大会概要

2018年、16回目の開催となるFIFAクラブワールドカップは大きな節目を迎えている。欧州、南米、アフリカ、北中米カリブ、アジア、オセアニアの各大陸チャンピオンが一堂に会して世界一を決めるビッグタイトルは、2000年にFIFA世界クラブ選手権としてスタートした後、中断やトヨタカップの吸収など紆余曲折を経て発展してきた。しかし、その実現には各国、各大陸毎に存在するカレンダーとの複雑な調整が必須であり、開催地や参加チーム数、試合数など少なからず妥協を強いられざるを得ない大会でもあった。

現在、さらに魅力的なものにするべく変革が進められている。4年毎開催案、出場チーム増加案などが未だにFIFA内で議論されており、次回がいつ、どこで、どのように開催されるかは未定だが、大きく様変わりすることは間違いない。恐らく規模は拡大し、大会、そして優勝の価値、難易度が上がることになるだろう。つまり、欧州、南米のチームは2連勝、アジアやアフリカ、北中米のチームも3連勝すれば世界チャンピオンになれるというレギュレーションは、今年が最後になりそうだ。ACLを見事勝ち取った鹿島アントラーズがアジア勢初のチャンピオンを目指すとすれば、2018年大会はチャンスと言って良いだろう。

2016年大会で鹿島は開催国枠出場チームとして開幕戦からスタート、オークランド・シティ(オセアニア代表)、マメロディ・サンダウンズ(アフリカ代表)、アトレチコ・ナシオナル(南米代表)を次々撃破、決勝のレアル・マドリー戦へと駒を進めた。決勝では先制を許すも一時は逆転に成功、ジネディーヌ・ジダン監督率いる銀河系軍団に引けを取らない戦いを見せた。あと一歩のところでクリティアーノ・ロナウドを防ぎきれず、世界一の座を奪うには至らなかったが、世界中のサッカーファンやメディアから称賛される見事な戦いぶりだった。あの試合を鮮烈な印象と共に記憶しているのは鹿島サポーターだけではないだろう。決勝まで勝ち抜いた経験があり、開催地UAEはアウェイではあるものの、南米勢、欧州勢と比較すれば地の利がある。前回とは違って準々決勝から参加出来ることも大きい。

アントラーズは初戦で北中米カリブ代表のグアダラハラ(メキシコ)と対戦、この試合に勝つと早くもレアル・マドリーにリベンジするチャンスを得ることになるのだが、戦力的には厳しい状況に直面している。2016年大会決勝で衝撃の2ゴールを決めたMF柴崎岳はその活躍が認められ、スペインリーグに戦いの場を移しチームを去っている。圧巻のマドリー攻撃陣を前に奮闘した日本代表DF植田直通も今夏、ベルギーへ移籍した。最前線で攻撃の起点となったFW金崎夢生は今シーズン途中、サガン鳥栖に電撃加入している。さらに、彼らの穴を埋める存在として成長したFW鈴木優磨、MF三竿健斗というキーマン二人が揃って負傷、登録メンバーから外れることになってしまったのだ。

だが、Jリーグで最多タイトルを誇る鹿島は様々な苦境を乗り越えてきた強靭なメンタリティを持つクラブ、戦う前に勝負を諦めるようなことはないだろう。鈴木の不在はクラブ生え抜きのMF土居聖真、シーズン途中に加入したMFセルジーニョらが埋めることになる。年代別の日本代表でも活躍、クラブでも頭角を現したFW安部裕葵も違いを作り出せる逸材だ。中盤では頼れるMFレオ・シルバ、前回のマドリー戦も経験済みの元日本代表MF永木亮太、そして精神的な柱であるMF小笠原満男が存在感を示すだろう。最終ラインにはロシアW杯で急成長したDF昌子源を中心にDF西大伍、DF山本脩斗という経験豊富な両翼、さらにはDF内田篤人というレジェンドも控える。そして頼れる守護神クォン・スンテはACLでも数々のピンチを救ってきた。グアダラハラとは十分に勝負することが出来るだろう。

レアル・マドリーも帝王ロナウドが去り、監督も交代するなど今シーズンは決して万全ではない。恐らく決勝に勝ち上がってくるはずの南米代表リーベルプレートも南米王者を決めるコパ・リベルタドーレス決勝の開催地やスケジュール変更によってバタついている。鹿島が突ける隙も必ずあるはずだ。鹿島の試合以外にも、FIFAワールドカップとは違った、各大陸、各国リーグの様々なサッカーカルチャーを感じることが出来るクラブワールドカップ、ぜひ楽しんで頂きたい。