ついに日本代表戦がスタートする。A代表は25日に親善試合の韓国戦、30日にW杯アジア二次予選のモンゴル戦を行い、東京五輪を目指すU-24日本代表は26日、29日にU-24アルゼンチン代表とホームで対戦する。
A代表は欧州組9人、Jリーグから14人の選手が集結し、親善試合としては約10年ぶりの韓国戦に臨むということで注目が高まっている。
キャプテンの吉田麻也(サンプドリア)は「歴史的にライバル国なので、あくまでスポーツ的にライバルのチームですし、個人的なことを言うと、ロンドンオリンピックで負けたときは本当に悔しくて、二度と韓国には負けたくないと思った」と振り返り、試合に向けたポイントとして「ひとつひとつの球際だと思います」と語る。
招集メンバーに目を向けると、韓国はソン・フンミン(トッテナム)やファン・ヒチャン(ライプツィヒ)という攻撃の中心がメンバーに入りながらも防疫や怪我で来日できず、G大阪のMFチュ・セジョンも、新型コロナウイルスで陽性反応が出たことで離脱。パウロ・ベント監督が考えるベストメンバーの50%に達するかどうかという状況だ。
その意味で、日本は吉田や冨安健洋(ボローニャ)、遠藤航(シュトゥットガルト)、南野拓実(サウサンプトン)、鎌田大地(フランクフルト)、大迫勇也(ブレーメン)とセンターラインの主力が揃っているため、アドバンテージはあると考えられる。
とはいえ韓国の選手は基本的な能力が高く、欧州ビッグクラブから狙われるパク・ジス(水原FC)や新鋭チョン・ウヨン(フライブルク)など、期待の選手が名を連ねている。昨年のACLを制覇した蔚山現代の主力であるユン・ビッカラムも、強力なミドルシュートを備える危険な選手だ。
サイドバック、ボランチは誰になる?
日本は酒井宏樹、長友佑都がいない左右のサイドバックが1つの鍵になりそうだ。右サイドバックは初招集の山根視来(川崎フロンターレ)と、7年ぶりの代表選出で、出場経験の無い松原健(横浜F・マリノス)の二人が競争しており、左サイドバックは一昨年末のE-1選手権でキャプテンを担った佐々木翔がいる。小川諒也(FC東京)も攻守に力強さが増しているが、短期間で森保監督にどれだけアピールできるか。
もう1つ注目したいのは、遠藤航のパートナーとなるボランチだ。候補の一人は川崎からポルトガル1部のサンタ・クララに移籍した守田英正。「得点とアシストという数字にこだわりを強く持っているので、そこを代表で出すことが一番のアピールになる」と語る守田はボランチながら力強い攻撃参加が目立ち、リーグ戦では10試合フル出場が続いている。
ほかにも「三列目からの飛び出しは、他の選手にない武器」と自負する川辺駿(サンフレッチェ広島)、好調の名古屋で安定した守備と、ミドルシュートの得点力を示す稲垣祥、追加招集された脇坂泰斗(川崎)もボランチでの出場は可能だ。
韓国戦の5日後に行われるモンゴル戦は、多くの時間帯でほぼハーフコートゲームになることが予想される。とはいえモンゴルはフィジカル的に強く、一発の危険性はある。そうした相手にどれだけ我慢強く攻め続け、早い時間に先制点を奪い、勝負を決めることができるか。
モンゴル戦は韓国戦とは全く異なる試合と言っても過言ではないが、自分たちに矢印を向ける意味ではコンディションを重視しながら、韓国戦でアピールに成功した選手に出場のチャンスが回ってくるだろう。
ほぼベストメンバーで臨むU-24代表
コロナ禍により、1年延期となった東京五輪。森保一監督がA代表と兼任する“五輪代表”(U-24代表)は、南米代表として五輪に出場するアルゼンチンと、3月26日、29日に2試合を戦うことになった。
今回のポイントは、A代表の主力である冨安健洋を除き、U-24代表に有力選手が勢揃いしたこと。主力のひとり堂安律(アルミニア・ビーレフェルト)は、19日の試合で軽い脳震盪を起こしたため辞退となったが、久保建英(ヘタフェ)ら6人の欧州組が来日。Jリーグの活躍で注目を集める三笘薫(川崎フロンターレ)などの国内組との融合が期待される。
23人の顔ぶれを見ると、この年代のフルメンバーに近い陣容だ。しかし五輪本番で登録できるのは18人で、A代表に回った冨安や堂安など欧州組の有力選手だけでなく、最大3人のオーバーエージが加わる可能性を考えても、サバイバルの場と言える。
特に三笘や久保、三好康児(アントワープ)、相馬勇紀(名古屋グランパス)など、タレントが揃う2列目の競争は熾烈だ。
久保、三笘、三好の並びか?
