バルサが今季も断ち切れなかった“負のサイクル”。なぜショッキングな結末でも選手は批判を免れるのか【現地発】

バルサが今季も断ち切れなかった“負のサイクル”。なぜショッキングな結末でも選手は批判を免れるのか【現地発】

2021.5.15 ・ 海外サッカー

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 バルセロナがラ・リーガ第36節でレバンテと3-3で引き分けた。優勝争いから大きく後退する結果になったが、それ以上にショッキングだったのは試合内容だ。


 バルサは世代交代を掲げて今シーズンに臨んだ。実際、若手が成長を見せ、チームは未来に向かって新たなフェイズへと踏み出していたはずだった。しかし、2点リードで前半を折り返して迎えた57分、ゴンサロ・メレロのゴールで1点差に詰め寄られてからのパフォーマンスは、過去の忌々しい記憶を呼び覚ますのに十分なものだった。そう、チャンピオンズ・リーグにおいてローマ、アンフィールド、リスボンで喫した無残な敗北だ。


 その時と同じようにチームは機能不全に陥り、バルセロニスタの間ではズルズルと連続失点に歯止めがきかないという空気が充満していた。案の定、ホセ・ルイス・モラレスとセルヒオ・レオンに同点ゴールを許し、バルサは勝点3を逃した。トラウマを克服していたと思われていただけに、今回の出来事がカンプ・ノウにもたらしたダメージはなおさら大きかった。


 バルサの負のサイクルは完全にパターン化している。どんな失態を犯しても、選手たちは批判を免れる。才能が優れているからというのがその理由だ。そして新たなシーズンが開幕し、複数のコンペティションで逆境を跳ね返しながら大なり小なり優勝争いを展開する。今シーズンもラ・リーガで巻き返しを見せ、コパ・デル・レイを制覇した。しかし決まって終盤の大一番で、ショッキングな敗戦を喫する。しかもそれは往々にして予期せぬ形で訪れる。


 こうした悪循環を繰り返す中、矢面に立たされるのは常に監督でありクラブの上層部だ。昨年、エルネスト・バルベルデとキケ・セティエンが解任され、ジョゼップ・マリア・バルトロメウが会長の座を追われた。そして今、ジョアン・ラポルタが政権を握る中、ロナルド・クーマン監督への批判が渦巻いている。


 もっとも、バルサが現在抱えているのは構造的な問題だ。早急にメスを入れなければならないのは、フロントとロッカールームとの間の癒着関係だ。近年、フロントは選手たちにことさら気を使い、それはなれ合い体質以外の何物でもなかった。このような状況ではまたぞろ新たに監督を招聘しても、たどる道は同じだろう。その人物がどんなに卓越した求心力の持ち主であったとしても、だ。

  もう長年、バルサは輝かしいキャリアを誇る一定の核となる選手の存在がマネジメントを左右してきた。スポーツ面では戦術の幅が限定させ、経営面では高額の年俸が財政を逼迫させた。バルサと言えば、独特のプレースタイルがトレードマークになっている。しかし最近議論になるのは、もっぱら一定の選手に合致した戦術の構築法である。


 そんな変革が待ったなしの状況の中、渦中の人となるのはやはりクラブのトップであるラポルタだろう。先日、クーマン監督と会談の場を持ちヒアリングを行ったが、新会長は慣例に左右されずに冷静に状況を見極め、確たる判断に則って行動に移さなければならない。

  その際、求められるのは妥協を許さない厳格さと誠実さだ。そう、近年、クラブにもチームにも欠けていた姿勢だ。負のサイクルを断ち切るためには、旧弊を打破しないことには何も始まらないのだ。


文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)

翻訳●下村正幸


※『サッカーダイジェストWeb』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事を翻訳配信しています。


 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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