豪州の3バック、攻略の鍵は両ウイングと中盤の人選。柴崎&小林の起用はある?

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第49回

豪州の3バック、攻略の鍵は両ウイングと中盤の人選。柴崎&小林の起用はある?

By 清水 英斗 ・ 2017.8.30

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現在のオーストラリアは[3-4-2-1]を基本布陣とするチームだ。31日の試合を占う上で、すでにベースの知識になっている。


その前に考えておきたいのは、なぜ、彼らが3バックに変更したのか、ということ。彼らの3バックの根拠は何か?


昨年10月にメルボルンで行われた試合を思い返すと、前半5分に原口元気が決めた先制ゴールは、見事なカウンターだった。ハーフウェイライン付近で原口がボールをカットし、長谷部誠が少し持ち運んで、1トップに入った本田圭佑へ縦パスを送る。


このとき、右センターバック(CB)のセインズベリーは、本田に寄せることができず、やすやすと前を向かせてしまった。なぜなら、すでに自分と右サイドバック(SB)の間に、原口が走り込んでいるからだ。1対2の数的不利になっている。そして、本田の前進を阻もうと足を止めたところで、スルーパスを出された。ド真ん中を破られ、原口に冷静に流し込まれている。


センターバックとサイドバックの間にスペースが生まれる


オーストラリアの問題となるのは、CBとSBのすき間だった。ポゼッション志向のオーストラリアは、攻撃時に両SBが広がり、高めの位置を取るため、どうしてもボールを奪われてから数秒間、2バック状態でディフェンスラインのすき間が飽きやすい。


また、被カウンターではない守備フェーズでも、このCBとSBのすき間は空きやすく、日本戦以外のイラク戦やタイ戦でも、飛び出されて失点やピンチにつながっていた。そのため、中盤から司令塔のアーロン・ムーイらが最終ラインのカバーに下がらざるを得ず、彼らの負担も増えるため、オーストラリアにとっては問題が多かった。


そこで3バックだ。3人を置いて被カウンターで数的優位を作らせないようにし、本田のような1トップをきっちり迎撃する。前回対戦のように、ド真ん中をスパーンと割るのは、難しくなったと言えるだろう。同時にムーイら中盤が、最終ラインのカバーに奔走する負担も減った。



日本代表は4-1-4-1で挑む?


ポゼッション時の恩恵もある。オーストラリアはポゼッション志向とは言え、すごく技術が高いわけではない。それなりにパスミスも犯す。しかも、CBはスピードと俊敏性がないので、走り込まれたら対応できない。


その点でも3バックにしておけば、ハイプレスをかけられたときにボールを逃がす場所が多くなり、DFが楽になる。リスクマネージメントと、ポゼッションの保証。オーストラリアの[3-4-2-1]は、攻守で理にかなうシステム変更だった。


では、日本代表はどうするのか?


おそらくハリルホジッチは[4-1-4-1]を採用するだろう。相手センターハーフ(CH)2人に、インサイドハーフ2人がマッチアップし、中央のCBには1トップが、左右のCBには両ウイングが前に出て寄せる。横スライドの必要がなく、最小限の連係で済む形だ。


[4-2-3-1]では、1トップとトップ下が2トップ気味に守備を始めるため、3バックの1人、あるいは相手CHの1人をフリーにしやすい。もちろん、横スライド、縦スライドしながら寄せ、縦パスを絡め取ればいいのだが、今の日本代表にそこまでの守備連係は難しい。毎試合選手を代えていることもあるが、プレスの連係が時折ずれ、ピンチを招くケースが散見される。そうしたリスクを避けるため、シンプルにかみ合う[4-1-4-1]を採用するのではないか。


ポイントはサイド攻撃


攻撃のターゲットとしては、ド真ん中を破るのは難しくなった。今回はサイドの攻略がポイントになる。といっても、サイドの大外から遠めのクロスを上げても、日本は得点できないので、ペナルティーエリアの角「ニアゾーン」を攻略し、グラウンダーから押し込む形を作りたい。コンフェデレーションズカップでオーストラリアと戦ったドイツは、その形からチャンスを量産した。


カギを握るのは、インサイドハーフと、両ウイングの人選だろう。


両ウイングは本当に大事。飛び出しとスピードに長けるだけでなく、ニアゾーンを破ったら、反対側のウイングは飛び込んでゴールをねらう。クロスに対するポジショニングセンスが必要だ。


また、守備のスイッチも入れなければならない。最初は相手ウイングハーフと相手CBの間に立っておき、日本が行ける体勢ならば、相手CBにパスが出た瞬間に鋭く寄せる。その瞬間、長友佑都や酒井宏樹といったサイドバックが相手ウイングハーフを抑えるために前に出る。もちろん、90分間ハイプレスに行くわけにはいかないので、少し引くときは[4-5-1]になるが、その状況判断はスイッチャーの両ウイングが中心だ。


原口、久保、岡崎、武藤に可能性


原口元気は適任と思われるが、もう片方を誰にするか。これまでの流れで言えば久保裕也だが、飛び出し、スピード、プレス強度、クロスに対するポジショニングの巧さを踏まえると、岡崎慎司や武藤嘉紀の可能性もある。


そして、両インサイドハーフ。マッチアップする相手CHを抑える強度は必須だが、さらに攻撃面でも仕事が必要だ。1トップの大迫勇也は素晴らしいポストプレーヤーだが、前述したように相手が3バックに変更したことで、プレッシャーを受けやすく、前回の本田ほど簡単に前を向くことはできない。半端ないプレーがあれば、別だが。


そこで大迫のポストプレーから、前を向いてスルーパスを狙える攻撃センスが、インサイドハーフに求められる。ときには両ウイングがステイし、中からインサイドハーフがカットアウトして飛び出す形も有効だろう。


そうなると最適任は柴崎岳だが、彼は日曜夜に試合をし、そこから時差と飛行機移動で、実質的には中2日に近い。コンディションが気にかかる。果たして90分戦えるかどうか。その場合は小林祐希か、あるいはプレス強度を重視するなら、井手口陽介と山口蛍の並びもあり得る。この人選も、試合のカギを握るのではないか。


歴史的な一戦だ。相手にとって不足なし。オーストラリアを倒し、ロシアへ乗り込もう。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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