出ることで見えてくるものは確実にある。まず種をまき続けなくては、花が咲き続けることもないのだ。(文・川端暁彦)

写真提供:川端暁彦

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川端 暁彦

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行

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