これまでの活動では3-4-2-1がメインだった”五輪代表”だが、23日のフォーメーション練習を見る限り、26日の1試合目は4-2-3-1の採用が有力と見られる。
その中で二列目は久保がトップ下、三笘が左サイド、右に三好が並び、途中で久保のポジションに食野亮太郎(リオ・アヴェ)が入った。1トップは直前のベガルタ仙台戦でゴールを決めるなど、Jリーグで3得点を記録している田川亨介(FC東京)が先発か。
ボランチは一昨年のコロンビア戦でも組んだ中山雄太(ズヴォレ)と田中駿汰(北海道コンサドーレ札幌)のコンビが予想される。田中碧(川崎フロンターレ)は、AFC U-23選手権のカタール戦で、VARによる退場で受けた出場停止が、26日の1試合目で消化されることとなった。
年末の代表合宿では、練習試合でトップ下をつとめた渡辺皓太(横浜F・マリノス)が、ボランチでテストされていた。どちらにしてもマルチにプレーできることは、18人枠に向けて大きなアピールとなる。
最終ラインにも実力者が揃う
4バックは右から菅原由勢(AZ)、渡辺剛(FC東京)、板倉滉(フローニンゲン)に、旗手怜央(川崎フロンターレ)か古賀太陽(柏レイソル)が加わる形が予想される。
そこに昨年のJリーグで最優秀若手賞、ルヴァン杯のニューヒーロー賞と”若手二冠”を獲得した瀬古歩夢(セレッソ大阪)や町田浩樹(鹿島アントラーズ)、サイドバックとセンターバックをハイレベルにこなせる原輝綺(清水エスパルス)がどう絡んでくるか。
17歳の中野伸哉(サガン鳥栖)は左右のサイドハーフとサイドバックでオプション的な存在だが、編成上3-4-2-1の方がスタメンの可能性は高く、2試合目がチャンスになるかもしれない。
GKは大迫敬介(サンフレッチェ広島)の初戦スタメンが有力ながら、沖悠哉(鹿島アントラーズ)、谷晃生(湘南ベルマーレ)ともに接近した存在で、五輪では2つしかないと考えられるポジションの行方が気になるところだ。
強豪相手にどれだけ通用するか
昨年の南米予選で優勝したアルゼンチンは、ユベントス戦で所属クラブに”大金星”をもたらした190cmのFWアドルフォ・ガイチ(ベネべント)をはじめ、サンティアゴ・アスカシバル(ヘルタ・ベルリン)など楽しみなタレントが揃う。
ラウタロ・マルティネス(インテル)など、A代表メンバーは招集されていないが、半年後、1年後には名を連ねていてもおかしくないタレントがひしめいている。
相馬勇紀が「1対1が11個ある感覚」と楽しみを語るように、日本としては組織力が1つの強みではあるものの、デュエルでどれだけ良い勝負ができるかどうかも指標になるだろう。
三笘や相馬のドリブルが、アルゼンチンにどれだけ通用するのか。また守備での対応はどうなのか。フローニンゲンでフル出場を続ける板倉は「個人としてはもちろん、A代表でスタメンを取るところは目標。自分は24歳で若くない。どんどん割って入らないと」と意欲を見せている。
アルゼンチン戦は東京五輪だけでなく、その先のA代表につなげる意味でも大事な2試合になる。五輪での金メダルを目標に掲げる以上、0-2で敗戦した一昨年のコロンビア戦や、昨年1月のAFC U-23選手権で味わった屈辱を払拭し、本番に向けて、チームも個人も良い流れを引き寄せていきたい。(文・河治良幸)
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