久保建英に続け! タレントが活躍し、大逆転優勝を果たしたU-16日本代表

COLUMN川端暁彦のプレスバック第42回

久保建英に続け! タレントが活躍し、大逆転優勝を果たしたU-16日本代表

By 川端 暁彦 ・ 2017.6.22

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宮城県仙台市を舞台にU-16インターナショナルドリームカップの第3回大会が開催された。6月14日の第1戦から中1日での3連戦を戦ったのは、欧州のオランダ、北米のアメリカ、アフリカのギニア、そしてホストの日本を加えた4カ国のU-16代表チームである。


2017年の「U-16(2001年生まれ)」というカテゴリーは世界的にも微妙なところがある。この秋に予定されているFIFAワールドカップは「U-17」なので、一つ上の世代。次のU-17ワールドカップは2年後なので、現「U-15」が対象となる。つまりその狭間に位置する年代ということだ。毎年U-17欧州選手権を開催している欧州の国々を除くと、この年代の代表チームを本格的に稼働させている国は少ないのだ。


このため、欧州勢以外の国の代表を招くのは意外に難しかったりもする。アメリカは日本と同じく発掘漏れや強化漏れを防ぐため、1年刻みの代表を編成しているので問題ないのだが、ギニアは一つ下の2002年生まれの「U-15」のチームをベースにしながら、U-16年代の選手を補うようなチーム編成で来日していた。


久保建英に続くタレントは?


ただ、長期的に見ていくと、この2001年生まれの選手たちは2021年のU-20W杯で主軸となる世代であり、2024年に恐らくパリでの開催となる五輪でも最上級学年を占めることになる(大会の年齢制限が変わらなければという注釈付きの想定だが)。


短期的な目標を立てにくい年代には違いないが、刺激を与えておく必要は絶対にある世代だ。もちろん今秋に行われる、U-17ワールドカップに向けた選手発掘という短期的な視点での需要もある。U-17の森山佳郎監督がこのU-16の兼任監督に指名されているのは、そうした狙いがあるからだ。


2001年生まれでU-17の主軸と言えるのは久保建英(FC東京U-18)のみだが、彼に続く選手の台頭が期待されているのは当然のこと。そしてできれば、「U-17で足りないポジション、いないタイプの選手が出てきてくれれば」(森山監督)というところだった。


最終戦で5点を奪う、勝負強さを発揮


大会の結果としてはオランダに1-3と逆転負けを喫する最悪のスタートとなったものの、続くアメリカ戦は4-2と逆転勝ち。ギニアとの最終戦は勝てば2勝1敗で3チームが並ぶシチュエーションとなったが、首位オランダとは得失点差で「4」の大差があり、ポジティブシンキングの達人である森山監督ですら「可能性はほぼゼロかなと思っていた」と振り返る。だが、選手たちはこの最終ゲームでマストの5得点を稼ぎ出し、まさかの大逆転V。しかもアディショナルタイムに5点目が決まるという、ドラマチックな展開だった。


こうした逆転の勝利経験は一生の財産になるので、非常に大きな意味がありそうだが、U-17ワールドカップに向けた選手発掘という意味でも成果のある大会だった。


昨年のアジア予選にも招集されていたMF谷本駿介、DF西尾隆矢(ともにC大阪U-18)を除くと、まず名前が挙がるのは絶対的な運動量の多さとスペースへのランニングセンスを持つFW斉藤光毅(横浜FCユース)だろう。最終戦でハットトリックの大暴れを見せて大会得点王とMVPに輝いたが、4月のモンテギュー国際ユース大会(フランス)でも終盤に活躍しており、勝負強さは特筆モノ。上の代表チームでテストされるに値するタレントだ。


各ポジションにタレントが存在


その斉藤とコンビを組んだ栗原イブラヒムジュニアは、188cmの長身とタイミングの良いジャンプが光る、日本とガーナの血を引く大型FW。日本では珍しい制空権争いができる選手であり、上の代表にもいないタイプ。ムラっ気があり、技術的な精度はまだまだのところもあるが「可能性」を見せたのは間違いない。


また、以前から指揮官が選手層の薄さを問題視していた、ディフェンスラインでも発見があった。今回が初代表だったDF橋本柊哉(市立船橋高)はCBもこなす選手らしい守備力の高さに加え、「思っていたより通用した」と言うドリブルでボールを運ぶプレーやサイドアタックの部分でもポテンシャルの高さを披露。初めての国際大会でこれだけやれるならばという期待感も含めてだが、上のレベルで観てみたい選手なのは確かだ。ビルドアップを含めた安定感とギリギリの守備力が光ったCBの馬場晴也(東京Vユース)も昇格候補の一人だろう。


U-17W杯出場の競争が激化


今回のU-16代表には、2年後のU-17ワールドカップを目指す「U-15」年代の選手3名も参加。「シュートスピードが違うので、すごく良い経験になる」(GK鈴木彩艶/浦和ジュニアユース)と言うように、タフな国際大会の中で経験を積み上げた。特にDF半田陸(山形ユース)については、上の年代でも通用するのではと思わせるハイパフォーマンスだったが、U-17ワールドカップは一度出てしまうと二度出られない規定があり(U-20は何度でも出られる)、招集は見送られる見込み。たとえ控え選手としてでも登録してしまうと、主軸で出られる可能性のある次の大会のチャンスを失ってしまう仕組みなので、ここは少し難しい判断でもある。


「U-17世代の選手に火を付けてくれるような結果」と指揮官が語ったように、U-17ワールドカップの「21人枠」を争う戦いはここからが本番。激しいサバイバルが、個々の選手のポテンシャルをさらに引き出してくれることを期待したい。(文・川端暁彦)


写真提供:getty images

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川端 暁彦

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行

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