東京五輪メンバー、15人は確定か。残る3人は三笘、三好、町田?

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第129回

東京五輪メンバー、15人は確定か。残る3人は三笘、三好、町田?

By 清水 英斗 ・ 2021.6.7

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本番のシミュレーションとなったU-24ガーナ戦の選手起用により、18人の五輪代表はおおよその顔ぶれが見えてきた。


おそらく、この15人は当確だろう。


FW:上田綺世、前田大然

MF:遠藤航★、田中碧、相馬勇紀、久保建英、堂安律

DF:中山雄太、旗手怜央、冨安健洋、吉田麻也★、板倉滉、酒井宏樹★

GK:谷晃生、大迫敬介


★はオーバーエイジ


当落線上は3人だ。うち1人は、2列目のアタッカーが控えに加わるはず。三笘薫か、あるいは三好康児か、食野亮太郎か。個人的にはジョーカーになり得る三笘を推すが、三好も両サイド、時にはウィングハーフも務めるユーティリティ性があるため、捨てがたい。


ただし、旗手が左SBやトップ下など、多彩なポジションで相手をかき回す役割を担うことを踏まえると、三好はやや役割が重なる。逆に、純粋ドリブラーの三笘はジョーカーとしての独自性が高い。田中碧を含め、クラブで連係が確立している点も、三笘に有利に働きそうだ。


最終ラインのバックアップは?


もう1枚の枠は、センターバック(CB)に使用されるだろう。板倉はCBの控えだが、ボランチの控えを兼ねるため、CBは少なくともプラス1枚が必要になる。その候補は町田浩樹か、橋岡大樹か。


同時に考えなければならないのは、右サイドバック(SB)の控えがいないこと。ストレートに考えれば菅原由勢だが、SB専門の控えに1枚を割くかどうかは、悩みどころだ。


また、菅原自身も専門職の割には、6月3日に行われたA代表戦のプレーが消極的で、あまり魅力を発揮できなかった。


特に後半、右サイドに相馬が入る状況では、ライン間に潜ったり、インナーラップを仕掛けたりと、もっと積極的にプレーしても良さそう。兼任では出来ないSB専門職のアピールという意味では、正直物足りなかった。


仮に、右SBの控えに1枚を割かないと考えると、右SBとCBを兼ねる橋岡が有力な候補になる。


一方、町田も左SBを兼ねるが、おそらく旗手は当確に近い信頼を獲得しているので、手薄な右SBを兼ねる橋岡のほうが有利かもしれない。ただし、冨安が右SBを兼ねると考えると、代わりに左CBに入る町田の計算も立つ。


4バックに求められるプレーの理解


町田と橋岡、2人共に入る可能性はどうだろう。ただ、そうなるとベンチメンバーは後ろが重すぎて、5枚交代のメリットを生かせない。やはり、町田と橋岡は2者択一か。利き足もポジションも、左と右で異なり、特徴的にも町田は高さ、橋岡はスピードと互いに異なる。このチョイスは難しい。


もう一つは、そもそもだが、4バックのCB経験が浅い橋岡を、CBで計算して良いのかという問題もある。


典型的な不安が現れたのは、A代表戦の後半7分だった。サイドチェンジから伊東純也と小川諒也が速攻を仕掛けてきたが、それに対し、橋岡はサイドに勢いよく張り出し、伊東へ寄せた。


「待てーーー!待て!」


声の主は、横内昭展監督だったはず。4バックのCBは、基本的にゴール前に「居なければならない」。サイドへ張り出すときは、確実に先にボールに触れると確信があるときだけで、1対1になる場面に釣り出されるのはNGだ。カウンター気味でスペースが空いていれば尚更。


しかし、橋岡は待たなかった。というより、声がかかるより早く行ってしまった。橋岡が空けたハーフスペースは、伊東とのワンツーで小川にインナーラップで突き崩され、最後は浅野拓磨にスライディングで押し込まれて失点した。


盤石なオーバーエイジのプレー


橋岡はどうプレーするべきだったのか。それは吉田のプレーと見比べれば、一目瞭然だ。


U-24ガーナ戦の前半6分、同じような場面があった。右サイドで酒井がかわされ、ガーナの速攻になったとき、吉田は橋岡同様、最初はサイドへ出ようとすきを伺ったが、すぐにストップ。半身の走り方のまま後ろに下がり、中央に留まった。


その結果、相手をペナルティーエリア前まで進ませることになったが、ディレイするうちに遠藤が追いつき、ゴール前を固めて、最後は田中がボールを奪い取って逆襲に転じた。


遠藤のカバーも早かったが、吉田の状況判断はさすがだ。橋岡に置き換えるなら、CBは簡単にサイドに引き出されないように、スペースを抑えてディレイし、あの場面なら菅原か、あるいはボランチの田中辺りの帰陣を待たなければならない。


橋岡のスピードやフィジカルを活かした1対1での対応は、相手がアフリカ勢でも見劣りしないため、その点は魅力的だ。一方で、橋岡をCBとして計算して良いものか疑問は残る。


CBとしての習性は、この場面に限定されるものではない。果たして本大会までに修正可能なのか。仮に橋岡がメンバーに選ばれ、吉田らと共に1カ月以上を過ごせば、彼にとっては学びと飛躍のきっかけになるかもしれないが、18人の狭き門に未来を考慮する余裕はない。


となると、残る3人は三笘、町田、三好か。


三好に関しては、その役割を前田と旗手が補完すると考えれば、田川亨介、林大地のチャンスもある。おそらく12日のジャマイカ戦は、主力の連係強化と共に、当落線上の選手の起用法からも、様々な思考が見えそう。楽しみだ。


戦術的な判断の質を高めたい


これは橋岡に限らず、上田や田中にも言えることだが、U-24の選手は各自に尖った特長がありながらも、得意としない状況では、及第点に達しないプレーがチラホラ見える。


たとえば上田は裏抜けばかりで、ガーナのライン間がスカスカに空いていても、タイミング良くポストに顔を出していない。特に前半、右サイド側にボールがあるとき、堂安も久保も受けられず、上田に受け手を務めてほしい場面はいくつもあったが、反応は遅かった。


特長を出すのはわかるが、大迫勇也のように、もう少し全体の状況、相手を見てプレーできると尚良いと思う。


後半はガーナが最終ラインを上げ、ライン間を圧縮してきたので、上田本来の持ち味、つまり裏抜けがはまる展開だった。日本も相馬を中へ入れて上田の近くでプレーさせ、警戒されている酒井ではなく中山のオーバーラップを増やし、左サイドのレーンを埋めるなど、攻め筋を変えた。


その結果、後半3分には上田が相手CBを引っ張り、そのスペースへ相馬が飛び出してゴールを決めている。この場面は、周囲が上田の特長に合わせた印象だったが、上田からも状況に合わせたプレーができれば、より攻撃が変幻自在になる。


ボランチの田中は全体的に良いパフォーマンスを見せたが、守備への切り替え時、球際に真っすぐ突っ込みすぎて、ズバッとかわされて中央を破られる場面が多いのが怖い。これはガーナ戦だけでなく、A代表戦でもあった。


こちらも遠藤のように、タイミングが合わなければ100%ではなく、80%の球際を連打するイメージで、右に左にと、粘り強く追い詰める守備ができれば尚良い。


本来なら24歳のサッカー選手は、戦術的に完成されているべきだが、現状はそうでない選手が目につく。


良くも悪くも尖った部分を、連係や采配でかみ合わせ、あるいは本大会までの短期間で修正すれば、面白いチームになりそう。その意味で、まずは18人がどんな編成になるのか、楽しみだ。(文・清水英斗)

写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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