ついにW杯アジア二次予選再開。タレントが揃い、ポジション争いが激化する

COLUMN河治良幸の真・代表論 第81回

ついにW杯アジア二次予選再開。タレントが揃い、ポジション争いが激化する

By 河治良幸 ・ 2021.5.27

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28日、日本代表は千葉県のフクダ電子アリーナでミャンマー代表と対戦する。新型コロナウイルスの影響で代表カレンダーが変更された後、今年3月に予定されていたW杯アジア二次予選だが、ミャンマー国内の軍事クーデターの影響で再延期されていた。


ミャンマーでは市民によるデモが続き、治安部隊による鎮圧の最中。今回の来日も危ぶまれたが、20日から首都ヤンゴンの閉鎖的な環境で合宿を行い、1週間の準備を進めてきたという。


ドイツ人のヘイ監督によると、数人が「個人的な理由」で招集を辞退しており、それがクーデターとデモの影響かは不明だ。また、ミャンマーもコロナ禍にあり、被害が甚大なインドとも隣接している。


ヘイ監督はメンバー選考に軍が関与していないことを強調した上で、24人で日本戦を含めた3試合を戦い抜き、そのあとで個別の事情を精査して、対応していきたい意向を示した。


そうは言っても昨年10月に国内リーグが終了しており、代表戦にいたっては2019年11月にモンゴルを1対0で破った試合が最後。W杯アジア二次予選突破の可能性も残す状況で、ヘイ監督は「日本戦への準備は整っている」と語るが、本来持つ、100%の力を日本にぶつけるのは難しいだろう。


交代枠をどう使うか


そのミャンマーを「いい守備から、いい攻撃につなげていくチーム」と表現する森保一監督は、試合前日の会見で「明日はベストな選択をして、応援してくださっている方々に笑顔になっていただける結果と内容で、勇気や元気、励ましをもたらしたい」と話した。


今回はA代表と、ミャンマー戦後にU-24の活動に移行するメンバーによる、事実上の混成チーム。森保監督はA代表と五輪世代の融合を図る”1チーム2カテゴリー”という基本コンセプトの中でA代表の基準で選手を見極め、U-24の選手を優先的に起用するようなプランは取らないことを強調する。


ただし今回は、クラブの試合と同じく5人まで交代可能だ。森保監督は「試合の状況を見て、チャレンジするところを考えたい」と話したが、前回のミャンマー戦のように、2点を先制した後、なかなか追加点が入らない場合と14-0で勝利したモンゴル戦のような流れでは、5枚の交代も変わってくるだろう。


冨安の代役は誰に?


森保監督はスタートの時点で「戦術的に色々と試すことは考えていません」と語る。おそらく3月の韓国戦とモンゴル戦で採用した4-2-3-1は継続する見込みだ。


ただ、吉田麻也と不動のセンターバックコンビを組んできた冨安健洋がセリエAで厳しい戦いをしてきた影響か、右膝に違和感を抱えているようで、森保監督も「痛みを抱えているので、明日の試合にはプレーできないだろう」と見解を示している。


普通に考えれば植田直通が吉田の相棒になるが、板倉滉にもチャンスはありそうだ。オランダのフローニンゲンでセンターバックとしてフル出場し、クラブの最優秀選手も受賞した実績をA代表で生かせるか。


3月にはU-24でアルゼンチンとの2連戦に出場したが、1試合目にはセンターバックでプレーし、失点につながる突破を許している。


「個人としては、ああやってやられるシーンはオランダでも少なくて、対人の部分で自信があった中での試合だった」と悔しがる板倉は、2試合目でボランチとして見事なボール奪取や攻撃の起点になるプレーを見せ、3-0の勝利に貢献。チームとしてはリベンジを果たしたが、センターバックとしてはここからのプレーで証明していくしかない。


“デュエル王”遠藤航


注目は、板倉も候補になるボランチだ。ブンデスリーガでデュエル(1対1や競り合い)勝利数1位となり、”デュエル王”の異名も定着してきた遠藤航は吉田麻也、酒井宏樹とともに東京五輪のオーバーエイジにも指名されている。


最大の特長は個人のボール奪取力だが、攻撃面でも着実に成長が見られる。


「相手によってちょっと自分が落ちてみるとか、ワンボランチ気味でやってみるとか、そこの関係性、縦関係なのか横なのかは臨機応変にやれると思っているので、そういったところを攻撃で見せたい」


そうイメージする遠藤航とボランチのコンビを組むのは、守田英正と橋本拳人のどちらなのか。あるいはセンターバックでも期待される板倉や、同じくU-24代表の中山雄太がチャンスを得るのか。


ミャンマー戦が終わると遠藤、板倉、中山はU-24に回るだけに、森保監督の現時点での評価や考えが見える起用になるかもしれない。


ポジション争いが厳しい2列目


2列目の競争も活気をおびているが、ベルギーのアントワープで経験を積んだ三好康児がクラブ事情により来日が遅れ、政府による特別措置の条件を満たせないため、ミャンマー戦に出場できなくなった。


またドイツのビーレフェルトで活躍を見せた堂安律は、左膝の違和感で欠場が濃厚に。二人に関してはU-24代表に移行する前に、A代表で資質を示しておきたかった。残念なニュースである。


しかし、右サイドにはベルギーで10得点12アシスト(プレーオフ含めると11得点16アシスト)の伊東純也がいる。縦の仕掛けに加えて、インサイドに流れてゴールに絡む形も身に付けた“高速アタッカー”のプレーに注目が集まる。


またU-24ではトップ下がメインになりつつある久保建英も、A代表では再び右サイドで使われる可能性がある。


トップ下はフランクフルトで5得点12アシストを記録した鎌田大地がファーストチョイスか。プレミアリーグのサウサンプトンでプレーする南野拓実は、3月の試合と同じく、左サイドハーフから鎌田と近い距離感でコンビネーションを繰り出すと見られるが、左サイドを本職とする原口元気もいる。


久保に加えて、FWながらサイドアタッカーもこなせる浅野拓磨を含めて、どういう布陣をチョイスしていくか注目される。


いずれにしても、ミャンマー戦でW杯アジア二次予選の突破を決めて、オーバーエイジを含むU-24代表組を送り出すとともに、A代表は残る二次予選のタジキスタン戦(6月7日)、キルギス戦(6月15日)を含む4試合を、最終予選に向けたテストの場にしたい。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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