東京五輪の対戦相手が決定! 日本のライバルはどんな顔ぶれ?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第79回

東京五輪の対戦相手が決定! 日本のライバルはどんな顔ぶれ?

By 河治良幸 ・ 2021.4.26

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東京五輪のサッカー競技は4月21日に組み合わせ抽選が行われ、男子の相手はメキシコ、南アフリカ、フランス。女子はカナダ、イギリス、チリとなった。ともに厳しい組み分けだが、金メダルを目指すチームとして考えれば、早い段階で強い相手と対戦できることはメリットもありそうだ。


「五輪に参加するすべてが、力のあるチーム。ドローが終わり、五輪に向けて最終段階の準備を詰めていかなければいけない。身が引き締まる思いと、五輪に向けて楽しみな思いがある」(男子・森保一監督)


「対戦相手が決まってホッとしています。ちょっと前から対戦相手は気になっていて、昨日の夜も『明日だな』と、ドキドキワクワクな感じでした。相手が決まったので落ち着いて、いろいろなことを進めていけると思います」(女子・高倉麻子監督)


男子は16か国を4グループに分けてグループリーグを行い、それぞれ上位2か国、合計8か国が準々決勝に進む。開催国の日本が入るA組を勝ち上がれば、1位なら準々決勝でB組の2位、2位なら1位と対戦することになる。


B組はニュージーランド、韓国、ホンジュラス、ルーマニアとなっており、下馬評では東アジアのライバルである韓国が本命だろう。ちなみにルーマニアは、英雄ゲオルゲ・ハジの息子ヤニス・ハジを擁するチームだ。


まずはグループリーグ突破を


中2日で進行するグループリーグの1試合目は7月22日に南アフリカ、続いてメキシコ、最後にフランスとなる。日程的には1位でも2位でも準々決勝が7月31日、準決勝は8月3日と変わらない。


グループリーグ初戦の相手、南アフリカはU-23ネーションズカップでガーナとの3位決定戦をPK戦で制して勝ち上がってきた。同大会の準決勝ではエジプトに0-3で敗れており、アフリカ勢3か国の中ではもっとも力が落ちるという見方もできる。


ポルトガル1部のヴィトリア・ギマラエスに所属する185cmのFWフォスターは例外だが、攻撃の主翼を担うマクガルワなど母国の強豪でプレーする選手が多いため、万全の準備で大会に臨んでくると予想される。


メキシコ、フランスは強敵


ハイメ・ロサーノ監督が率いるメキシコは日本がロンドン五輪の準決勝で敗れた相手であり、この世代の実績はフランスに勝るとも劣らない。下の年代から協会をあげて強化しており、西村亮太コーチの分析力も侮れない。


予選で攻撃の中心を担ったアレクシス・ベガは、鋭い仕掛けが武器の選手だ。ほかにも、パチューカで本田圭佑の同僚だったキャプテンのエリック・アギーレ。欧州組からはレアル・ベティスに所属するディエゴ・ライネスなどが加わると見られる。五輪での本気度が高いメキシコだけに、オーバーエイジも効果的に組み込んでくるだろう。


フランスは言わずと知れたタレント軍団だが、6月に開催されるEUROとの兼ね合いで、パリ・サンジェルマンのエンバペなど、A代表クラスの選手は不参加になりそうだ。


それでも、2019年のU-21欧州選手権に出場したメンバーから、ライプツィヒのウバメカノやアーセナルのゲンドゥージ、リヨンのフセム・アワールなどが順調に招集されれば、十分に強力な陣容になる。オーバーエイジとして濃厚なのは、同大会に最年長で参加していた96年生まれの選手たちだろう。


厄介なカナダ


フル代表の戦いになる女子は、グループ名が男子と連携しており、”なでしこジャパン”はE組となる。男子より1日早い7月21日のカナダ戦で始まり、最強の相手と見られるイングランド、そしてチリ戦となる。男子と違うのは12か国参加の3組構成であるため、各組の1位、2位に加えて3位のうち勝ち点、得失点差など成績の良い2か国も準々決勝に進むことができる点だ。


カナダは2019年の女子W杯で日本と同じベスト16で、日本が出場権を逃したリオ五輪では3位だった。2019年に行われたホームの親善試合で4-0と勝利したが、相手の準備などを考えれば、参考にはならないだろう。むしろカナダは日本を強敵と見なして対策を練ってくるはずで、侮ることはできない。


イングランドのチェルシーでプレーするFWフレミング、マンチェスター・シティのベッキーなど攻撃の好タレントも多く、直近の親善試合ではイングランドに2-0で勝利した。日本と同格の相手だが、縦のスピードとパワーを前面に出させてしまうと、イングランド以上に厄介だ。


相性の良くないイギリス


イングランド代表選手がメインになると見られるイギリスは、157cmと小柄ながら爆発的な得点力を誇るチェルシーのカービィ、アーセナルのノッブスなどを擁し、欧州の中でもパスワークが巧みなチームだ。


日本が優勝した2011年の女子W杯から10年で欧州の女子サッカーは飛躍的に成長しているが、その中でもイングランドは相性が良くない相手である。2019年の女子W杯ではグループリーグで0-2と完敗し、昨年3月のシービリーブズカップでも0-1という結果以上の差を突き付けられた。


ただし、日本も海外リーグを経験している選手が増え、戦術的にも立ち位置や距離感、長短のパスの使い方などをテコ入れしている。組織としてアドバンテージを取りながら、デュエルが発生した時にしっかりと戦えるかが問われる。


チリ戦でターンオーバーを狙いたい


チリはグループの中ではもっとも力が落ちると見られるものの、2018年のコパ・アメリカではアルゼンチンに4-0で勝利するなど、南米の女子サッカーの中では勢いがあり、侮ることはできない相手だ。


チリ戦までにグループ突破を確実にした上で、ターンオーバーができるかどうかも、過密日程の大会を勝ち抜くポイントになる。あくまでも目標は金メダル。全ての試合に勝ちに行くプランを持ちながらも、柔軟に最善策を採るべきだろう。


ちなみにグループを1位で突破した場合は、準決勝でアメリカと対戦する可能性が高く、「2位抜けした方が良いのではないか」という声もある。しかし高倉監督は「相手が1位で出てくるとは限りませんし、そんなことを言っていたらキリがない。アメリカと決勝の舞台でやりたい思いはありますが、一つひとつ大事に戦っていくだけ」と、1位突破を狙うことを主張している。


男女とも、本大会までに候補選手が多いにアピールし、指揮官を悩ませてほしい。個人の力をどこまで上げることができるかが、大会のパフォーマンス、ひいては成績に直結するのは間違いない。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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