2年ぶりの国際大会に参加するU-19代表“03ジャパン”。大会直前合宿でアピールできた選手は?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第110回

2年ぶりの国際大会に参加するU-19代表“03ジャパン”。大会直前合宿でアピールできた選手は?

By 河治良幸 ・ 2022.4.30

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5月29日よりフランスで開催される『モーリスレベロ・トーナメント』に参加するU-19日本代表“03ジャパン”は、千葉県内で4日間の候補合宿を行った。


最終日には関東大学選抜と45分×3本のトレーニングマッチが行われ、2対5の敗戦。相手は大学2年生中心で、チームの主力としてプレーする選手も多く、強度負けしてしまう場面があり、内容的にも差が感じられた。


見方を変えると、チームの公式戦に出続けているのは横山歩夢(松本山雅)ぐらいで、プロ1年目の選手によくあるゲーム強度、ゲーム体力の不足は否めなかった。


「持っているものを出したのは、彼ぐらいですよね。チームでレギュラーを取って、日々、勝負にこだわったプレーができているのは」


冨樫剛一監督はJ3得点ランキングトップの5ゴールを記録する俊足のストライカーを指し、そう語る。この試合、鋭い動き出しと抜け出しから、2得点を奪ったのが横山だった。


「リーダーとしてやれているのは彼ぐらい。そこは違うんだなと感じています」(冨樫監督)


そうした事情も見越して、GK3人を含む24人をテストした中で、トレーニングだけでは見えない「技術、戦術を超えていくものを出してほしい」と選手たちに伝えたようだ。



内田篤人コーチからの言葉


さらに指揮官は「ピッチに立って戦うのは彼ら」と強調する。


「自分たちは提示をする、枠を作る。その中で思い切ってやっていいよと。その中で戦えた選手を淡々と選ぶ。(代表は)それぐらい厳しいところ」


試合後には、内田篤人ロールモデルコーチから、厳しい声がかけられたという。2本目の途中から出場し、キャプテンマークを巻いた中野伸哉(サガン鳥栖)は「このままだと、お前らは潰れるぞ」と指摘されたことを明かした。


試合の結果だけでなく、勝つために求める主張、発信の弱さ、分かりやすく表現するなら”ギラギラ感”が伝わってこなかったということだろう。


その中で横山歩夢は2得点という結果だけでなく、冨樫監督の言う”技術、戦術を超えていくもの”が出せていた。


「『世界一を獲る』と言ってる以上、現状に対して悔しい思いとか、もっとできるんだよと。日本代表はたくさんの選手が入りたい場所で、いろんな選手がその資格を持っている。(内田コーチは)競争の厳しさを伝えてくれた」(冨樫監督)



パリ五輪候補の世代


対戦相手の関東大学選抜にも、年齢的に“03ジャパン”の資格がある選手(2003年以降生まれ)はいた。冨樫監督は「(彼らにとって)いいアピールになったと思います」と認める。


代表メンバーの中で、木村凌也(日本大)を始めとするGK3人と、横浜FCユース出身のMF山崎太新(筑波大)は大学生だ。


高校生からも、FC東京の特別指定選手・MF荒井悠汰(昌平高)、二種登録選手としてトップチームに絡むMF福井太智(サガン鳥栖U-18)と安部大晴(V・ファーレン長崎U-18)が選ばれている。


冨樫監督は「自分はプレミアやプリンスリーグにも行くので、荒井だけでなく、ここに入って来る選手はいると思っている」と語り、フランス遠征後に予定されているU-18代表合宿などで候補が見つかれば、招集することを示唆した。


“03ジャパン”は、2年後のパリ五輪で候補になる世代だ。2001年生まれが一番上の年代になるが、2003年生まれのMF松木玖生(FC東京)とMF甲田英將(名古屋グランパス)、2004年の早生まれであるDFチェイス・アンリ(シュトゥットガルト)は、大岩剛監督率いるU-21代表で臨んだドバイカップU-23に招集された。


彼らがメンバーに入れば、主力として期待されることになるが、冨樫監督は「彼らがレギュラーかと言えば、そうは考えていない。向こう(U-21)にいるから、こっちで良い選手という話ではない」と語り、フラットな競争を強調した。



持ち味を発揮した選手たち


今回の合宿では横山歩夢をはじめ、持ち味を出した選手はいた。初招集の古川陽介(ジュビロ磐田)は、左サイドから積極的にドリブルを仕掛ける強気の姿勢で存在をアピール。得点にはつながらなかったが、チームに躍動感と局面の違いをもたらした。


その古川が「『もう少し、周りと意思疎通すると、うまく行くよ』と言ってくれた」と語るのが、1本目で左サイドバックを担った松田隼風(水戸ホーリーホック)だ。得意の左足クロスこそ発揮しれなかったが、活動量と周りに伝えていく姿勢を見せていた。


発信力という意味では、2004年生まれの安部大晴も声で周りを鼓舞するなど、覇気が表れていた一人だ。


ほかにも、セットプレーのキッカーを担った藤原健介(ジュビロ磐田)、右サイドからアシストした屋敷優成(大分トリニータ)、デュエルで強さを発揮した吉田温紀(名古屋グランパス)など、スペシャリティを出せていた選手も少なくない。


代表での経験をチームに持ち帰り、レギュラー奪取や出場時間を増やすことが、次の招集に向けたアピールになるだろう。


はたして、5月末に開催される『モーリスレベロ・トーナメント』に、誰が招集されるのか。国際AマッチデーにもJ2やJ3は行われており、チーム事情で参加できない選手も出る可能性はあるが、同世代の国際大会は、選手を成長させる格好の場だ。


野心を持った選手の台頭が見られると同時に、世代全体の競争意識を刺激するような大会になることを願っている。(文・河治良幸)


写真提供:河治良幸

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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