東京五輪はどうなる? 3月の連戦で見えた、五輪代表とA代表の共通項

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第126回

東京五輪はどうなる? 3月の連戦で見えた、五輪代表とA代表の共通項

By 清水 英斗 ・ 2021.4.16

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中止、延期、開催、中止、再延期、絶対開催。この1年強の間、東京五輪については同じような話がグルグルと回り続けている。その大半はポジショントークで、話題を追うのも面倒臭いし、いっそ花弁をちぎって決めちゃえば、と思わなくもない。恨みっこなしで。


そんな投げやりな気持ちをどうにか抑えて言うなら、東京五輪は、やればいいと思う。


海外から観戦客が訪れる予定だったときは、期間中、疎開しようかと割と本気で考えたが、海外客を受け入れないと決定した以上、そこまでする理由はなくなった。


もちろん観戦客が来なくても、結局、海外からは選手と関係者を合わせて最大9万人が訪れるわけだが、関係者の動きならば、行動の制限、把握が容易だ。コントロールできない900人が来るより、全検査の上でコントロールされた9万人が来るほうが遥かに安心である。


あとは『バブル』の性能次第。中止を迫るより、バブルの徹底を迫ったほうがいい。お互いのために。と、個人的には思う。


五輪開催と中止の両方を想定


ただ、海外懸念はそれでクリアできても、日本のほうも相当感染者が増えているので、果たして国内観戦客をこのまま入れる方向でいいのか。その点は無観客の可能性も残されており、結局のところ最終的な選択肢は、国内客のみ開催、無観客開催の2択だろうと思う。中止や延期はもはや無い。特に延期は無い。と、個人的には読む。


それでも森保一監督は、五輪の開催と、中止の両方を想定して準備しているそうだ。仮に中止となった場合でも、五輪代表(U-24代表)が選手の成長につながる活動になるようにと、コメントしている。


その意志は口だけでなく、3月の試合でも感じた。五輪代表はこれまで3-4-2-1の3バックがメインだったが、昨年12月の合宿で4バックを練習した後、3月のアルゼンチン戦は2試合ともに4-4-2で臨んでいる。


もちろんA代表も、日韓戦はいつも通りの4-4-2だ。この3月は、A代表と五輪代表が同じシステムを使い、形だけでなく、ファーストディフェンスの位置、追い込み方など、共通点が多かった。


メインシステムの共有が必要


ただし、五輪代表はアルゼンチンとの2戦目について、少し守備をチューニングしている。1戦目は相手にプレッシングを見切られたこともあり、かなり背後を突かれてしまったので、2戦目は田中碧の出場に伴って川崎風のプレッシングを導入し、4-4-2の連動手順を変え、バランスを改善させた。こうした試行錯誤も、A代表と同じ枠組みの中で、選手の特徴に合わせて取り組んだ印象だ。


3バックでも4バックでも原則は同じと、森保監督とスタッフ陣は口を揃えるが、それでも立ち位置が変われば、各ポジションに求められる能力は変わる。


典型的には、3バックでプレーできたセンターバックが、4バックではうまくプレーできない、といった現象も起きる。その意味では今回、A代表と五輪代表が同じ4-4-2を使ったことで、両者は同じテーブルに上がり、比較しやすくなった。


もっと言えば、今回活躍した五輪代表の選手は、そのままのポジション、そこで披露したパフォーマンスのまま、A代表に上げやすくなった。具体的なイメージがつながる。たとえば、五輪代表が2戦目で導入したプレッシングなどは、田中碧の招集と共にそのままA代表にトレースしてもいい。


それはつまり、たとえ東京五輪が中止になっても、五輪代表で取り組んだことが、ダイレクトにA代表の候補としても評価されるということ。A代表即招集、即スタメンも可能かもしれない。そんな価値も、3月の代表活動にはあったのではないかと思う。


というか、それが本来の世代別代表とA代表のあるべき姿だ。今回なぜか3バックと4バックという、異なるシステムで出発していること自体、反省するべき点だろう。監督というより、JFA側の戦略として。今後はメインシステムを固定するか、A代表と同系とするか、何らかの枠組みは必要だと思う。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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