Jリーグデビューを果たした若き才能たち。ネクストブレイクは誰だ?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第76回

Jリーグデビューを果たした若き才能たち。ネクストブレイクは誰だ?

By 河治良幸 ・ 2021.3.10

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前回から引き続き、2021シーズンでの飛躍、そして3年後のパリ五輪に向けて、有力候補になりうる若手選手をピックアップしたい。


まずはJ2の東京ヴェルディから、J1の徳島ヴォルティスに移籍したMF藤田譲瑠チマ。そして、ロティーナ新監督のもと、躍進を目指す清水エスパルスのMF鈴木唯人はパリ五輪世代ながら、活躍が期待される有望タレントだ。


さらには、昨シーズン少し壁に当たった感のあるセレッソ大阪のMF西川潤も代表活動が減る中で、しっかりとクルピ新監督にアピールできるか。多くの若手にチャンスを与えてジャンプアップさせてきた指揮官のもと、飛躍が待たれる。


名古屋グランパスの成瀬竣平は高精度のクロスを武器に、右サイドバックの主力候補として期待がかかる。課題のディフェンスや状況判断に、どれだけ磨きをかけられるかが、ポイントになるだろう。


昨シーズン最下位からの巻き返しをはかる湘南ベルマーレでは、欧州に移籍した齊藤未月に続く才能として、MF柴田壮介、田中聡が台頭。柴田は機動力、田中聡はボール奪取力に優れた選手だ。


ブレイクなるか? ガンバの若手アタッカー


ガンバ大阪のFW唐山翔自も昨シーズンはJ3で結果を残したものの、J1ではプレッシャーの厳しい環境で”自分らしくない”と本人も認める、消極的なプレーが目立ってしまった。相手ディフェンスを外すセンスは抜群であり、外国人を含めた強力FW陣にどこまで割って入れるか。他にも、ゼロックス・スーパー杯でスタメンに名を連ねたFW川﨑修平は、攻撃センスと戦術眼を兼ね備えたブレイク候補だ。


2003年生まれのFW坂本一彩も、宇佐美貴史、堂安律のように、若くしてチームの主力になることを期待される一人。ドリブルからのシュートセンスは抜群で、注目してほしいタレントだ。


J2では”長州のレヴァンドフスキ”こと、レノファ山口のFW河野孝汰。横浜F・マリノスから大宮アルディージャに期限付き移籍したドリブラーのMF松田詠太郎。松本山雅には、インスピレーション溢れるプレーが武器のMF村越凱光と、スピード、テクニック、センスを兼ね備えたFW横山歩夢がいる。


ほかにも、展開力に優れる東京ヴェルディのMF山本理仁。京都サンガのMF川﨑颯太などが、それぞれのクラブで主力になりうる。新卒では、アルビレックス新潟のMF三戸瞬介。俊敏な仕掛けが持ち味の面白い存在だ。


開幕スタメンを飾った、高卒ルーキー樺山


Jリーグが開幕し、期待が高まった選手もいる。横浜F・マリノスでは、興國高から加入した”カバちゃん”ことMF樺山諒乃介が、昨シーズン王者・川崎との開幕戦にスタメン出場を果たした。鋭いドリブルで相手を脅かしたが、守備では対面する右サイドバックの山根視来に背中を取られて失点の要因になるなど、多くの課題も見られた。


本人はそうした課題を謙虚に受け止めつつも、自分の特長である「縦への仕掛け」は出し続けることを宣言。続く、ルヴァン杯の開幕戦にはダイヤモンド型4-4-2の左サイドハーフで先発し、公式戦の初勝利に貢献。リーグ戦の第2節にも途中投入されるなど、主力の一人として定着しつつある。


その樺山をして「今は自分より上」と言わしめたのが、J2のジェフユナイテッド市原・千葉で開幕戦のゴールを決めたFWブワニカ啓太と、大宮アルディージャの開幕戦で逆転につながる同点弾を決めた柴山昌也だ。


ブワニカは第2節でスタメン、柴山は初戦に続いて後半開始から投入されるなど、それぞれのチームで信頼を高めている。彼らは樺山とともに昨年末のU-18日本代表候補合宿で切磋琢磨した間柄であり、活動後も刺激し合っているようだ。


若手の台頭著しい鳥栖


J1で連勝スタートを切り、注目を高めるサガン鳥栖では、二種登録の中野伸哉が、3バックの左、左サイドバックのレギュラーとして、攻守に渡ってハイプレスとポゼッションをベースにしたチームを支えている。


鳥栖といえば副キャプテンを担うMF松岡大起の存在感が極まっているが、2節の浦和戦では、同期のMF本田風智が鋭いドリブル突破からシュートを放ち、GK西川周作に弾かれたものの、こぼれ球を押し込んだFW山下敬大のゴールを導いた。


パリ五輪世代の中でも、一躍評価を高めるのがセレッソ大阪の西尾隆矢。新加入選手の怪我、外国籍DFが来日できないなどのアクシデントでスタメン候補に押し出された感もあるが、宮崎合宿からのアピールが実り、開幕から3試合連続でフル出場を果たした(3節終了時点)。


さらにはJ2の東京ヴェルディで15歳のMF橋本陸斗が開幕戦デビューし、17歳のFW阿野真拓が2試合連続でスタメン起用されている。冒頭に書いたように、藤田が徳島に移籍したヴェルディだが、Jリーグを代表する育成クラブの1つとして、中盤の主力を担う山本理仁を筆頭に、若手の台頭が著しい。


同じくJ2の京都サンガでは、第2節にユースから昇格したMF中野桂太が途中出場。憧れのサンガスタジアムでのデビューとなったが、決定機にシュートがGKの正面に飛んでしまうなど力を発揮しきれず。試合後の会見では悔しさに号泣したが、京都の象徴的な選手になり、世界に羽ばたく第一歩を踏み出した。


この世代は1年で見違えるほど成長する選手が多く、ここで紹介した以外にも楽しみなタレントがいる。ぜひ、それぞれの目で、パリ五輪を目指す2001年以降生まれの若手に注目してほしい。返す返すもU-20W杯の中止は残念だが、その分もJリーグでの活躍に期待したい。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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