システムにとらわれるな! オマーン戦で森保ジャパンに求めたい”原点回帰”

COLUMN河治良幸の真・代表論 第99回

システムにとらわれるな! オマーン戦で森保ジャパンに求めたい”原点回帰”

By 河治良幸 ・ 2021.11.16

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カタールW杯アジア最終予選。11月に行われるアウェー2連戦の初戦で、日本はベトナムに1対0で勝利した。続く日本時間17日に、オマーンとの一戦を迎える。


オマーンは初戦のホームで黒星を喫した相手である。リベンジマッチとしても注目されるが、勝ち点6の獲得が求められる11月シリーズの締め括りとして、勝利が期待される試合だ。


前節、日本がベトナムから勝ち点3をあげた一方で、勝ち点で日本の上を行くサウジアラビアとオーストラリアは直接対決で引き分けた。そのため、日本はサウジアラビアに勝ち点4差、オーストラリアとは勝ち点1差に縮めることができた。


次の試合でサウジアラビアがベトナム、オーストラリアが中国を相手に勝ち点を落とす期待はできないが、日本としてはきっちりと勝ち点3をつかみ、サウジアラビア、オーストラリアとの”6ポイントマッチ”を含む、来年の試合に備えたい。


キャプテンの吉田麻也は、次のように気を引き締める。


「後半戦に向かうに当たって、こういう状況を招いてしまったのは自分たち。引き続き、巻き返していく段階にある。(日本はオーストラリア戦、ベトナム戦と)連勝していますが、ここで気を緩めることなく、もう一歩突き進んでいかないといけない」



4-3-3で2連勝



森保一監督はオーストラリア戦に続き、ベトナム戦で4-3-3を採用した。オーストラリア戦はたった2日間の練習で、手探りながらも高い位置からの攻撃、左右のウイングを生かしたアグレッシブな攻撃を披露。失点につながった守備面の課題は指摘されたが、おおむねポジティブな評価が並んだ。


しかし先日行われたベトナム戦では、5バックの相手に対し、勝利はしたものの全体的に低調なプレーが目立った。攻撃面では、中盤の3枚(遠藤航、守田英正、田中碧)の比重がバランスワークに傾いたことで、ボールを握る時間が長いわりに、厚みのあるフィニッシュにつながらなかった。


なかでも効果的なサイドチェンジが少なく、最後は何となくボールを前に運び、強引な仕掛けや点で合わせるパスでゴールを狙うが、ベトナムの体を張ったディフェンスに跳ね返された。


伊東のゴールシーンは相手のゴールキックを跳ね返したところからで、伊東のスーパーゴールによる追加点を取り消されたシーンも、コーナーキックの裏側のカウンターだった。


もちろん、どんな形でも点が入ることは大切だが、ボールを動かしながら連続性のある攻撃や、迫力あるフィニッシュからのチャンスがほとんど生まれなかった事実は、重く受け止めなければいけない。



ウイングはできるだけ高い位置をとりたい


オマーンは前回の日本戦で見られた通り、最終予選で継続的に中盤ダイヤモンド型の4-4-2を採用しており、スタートポジションは変わらないことが予想される。一方でイバンコヴィッチ監督は、これまでの日本の戦いを分析し、立ち位置の調整をしてくるはずだ。


前回対戦時の日本は4-2-3-1で戦ったが、守備で前からのプレッシャーがはまらず、後手を踏んでしまった。


オマーンはグラウンダーのパスとロングボールを使い分けながら、流れに応じて左右のサイドバックが高い位置をとる。その時、アンカーのアル・サーディが引いて3バックのような形になるので、そこまで大きなリスクにならない。それが、オマーンのビルドアップ上の強みだ。


前回のオマーン戦の問題は、相手サイドバックのポジショニングに対し、日本の左右のアタッカーがマンツーマン気味に下がったことで、6バックのようになる時間が多かったこと。それにより前からプレスがかからず、ゴールへの距離が遠くなってしまった。


日本は4-3-3でスタートするのであれば、左右のウイングはできるだけ高い位置でオマーンのビルドアップをチェックしながら、相手のサイドバックに上がられても付いていきすぎず、受け渡して守る形をとりたい。


システムにとらわれるな


何より大事なのは、4-3-3というシステムにとらわれないこと。オーストラリア戦で4-3-3を使ったことが、流れを変えるきっかけになったのは確かだが、試合の中でシステム上のギャップを狙われるシーンはあった。


そしてベトナム戦では、4-3-3があまり機能しなかった。だから4-2-3-1に戻した方が良いということではなく、もっと本質的なところで、試合ごとの最適なゲーム運びを考えていくべきだろう。


基本的に日本は前からボールを奪い、相手を押し込んで試合を進めたいが、90分そうした状況を続けることは、いかなる相手でも難しい。


アジアでも最終予選となれば、二次予選と勝手が違ってくるのは当たり前で、耐えるべき時に耐える、攻め込める時間帯で仕留めるという大前提の目的がある。また、自陣で守備をしていても、相手に生じる隙を突いて、一発のカウンターからゴールを奪えることもある。


臨機応変さで上回りたい


森保監督は、現在の日本代表のサッカーを”ノーマルフットボール”と表現したが、そうであれば、4-3-3か4-2-3-1かという二者択一論ではなく、試合のスタート、試合の途中、試合の最後と、状況に応じて柔軟に立ち回っていくべきだろう。


オマーン戦で過去の2試合と同じく4-3-3でスタートしたとしても、うまくハマらなければ、中盤に限らず、立ち位置や距離感を調整しながら良い流れに持っていきたい。


代表選手が各国に散らばっている以上、代表チームは短い準備期間で結果を出さなければいけない境遇にある。そうした中でオマーンなどは国内組を中心に、長い準備期間を設けて、クラブチームのように熟成させている。


そういう相手に対して、森保監督が立ち上げ当初から掲げていた”臨機応変さ”で上回ることができるか。”森保ジャパン”の本質に原点回帰して、システムに使われるのではなく、自分たちが使っていくという意識で戦い、オマーンから勝ち点3をつかみ取ってほしい。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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