河治良幸×清水英斗 現地対談(5)「どうなる? ポーランド戦」

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河治良幸×清水英斗 現地対談(5)「どうなる? ポーランド戦」

By 河治良幸 ・ 2018.6.27

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セネガルと引き分け、2試合を終えて1勝1分と、確実に勝ち点を積み上げてきた日本。3戦目の相手はグループステージ敗退が決まっているポーランド。現地で取材を続ける河治良幸氏と清水英斗氏は、ポーランド戦のポイントをどう考えているのか? 好評対談の第5弾をお届けします。


河治:日本のグループステージ3戦目の相手、ポーランドは2連敗で決勝トーナメント進出の可能性がなくなりました。彼らにとっては消化試合とはいえ、W杯の貴重な試合です。日本戦はどう戦って来ますかね。


清水:ポーランドは2戦目のコロンビア戦は3バックで試合に入って、後半は4-4-2に変えました。いまの日本は対応力を前面に出しているので、ポーランドが3バックで来たら、W杯直前のパラグアイ戦でやっていたように、乾が相手の中間に立ちながら前にプレスをかけにいくなど、やり方はあると思います。もともと、乾はその形のプレスが得意ですし。


河治:難しいのはポーランドのモチベーションですね。ぶっちゃけ、レバンドフスキを出すのかどうか。


清水:出さない可能性もなくはないです。


河治:そう思います。コロンビア戦はミリクをスタメンから外しましたね。だからレバンドフスキが残念な結果になりましたが、彼をエースとしてしっかり出し切らせるために、3戦目も継続して起用するのか。それともメンバーをガラッと替えて、次のEUROに向けた試合にするのか。そこはわかりませんが、いずれにしてもポーランドの戦い方の基本はサイド攻撃です。クリホビアクなどの中盤は経由しますが、ほとんどがサイドを起点としています。


清水:そうですね。中央にパスを当てて、そこで落としてサイドに展開するパターンです。真ん中はパスを当てるためにあるだけで、最終的にはサイドに行きます。


河治:攻撃パターンとしてはわかりやすいので、対策は立てやすいのですが、それでも得点を決められてしまう可能性があります。遠目からピンポイントクロスがレバンドフスキやミリクに入ってしまったら、戦術の巧拙以前の問題としてやられてしまう可能性がある。日本としてはクロスボールを跳ね返したあと、セカンドボールを拾って、確実に味方につなぐことが重要です。


清水:レバンドフスキをターゲットに、サイドからクロスをポンポンと入れられると、守ってばかりでは耐えられなくなる。ある程度、高い位置からプレスに行った方が良さそうですね。


河治:日本は攻から守、守から攻のメリハリをつけて、波状攻撃を受けないことが大切になります。


清水:ポーランドのビルドアップは、GKからセンターバックを経由しますが、つなぎが怪しいので、日本が引っ掛けることができれば、かなり面白いです。日本が勇気を持って、行けるかどうか。プレスに行って外されると、ポーランドにスペースを与えてしまうので危険性はありますが、チャレンジする価値はあると思います。


河治:日本的には、グループステージで対戦する3カ国の中で、ポーランドが一番戦いやすいチームなんですよ。レバンドフスキがいて、一発の攻撃力、破壊力はあるけども、戦術面では戦いやすいチームなんですよね。


清水:そうですね。


「引き分けでOKと考える必要はない」(河治)


清水:日本は勝点4を取っているので、決勝トーナメント進出のためには、引き分けでもOKです。ただ、このチームは「引き分けでOK」という感じにはならないんですよね。


河治:グループステージ敗退が決まっているポーランドに対して「引き分けでOK」と考えなくてもいいのかなという状況にはなりましたね。ポーランドのW杯が2試合で終わってしまうとは予想していませんでしたが、日本としては3戦目を「負けなければいい」という状況で迎えられたことが、1つの成功だと思います。1、2戦目の流れを継続して、日本はメンバーを代えないプランもあると思いますが、セネガル戦ではコンタクトプレーもありましたし、コンディション面でどうなるか。


清水:セネガル戦から中3日と、試合間隔も短いですしね。


河治:明らかなけが人はいませんが、ベテランでフル出場している選手、たとえば長谷部については、僕らは「セネガル戦は休ませたほうがいいんじゃないか」と言っていたぐらいなので。


清水:3戦連続だと、さすがにパフォーマンスが落ちてくると思うので、ベンチスタートの可能性もあると思います。



「高い位置でボールを奪えばチャンスになる」(清水)


河治:ポーランドは2戦目でコロンビアに3点入れられてしまったんですけど、GKはファビアンスキではなくシュチェスニーが出ていました。


清水:シュチェスニーは1試合目で大きなミスをしたのに、また使われていましたね。


河治:どちらのGKが出るにしても、ミドルレンジのシュートはなかなか入らないと思うので、ペナルティエリアの中に入っていくことが大切です。


清水:コロンビア戦を見た感じでは、ショートカウンターで裏のスペースを突いていければ、GKと1対1の形は作れそうです。高い位置でボールを奪うことができれば、チャンスはあると思います。


河治:ポーランドの守備は局面の強さはありますが、セネガルに比べると裏をとる形はやりやすそうです。


清水:センターバックの身体能力的にも、スピード勝負に持ち込めば、勝ち目はあります。


河治:日本でいう吉田麻也的存在のグリクが、W杯前の合宿で肩を負傷しました。コロンビア戦の途中から出場しましたけど、それもグループステージ敗退の要因の1つだと思います。DFリーダー不在は相当な痛手でした。結果、ペドナレクとパズダンが出ていますが、裏を取られやすいので厳しいです。


清水:それを踏まえても、日本はセネガルよりも状況はいいですよね。セネガルは復活してきたコロンビアとガチでやらないといけないので。コロンビアはもちろん勝点3を取りに来ますし。


河治:日本はポーランドに負けなければOKですが、チームの方向的にはアグレッシブに勝ちに行きながら、結果として引き分けでもOKというイメージですかね。あとは試合展開によって、勝ちを狙うのか、引き分けを考える。70分を過ぎて同点の状況で、勝ちにこだわって攻めるのも違うと思いますし。


清水:はい。


河治:セネガル戦では交代で本田、岡崎、宇佐美が入りましたが、引き分けか勝っている状況で終盤に差し掛かったときには、守備的な選手を入れることも十分に考えられます。ポーランドはFIFAランキングで見ても、日本より格上の相手です。でもW杯のような短期決戦で、すでにグループステージ敗退が決まっているとなると、実際の力関係どおりにはなりません。開き直って力みがとれて、良くなるチームもありますが、とてつもない集中力を発揮して90分戦い抜けるとは思えない。日本の戦い方が立ち上がりからハマれば、押し切れる状況ではありますよね。


清水:ポジティブですね(笑)


河治:楽観するつもりはないのですが、ポーランドの置かれた状況がそうさせちゃいましたね。スペイン戦のモロッコの例もあるので、どうなるかはわかりませんが、ポーランドは日本に対して対策を立てるよりも、伸び伸びやろうとなるかもしれない。


清水:その方が嫌かもしれないですね。


「2トップにクロスを放り込まれる形が一番怖い」(河治)


河治:ポーランドも、負けるために試合をするわけではないですからね。歴史的に因縁のあるロシアの地で、爪痕を残したい気持ちもあるでしょう。ただ、勝っても先がない状況で、選手起用をどうするのか。これまで試合に出ていなかったペシュコや、故障を抱えていたグリクも回復度合いによっては出るでしょうし。


清水:その辺の選手の起用は考えられますね。


河治:コロンビア戦では、香川の元チームメートであるブワシュチコフスキも出ていませんでした。あと、出場する可能性があるのはリネティですね。


清水:クリホビアクを下げちゃいますかね。


河治:リネティは23歳になったばかりの選手ですけど、サンプドリア所属で伸び盛りなので、勢いのある若手に託すとか。


清水:そうされた方が、日本にとっては読みづらいですからね。


河治:日本でいうと大島を使うようなものです。リネティが出てきたときに、うまく対処できるか。レバンドフスキとミリクの2トップで、クロスを放り込まれる形が一番怖いですが。そうなったときに日本はまずしっかり跳ね返しながら、セカンドボールを拾って前に運ぶ。そしてチャンスを作って相手のディフェンスラインの裏に出ていくと。その意味では、セネガル戦で絶妙なポジショニングをしていた、香川に期待がかかります。日本に選手変更があるとしたら、コンディションによるところが大きいですかね。


清水:傾向的に3戦目はパフォーマンスが落ちてくると言われているので、西野さんがどうするか。


河治:正直、グループステージから先のことは考えていませんでしたが、決勝トーナメントで当たるのはベルギーか、イングランドかと考えるところまできました。その意味でもまずはポーランド戦をしっかり戦って、勝点を得ることができれば。


清水:そうですね。期待しましょう。


ポーランド戦後の対談に続く


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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